AGE

こんにちは。
あおい堂鍼灸院の今泉です。

円形脱毛症について当ブログでは従来から『甘い物』の摂取はできるだけ控えた方が良いとしてきました。
本日の記事は『糖化』というキーワードで円形脱毛症と甘い物との関係性で私の思うところを書いてみたいと思います。

まず、『糖化（とうか）』と云う言葉からです。
これは身体の中の「たんぱく質」や「脂質」が「糖」と結びつく事です。
そしてこの糖化なのですが何も特別な出来事では無いのです。ホットケーキを焼く時やパンをトーストする時などに焦げ目が出来ます。正しくこれが糖化現象なのです。我々は焦げ目がつく時に生じる良い匂いに強い魅力を感じてしまいますし、実際に食べておいしい。しかし実はあまり身体にとって良い事では無いのです。一般的に焦げた食べ物は良くない、癌になるなどと云われますがこれは糖化によって生じたアクリルアミドと呼ばれる物質が原因のようです。このアクリルアミド、法律上はなんと劇物に指定されています（劇場の小道具では無い）。勿論ホットケーキなどの調理によって作り出されたアクリルアミドがいきなりとんでもない悪さをするわけでは無いと思いますが油断大敵、長期に亘り食べ続けるべきものでは無いようです。
そしてこの糖化で焦げ目がつく現象はメイラード反応と呼ばれます。

そしてこの糖化は体内でも生じる現象なのです。
食事としてメイラード反応を起こしている物を取り込むことも、体内で生じる糖化現象もどちらも実は非常に色々都合が悪いのです。世間ではアンチエイジングの話題が上る時に

上記の糖と結びついて変性したたんぱく質や脂質の事を
『最終糖化産物（AGE)』とも呼ばれています。
このAGEなのですが特筆すべきは全身にいきわたり各所で炎症を引き起こすのです。

円形脱毛症では脱毛部の皮膚の色の変化、具体的には肌色が濃く成ったり赤みを帯びたり所謂炎症を引き起こしているケースがあるように思えます。この炎症の原因はさまざまであると思いますが、端的にこの様な状況でさらに炎症を引き起こしす、或いは増させるようなことは避けるべきであると思われます。
例えばAGEが肌の細胞に沈着するとシミやくすみと成ります。血管に着くと動脈硬化などを引き起こしますし、他にも白内障や骨粗しょう症、アルツハイマー型認知症、糖尿病もAGEが関与しています。そして髪にもAGEの影響は及びます。髪について言われている事は髪の「ハリ」や「ツヤ」が消失していくと言われています。髪のハリとは恐らく弾力の事を指しているのではないかと思われます。髪のハリが減少する事はつまりは髪の内部構造が確りと作られていない事に繋がると思います。ご存知の通り円形脱毛症は抜ける以前に髪が切れます。切れる時に髪が細く成ります。これこそ髪のハリの減少と同様の事象が起きていると考えられます。

ではこのＡＧＥの生成を極力減らしたい訳なのですが、それにはどうしたら良いのでしょうか。
これはやはりAGEを含むような食材をできるだけ遠ざける工夫が必要と成ってくると思われます。
実はこのAGEですが食事として取り入れたAGEと体内で生成されるAGEのどちらが様々な悪さをしているのか区別がついていないようです。どちらか、または両方なのか。
糖質を摂らなくても体内ではAGEが生成されます。したがっていくら低糖質な食事を意識しても体内でAGEは生成されてしまい、それなりに身体に対して影響を及ぼします。

「それならAGEなど気にせずにガバガバと甘くておいしい物を食べたい！」と思ってしまうのが人情ですが、少なくとも体外からのAGEを減らせばそれだけ体内の総AGE量の増加を防げるので、やはりここは誰でも治療中だけでもAGE、ひいては「糖」について注意を払う必要があると思います。

私は「糖」と聞いて連想するのは「糖尿病」です。
糖尿病とは血液の中に糖が多く出回ってしまう病気です。血液中の糖は本来インスリンにより速やかに細胞内へと吸収されるわけですが、このインスリンの効きが悪くなったり、絶対量が少なく成ったりする事で血液中の糖がいつまでも高濃度で出回ってしまうのが糖尿病です。

丁度2年前まで『とくダネ！』という朝の情報番組が有りました。その番組のメインキャスターは小倉智昭さんです。この方はネットを検索すればすぐに出てきますが頭頂部のヘアピースを使用されています。と云っても別に秘密裏にしていらっしゃる訳では無いようで、更に検索を進めれば出てきますがご自身でカミングアウトされています。そのカミングアウトの内容はネット記事を信用するならば『自分は糖尿病が悪化して髪が薄くなりヘアピースを使用するようになった』とのことです。

なるほど。先ほど書いた糖尿病ですね。『糖尿病薄毛』と検索してみると確かに何例も出てきます。但し、今現在糖尿病と脱毛との直接的な因果関係がメカニズムが明らかに成っているわけではありません。あくまでも糖尿病の人に薄毛の方が多い感じである……こういう状況証拠止まりです。そしてサイトによっては糖尿病と円形脱毛症の関係性も書いている病院のサイトもあります。これも読んでみると糖尿病に関係のある円形脱毛症の紹介であるのに自己免疫疾患云々と書かれていたりします。たしかに糖尿病は様々な病気を引き起こす要素が多いと思いますが、自己免疫疾患としての円形脱毛症と糖尿病が引き起こすであろう円形脱毛症との機序的な接点がサイトの記載では確認できませんでした。おそらく医師の方が書かれた（監修した）であろう文面なのですが糖尿病が免疫異常を引き起こすとは書かれておらずこちらも未だ多くの事が判明していないようです。またまた私の一方的な考えでは糖尿病で引き起こされる円形脱毛症はやはり免疫異常が引き金ではなく単純に頭皮の新陳代謝の不調から髪が伸びなくなり、抜け落ちるケースでは無いかと思われます。伸びなくなった後に停止した毛包を処理する時に免疫の関与はあり得るとは思います。ただこれは働き的に正常であり免疫の異常では無いと思います。

まぁこのように髪の健康を考える時に血流と云う点はどうしても外せない重要な因子と成るようです。そして血流に大きな影響を及ぼす『糖』との関係も併せて重要です。

興味深い事にWikipedia糖尿病ページ内に『亜鉛の欠乏が糖尿病の発症リスクを高めるとする報告がある』と記載がありました。亜鉛と云えばこのブログでも何度かテーマに上っている髪の健康に重要なミネラルです。その亜鉛の不足が血糖を高める切っ掛けになるとは私的にはとても興味深く思えます。

『糖』と『亜鉛』は髪にとって大変重要な要素であり、尚且つ働きとしては対極に位置する存在のようにも見受けられます。しかし、亜鉛の不足がいけないからと云って亜鉛を強化した食事ばかりでは健康上新たな問題を引き起こしかねません。過去記事でも書きましたが亜鉛の過剰摂取は銅の吸収を阻害してしまいます。銅は髪のメラニンを作り出す為に必要なミネラルであります。前回の記事でもメラニンの事を沢山書きました。円形脱毛症にとってメラニンは非常に重要な構成要素です。これもまた銅を増やせばよいと云うものでもないと思います。

何かを増強すれば何かにしわ寄せがくる法則がありそうです。あっちを出せばこっちが引っ込む……。丁度東洋医学の考え方である五行の相性相剋の輪が有ったとしたら、それを滑らかに回すようなイメージが大事です。どこかの要素を強くすれば輪がいびつに成り、どこかを弱らせれば輪や相剋部分である中の星が保てなくなり潰れてしまい、うまく回らなくなりそうです。

↓過去記事より参考画像

では一体どうしたら良いのか。

この様な場合、最終的には引き算が一番うまくいくと思います。つまりAGEを含む『糖』を減らし気味にする事です。勿論『糖』も大切な栄養素でありなければ死んでしまいます。しかし、現代の日本において一般的な生活を送られている方々はある程度『糖』を減らしても恐らく問題は無いのではないかと想像します。

そして本日の記事のテーマであった「糖」の質が低下した『AGE』。AGEを避けるにはメイラード反応を起こしているようなモノをできるだけ遠ざける工夫も大切です。AGEを調べていくと揚げ物（フライドポテト等）や焼き物はAGEが多いようなのですが、蒸し料理や煮込み料理、はたまた電子レンジでチンするような調理方法はAGEが少ないようなのでおススメと言う事に成ります。
蒸し料理や煮込み料理は派手な印象はありませんが、こうしてみるとやはり煮込み料理などは伝統的な和食と云う感じがしますね。和食は最強かもしれません。

良ければ参考にしてみて下さい。