(イラスト:ピンクノイズの少女)
「ウェルカム・ドールハウス」
初公開年 : 1995年
製作国 : アメリカ
上映時間 : 87分
監督 : トッド・ソロンズ
青い御伽噺です!
今回紹介する映画は、個人的には大傑作だと思っている映画でトッド・ソロンズ監督のデビュー作でもあります。
この後に撮った「ハピネス」が当時話題になった「アメリカン・ビューティー」と同じ題材を扱った映画で、面白い監督さんだなぁ、って思ってたんですよ。
でも、この監督の最高傑作は間違いなくこの映画だと断言しちゃいます!
それほど、おもしろい映画です!!
主人公のドーンは冴えない中学生の女の子。
学校では友達もいなくて、周りの生徒からはからかわれてるし、先生も彼女にはなぜか厳しい。
生徒の中でも特にブランドンという不良少年からは目の敵にされ、ロッカーに落書きはされるわ、テスト中にちょっかい出されて、カンニングしたと勘違いされるわで散々。
しかも、そんなブランドンに恋しちゃってる女の子ロリータには
「わたしの男に手を出すな」
とか言われて、逆恨みを買う始末。
家に帰れば、妹のミッシーがイヤミを言ってくるし、母親はそんなミッシーを溺愛していてドーンには厳しめ。
唯一の友達は近所の小学生ラルフだけ。
ドーンは家の庭に小屋を建てて、そこでラルフと「特別人間クラブ」を作って世間に対する不満を吐き出しているのだった。
そんなある日、兄マークのやっているバンドに学校一の色男スティーブが参加。
かっこいいスティーブに一目惚れをしたドーンはなんとかスティーブと仲良くなろうとする。
しかし、モテモテのスティーブには相手にされない。
一方、ブランドンはドーンをイジメながらも、ドーンにキスをしてきたりして、ちょっといい感じに。
ところが、せっかくいい感じになったのに
「私には愛するひとがいるから、あたなの恋人にはなれないわ。」
とか言って、ブランドンを怒らせてしまう。
ブランドンを失って初めて、自分にとって大切なひとはブランドンだった!と気付くドーン。
ブランドンと仲直りしたい。と思っていると、憎たらしいと思っていた妹ミッシーが誘拐され、行方不明に!
ドーンはミッシーを探すためニューヨークへ向かうが・・・・・
といった内容で、冴えない女の子の青春物語なわけですよ。
このドーンって女の子がとにかく、かわいそうな境遇なんだけど、実はブランドンだったりラルフだったり、ドーンを気にかけてくれる男の子がちゃんといるのに、それに気付かないの!
ドーン!いまここで、この選択をすればきっと今より幸せになれる!
っいう分岐点がいくつもあるのに、ドーンはことごとく不幸な方を選択してしまうのです。
これが青春ってやのなの!?
青春って本当に厳しいのね・・・・・
ドーンはイジメられてるんだけど、言われたら言い返すし、やられたらやり返す強い女の子なのです。
そこが、健全というかかっこいい。
で、ダメ人間特有の実は自分は凄いんだ。って意識があって、そこが凄く共感できて笑える。
近所の子供と
特別人間クラブ
とかゆー、クラブを作ってる感じがもうセンス抜群じゃん!って思ってしまうわけです。
そして、ドーンはファッションのセンスもかなり先端を行ってます。
先端過ぎて、周りの人たちからは白い目で見られてしまってますが・・・・・
でも、よく見るとかわいいですよ。
着こなすのは難しいと思うけど。
ドーンとブランドンの関係が一番素敵なのです。
ブランドンは家庭も貧しくし、どうやら父親に暴力を振るわれているよう。
社会のはみ出し者で、学校でも浮いてる。
そんな彼だからこそ、学校で浮いているドーンに共感したんでしょう。
彼女なら自分をわかってくれると思ったに違いない。
実際、二人で語らっているシーンは楽しそうで幸せそう。
何度この映画を観ても
あぁ、このまま二人が幸せになってほしい!
と願わずにはいられません。
ラスト近く、ドーンはみんなから
愛してる!
と言われる夢を見ます。
愛されたい、ただそれだけのことが叶わないなんて切なすぎる。
人間は誰かに愛されなければ生きていけない生物なんだぁ、なんて思いましたよ。
映画はラストまでドーンを幸せにしてくれません。
冴えない男の子の青春を題材にした映画「バス男」(この映画も傑作!)との違いはそこですね。
「バス男」はちょっと幸せなラストで、それはそれでいいんだけど、この「ウェルカム・ドールハウス」のラストには到底かなわない感じがします。
この映画の中に登場する兄のバンドが演奏している曲がこれまた結構いい感じなんでしすよね。
この監督は音楽のセンスもいいので好きです。
気になった方はぜひぜひ観ていただきたい!
予告編