こんにちは。
あおい堂鍼灸院の今泉です。
私は前職のウィッグ会社の技術者時代も合わせて数多くの円形脱毛症の方々とお会いしてきました。
お会いしてお話したり観察させていただいたりしているうちに、円形脱毛症の方々の様々な特徴と呼べるようなものも多く見つけてきたと思っています。それでも当然ながら円形脱毛症の全てを知れているわけではなく、その証拠に今に成っても時々法則性の様なもの、中には法則とまでは呼べないがある種の傾向の様なものも見つけ出したりしています。その中で本日の記事では最近おぼろげに見え始めたある傾向について書いてみたいと思います。
もったいぶっていますが、ある傾向とは……。
それは、
よく転ぶ(ころぶ)??
です。
勿論すべの人が転んでいるわけではありません。
ただ、当院で施術をしていると比較的頻繁に、おそらく世間的な平均よりも多いと思われますが、結構なかなかの重症なケガ(大半は骨折未満)を足や膝にされている方に多く出会えるように思えます。
当然2足歩行をしていれば何かの拍子につまずいたりして転ぶ可能性は誰にでもあります。
小学生くらいまでは成長期で全身に占める頭部の割合が大きいなど身体のアンバランスさも手伝って結構転ぶこともあるでしょう。これは成長過程において致し方ない様に思えます。ですが成人して一応の身体が完成して成長も止まった状態で、いわゆる大人が転ぶことは可能性がグッと低まると思えます。実際に読者ご自身の周囲の人、家族や友人が転んでケガをしたという状況は今迄どのくらいありましたか?
想像ですが、そんなに多くは無いのではないでしょうか。それこそ何年に一回位見かける程度ではないでしょうか。もちろん、サッカーやスキーなどスポーツしている時は勘定にいれず、普段の生活の中での話です。
でも、当院に来られている方々で構成される狭い世間の中では3~4か月に一度位、膝に大きなあざを作ったり、ねん挫、打ち身などでお辛い思いをされている方に遭遇します。この位の頻度を高いと見るか、低いと見るかで判断が異なって来るかと思います。実際に私も今頃このような事を書くのは傾向と言っても時々会える程度なので気づきにくかったと言えます。でも、私の知る円形脱毛症と関わりのない方々の生活を見比べていくと、大人が転ぶ割合としては結構多いのではないかと感じます。転ばなかったとしても何か物に強くぶつけたりしてアオタンを作られていたりすることも多い様に思えます。そして、それも足です。
ちなみに足にアオタンが出来ている時、私が『これはどうしたのですか?』と質問します。そうするとここでの答え方に男女差が出ます。男性は「いついつ、どこで、どのようにぶつけた」と理路整然と答えられる方が多いのに比して女性は「いつの間にかできていた」と原因に気づかれていない事がとても多いように感じます。これには男女差があるなぁと常々感じています。
閑話休題
ではこの「転ぶ」とはどういう事かを私なりの意味付けをしてみたいと思います。
これまた西洋医学的・科学的な視点で説明しようとしても、ただの不注意だとか疲れていただとかの味気ないものに成ってしまいそうです。間違いではないと思いますが、それでは読んでいても何の為にも参考にもならないと思うのでお約束の東洋医学的な視点で考察してしまいましょう。私なりの「気」を用いた方法で解釈します。
まず、単純に転ぶ場合の「気」の状態として想定できること。
それは『上実下虚(じょうじつかきょ)』です。
上実下虚とは人体における「気」の配分が上方にばかり偏ってしまい下方である下半身に「気」があまり来ていない状態を指します。言い換えれば「気」の重心が身体の上の方に存在している状態です。本来「気」の重心は武道などで重視される臍下丹田(せいかたんでん)やツボで言うところの関元(かんげん)辺りが良しとされています。場所は横にした手の指4本分の幅をオヘソから下った身体の正中線上の辺りです。結構下半身ですね。その辺りに「気」の重心が来ている状態が身体として十分に機能を発揮できるとされています。「腎間の動気」とも呼ばれる辺りです。
そして上実下虚とはこの臍下丹田よりも位置は様々ですが「気」の重心が上方にあるとされる状態です。
えっ?どうやって「気」の重心が臍下丹田に有るのか無いのか分かるのだ……ですと?
それはまずご自身で触ってみましょう。
ペコペコ、ふにゃふにゃしていませんか?
それともビシッと硬いですか?
「気」の充実した部分は硬く成ります。非常に簡略的な言い方ですが臍下丹田が硬ければ「気」の重心はしっかりとそこに在ると思って差し支えないと考えます。
何故硬いのか。
当然『腹筋』が硬いのです。
即ち腹筋が強い=臍下丹田に「気」が充実している≒上実下虚を防ぐ。
現実面を見ても腹筋が強いのは体幹が強いとも言い換えられます。体幹が強ければ足腰も強く、転びにくいとも言えます。体幹が強く転びにくい事は逆説的に上実下虚に成りにくいと言えそうです。
昔ビックコミックスピリッツで連載されていた駅伝漫画『奈緒子』内で速く走るためには強い足腰が必要。強い足腰を作るためには強い体幹が必要。揺れる船に乗って酔っているようではまだ体幹が弱いのだ……という理論があったと記憶しています。
ではこの上実下虚でどうして転びやすいのか。
私的にはオフロードバイクとオンロードバイク、または乗用車とレーシングカーの違いで説明したいのですが脱線しそうなので、ここは山登りをする登山者のリュックを当て嵌めて考えてみましょう。私自身は山登りをしないのですが、登山者の背負うリュックはモノを詰めていく際に工夫されていると聞いたことがあります。それはリュック内に入れる軽いものはリュックの下方に、重いものはリュクの上方に入れるそうです。そうするとリュックの重心がリュック自体の上の方に設定されます。そうすると何が良いか。リュックが軽く感じられ、登山者自体が動きやすくなるそうです。
動きやすい。
即ち制御できない動きも想定されます。
意地悪ですが転びやすいとも言えます。
これが上実下虚の一端です。
身体の上下の「気」の偏在によって生じる症状はその他にも「めまい」があります。
大きく肝気が付き上げて「上」に「気」が実した事による「めまい」もあれば
脾気(昇清:しょうせい≒栄養)が弱まり「上」の「気」が少なくて生じる「めまい」もあります。
どちらも同じ症状ですが「気」を散らしたり集めたり対処方法を間違えると悪化してしまいます。
「気」が多いのか少ないのかの見極めが大切です。
このような点からも物の本に書かれている『「めまい」にはこのツボ!』等という記載に視られる単一的な判断はある種の博打なのです。
上実下虚で転びやすいのはなにも臍下丹田に代表される体幹の筋力不足だけではありません。
ドラマなどを思い出してみて下さい。登場人物が何かで慌てていたりする時につまづいたり転んだりしています。そんな時周囲の人は「あわてないで」等と声掛けします。
「あわてる」これはテンパっているわけです。
この様な時にどの様な動き方をしていますか。
シャカシャカ、チョロチョロなどとにかく忙しく動いています。
忙しく動けるとは動きやすいとも言えます。想像しにくいシチュエーションですが慌てている時、両方の足にそれぞれ30キロの重りをつけていたらどうでしょうか。バランスを崩すことはあっても、ゆっくりとしか動けないので不注意で転んだりつまづいたりする事は減ると思います。
動きやすい事は良い事でもあるのですが、行き過ぎると動きやす過ぎて、つまり上実下虚に成りすぎて転ぶのです。
そしてこれは何も身体的な事だけではありません。
精神面でも同様の事が言えます。
仕事の最中にデスクにじっと座っていても大忙しの時、脳内も大忙しです。次から次へと沢山の事を考えています。失敗(転ぶ)するのはこんな時、落ち着けていない時です。
……ん?
『お・ち・つ・く~ぅ』?!
漢字にすれば落ち着く。「落ちる」と「着く」。「落ちる」はいわずもがな下に行く事です。「着く」は着地などやはり下降することです。
……。いったい何が?
それはやはり「気」だと思います。日本語は東洋医学が自然と染みついた言語なのでしょう。日本語を話していると知らず知らずのうちに東洋医学の仕組みが分かるようになってきます。自然過ぎて気が付きにくいのですがね。
でも下に下げ過ぎてしまうと逆に動けなくなり不活性化してしまい、これまた良くない。
逆に重心が上に行く言葉は『浮足立つ』などでしょうか。
こちらもあまり良くない。やはり中庸が一番。その中でも少し下げ気味の方がテクニックとして健康面は巧くいく事が多いと思います。なぜなら「気」は陰陽で陽の性質であり、上に上に昇る存在なのです。
ちなみに「気」を昔の漢字で書くと「氣」です。この漢字は米を炊いた時に立ち上る湯気を表します。このような事からも「気」は湯気の様に上に行く事がうかがえますね。
また脱線!
ここでまた冒頭の話題に戻ります。
円形脱毛症の方々の中で転ぶ方が多いように感じられるとは、やはり上実下虚の状態の人が多いと言えそうです。ではそのような場合はどうしたら良いか。
実際的な事を言えばご自身で腹筋を鍛える事をお勧めしたいです。
難しい「気」を相手に色々するよりも現実的で最もやりやすく具体的な方策だと思います。
または日常生活の中で下半身を意識した行動をすることです。例えば履いてきた靴下の色を思い出してみるとか、足の指を動かしてみたり……などです。どうですか?お仕事などで大忙しの時に靴下の事など考えたりしますか。普通しませんね。でも敢えてそれをすることで「気」が少しだけでも下がります。そうすると不思議な事に少しだけ気持ちに余裕が生まれて事態を俯瞰して捉える事ができる(かも)。テンパっている時は視野が狭くなりがちです。視野を普段広げない足元にまで広げると当然視野が広がり直面している事態を異なる視点で見られて解決方法が見つかる……かも知れません。これが上がり過ぎた「気」を下げるメリットです。そういう時は足元にも注意が行くので転びません(きっと)。
では「気」は下げられれば下げられるだけ下げたほうが良いのか。
これは否。
下げ過ぎると先ほどの30キロの重りの如く動けなくなります。精神面では気分が高揚せずズド~ンと落ち込んでこれまた辛いです。辛い状況の人はどのような仕草を見せますか。うなだれて下ばかりを見ています。つまり下を意識し過ぎ=「気」が下がりすぎなのです。
以前テレビでみた話ですが様々な交渉で相手に決断を迫るような時の交渉場所選びの際、相手と共に階段を降りるような場所だと成功率が高いそうです。これも実際に下がる事で相手に自分しか見えない、キョロキョロよそ見をさせない、視野を狭める働きがあるのだと私的に解釈しています。
確かに展望台など高い所に昇れば誰でもキョロキョロよそ見したくなりますね。
普段は下げるでもなく、上げるでもなく、ちょうど中間あたり。本当の意味で「良い加減」「適当」が好ましいのだと思います。
TPOに応じて、またはご自分は転びやすいと感じられるなら兎に角下方を意識して「気」を下げてみるのも良いかも知れませんよ。
良ければ参考にしてみて下さい。
※参考過去記事
↓上実下虚と言えば正にコレ!
↓腹筋について
↓腎間の動気
以下お勧め品
届いたら油を指すことをお忘れなく!
↓古典的伝統的な頭皮施術用具です
↓頭皮が荒れて痒い時にも良いと当院で口コミあり
お知らせ
定休日は
日曜と月曜、
および
月曜と火曜の
隔週交替です。
1月の定休日
23日(月)24日(火)
29日(日)30日(月)
2月の定休日
6日(月)7日(火)
12日(日)13日(月)
20日(月)21日(火)
26日(日)27日(月)
此方も見てみてください!
円形脱毛症の事がまとめてあります。