こんにちは。
あおい堂鍼灸院の今泉です。
円形脱毛症には様々な病状のパターンが存在します。
単発性から多発性、蛇行性、汎発性などが挙げられます。その中でも特徴的な抜け方にADTAFS(アタフス)と呼ばれる抜け方があります。ADTAFSは過去記事で詳しく書いておりますが通常の円形脱毛症(以下:通常タイプ)よりも早い勢いで全頭の髪が抜けます。ただ通常タイプと異なる点は全頭における回復も早い事です。ADTAFSは一斉に抜けてしまいますが一斉に生えて来ることが特徴の一つでもあります。
本日の記事は過去記事とは別のケースのADTAFSの流れを参考に円形脱毛症に起きている事を見てみたいと思います。
本日の患者様
S様 女性 50代後半
初来院は抜け始めてから凡そ一月後でした。それまでに地元の皮膚科を受診されています。血液検査では膠原病や甲状腺機能などを含め異常所見は見受けられず、様子見という事でお薬の処方もなかった。
抜け毛意外に最初に気づいた異変は頭皮の痛みと痒みで触ると更に痛む事。
最初抜け毛に気づかれたのはシャワー時の抜け毛でした。
当院から遠方にお住いの為ご来院の頻度は一月以上の間隔でした。その間はメールで状況をうかがっておりました。
まずは初診時の状況です。
通常は第2診から写真を撮影しますが遠方でご来院の機会が少ないことが予想されたので特別に初診から撮影しています。
初診時の私の感想
全体がびまん的に現在進行形で抜けている状態。その中でも頭頂部と後頭部の左右の抜け具合が進んでいる様子。頭皮をよく見てみると通常タイプの様に切れ残った萎縮毛も散見されるが抜けたその殆どの毛穴は何も残らずに綺麗な状態。
東洋医学的なお身体の状況は……
脈……弦脈(げんみゃく:弦楽器の弦の様な脈の打ち方)
六部定位脈診……右の関が弱い(空腹ではない)
舌診……色は橙系、無苔、胖大、潤
他の特筆すべき状況としては背中の脊柱起立筋(姿勢を保つための筋肉)がとても硬く硬直している。良い言い方をすれば鍛えられているように感じられるが、それでも筋肉が弛緩出来ていない状況。
脈や舌診についての解釈方法はいつか別記事でいたします。
ここで詳しく書き始めると記事としてまとまらなくなってしまう為。
抜け方や東洋医学的な所見やツボの感じを鑑み私としては『脾陽虚(ひようきょ)』と判断しました。
脾陽虚とは東洋医学上の消化器である脾の働きが低調である意味です。
脾の働き(運化:食べた物を身体に帰る能力)が低調であるため陰である「血(けつ)」が補えず陽虚から始まり結果として陰虚に陥ったものと考えたので大まかな治療方針としては大元である脾を補うようなものと同時に対処療法ではありますが身体の背面の筋肉、特に背中や項近辺の筋肉を弛緩させるような目論見で施術を行いました。
そして初診から50日後に第二診。
状況としては抜け毛は止まらずなのですが、一方で新たな産毛が沢山生えだしているので外観は『いってこい』状態のようです。2診も初診時同様に脾陽虚対策の健脾補血とこわばった脊柱起立筋群の弛緩に努めました。
ご来院いただいた時の様子です。
この時の特徴として拡大写真を見てみると毛穴の大多数が黒いです。しかし、この黒い点をよく見ると産毛ではありません。切れ残った萎縮毛がその正体だと思われます。産毛と切れ残った萎縮毛の見分け方は毛先が尖っているか否かです。萎縮毛の毛先はブチッと切れているのに対して産毛は柳の葉の様に細く尖っています。今回の毛穴にある黒点は毛先どころか頭皮の上に出ている髪の長さがありません。よってこの毛穴の黒点は産毛ではなく、従来からの髪が抜けた(切れた)時の残骸であると思われます。
しかし、初診時の頭皮画像と見比べてみると少し疑問がわきます。
何故なら初診時の頭皮を観察すると毛穴はきれいな肌色である部分が殆どです。初診の時点で切れ残った萎縮毛はすでに毛穴から排出されているはずなのですが、2回目にご来院いただいた50日間の間に太く成長するまでの髪が生えて更にそれらが萎縮毛として切れていることになるはずです。いくらADTAFSとは云えそこまでのスピード発毛と病状悪化は無い事だと思います。
しかし、この点についての私の解釈はもう既にあるのですが長くなりすぎるのでいつかまた別記事に書いてみたいと思います。
そして第3診です。第2診から日経過しています。
諸元に大きな変化はありませんでしたが頭皮の状況はめまぐるしい変化をしていました。
第3診の時の様子です。
おぉ。
見るからに新しく生えてきた産毛で頭皮全体が埋め尽くされています。
後頭部右側はめくるとまだ頭皮が見えますが大きさ的には画像の通り私の爪よりやや大きい程になりました。
抜け毛もほぼほぼ止まっている状況です。
この時の施術内容は初診、2診同様に脾陽虚対策の健脾補血と脊柱起立筋群の弛緩です。
頭皮の症状は大幅に改善して来ていますが施術内容は従来と同じままです。
元々ADTAFSの予想なので体質改善以前に予後は一般的に良いことが予想はされてきますが通常タイプの円形脱毛症にも共通する事が言えるので、この件について敢えてお話しておきます。
脾陽虚と脊柱起立筋群の硬直はいわば体質です。この体質から円形脱毛症とは縁遠い体つきにするのがい所謂体質改善なのです。
では同じ体質改善の施術をしているのはその施術が必要な体質だからなのですが、それに反して症状が改善しているのはいかなる理由なのか?
キニナリマセンカ?
これの答えは『症状を改善させるのに体質が変わる必要は無い』です。
えっ?ナンダッテー!=͟͟͞͞(꒪ᗜ꒪ ‧̣̥̇)
少しトリッキーな言い方でしたが正確に言えば体質が変わるような事をしていけば
「体質がすっかり変わらずとも症状は改善していく」です。
脾陽虚とか定義してしまうとどうしてもall or nothing、ゼロか百か的な思考に陥りがちです。ですが実際は非常にアナログであると私は感じています。例えばテストの点数で100点と0点しか点数は無いわけではありません。だいたい6割くらい以上得点すれば合格となりますよね。その合格ラインを越えれば症状は改善していくのです。でも60点と100点とでは同じ合格でも席順などの「差」があります。これが回復スピードや脱毛症と縁遠い体つきという点で現れてくるのです。
よって体質改善しきらないでも合格ラインへ近づければ症状は良くなりだすし、逆に様々な事情で合格ラインから低い方へ離れていけば症状は悪化の道を辿るのです。
諸行無常、すべては変化し続けるのです。
変化に対応する舵取りをうまくやれれば良い波に乗り継いで行くことも可能だと思いますが
良くも悪くも「ずっとこのままだ」などと思うのは間違いです。
そして日数が更に経って今度はS様が今の状況として画像を送ってくださいました。
それがこちらです。
もう、普通ですね。
この普通というのは本当に有難いことです。
またこのようなご連絡は本当にうれしいものです。
実はS様以外の方からもいただいているのですが、この記事に乗じてお礼申し上げます。
本日の記事は一つのADTAFSの流れを追ってみました。
途中に出てきたADTAFSの不思議な経過についての考察はまたいつかの記事で致したいと思います。
追記:今年というかこの1年位の間、ADTAFSと思われる方が非常に多いような気がします。
良ければ参考にしてみて下さい。
以下お勧め品
頭皮が痒い方に。
胃が元気になる気がします(個人的な感想)。
副作用はお腹がすくこと?!
亜鉛も銅も入ってます。
チロシンも入っています!
オデコや顎、首肩のケアもできます!
届いたら油を指すことをお忘れなく!
↓古典的伝統的な頭皮施術用具です
↓頭皮が荒れて痒い時にも良いと当院で口コミあり
お知らせ
定休日は
日曜と月曜、
および
月曜と火曜の
隔週交替です。
6月の定休日
18日(日)19日(月)
26日(月)27日(火)
7月の定休日
2日(日) 3日(月)
10日(月)11日(火)
16日(日)17日(月)
24日(月)25日(火)
31日(日)
此方も見てみてください!
円形脱毛症の事がまとめてあります。
そしてあおい堂鍼灸院は
鍼灸治療専門院です。
しかし、
ウィッグ全般のご相談も承ります。
毛髪に関してワンストップで対応できる鍼灸院を目指します。
ブログランキングに参加しています。
是非応援クリックお願いいたします。
ゼヒゼヒ~