『黄色にサンタ』 | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

逢海司の「明日に向かって撃て!」

ご注意下さい!!私のブログは『愛』と『毒舌』と『突っ込み』と『妄想』で出来上がってます!!記事を読む前に覚悟を決めてくださいね(^^;。よろしくお願いします☆

以下の文面はフィクションです。

実在する人物、団体、組織等とは一切関係がございません。

似てる人が居ても、それは偶然の産物です。

妄想と現実を混同しないように気をつけましょう。



゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚



そのオファーが入ったときは、あの人の番組だなぁ、くらいにしか思わなかった。

本編のゲストでなくドラマ部分の出演だし、そんなに出演時間も長くないだろうし。

久しぶりに挨拶も出来るからそれでいいか、くらいに。


しかし前もって送られてきた台本を読んで、驚きと共に苦笑が止まらなくなったのは、仕方ないことだろう。

あの人のこの時期の代名詞である『黄色いサンタ』に俺がなるなんて。


「案外、あちらからのご指名のキャスティングかもよ?」


まさか、と一笑に伏しながら、それもあるだろうと内心は思っていた。

彼の目の前で、この時期にあの衣装を着るには彼のファンから相当な反発があると考えられる。

なんとか許してもらえそうなのは、自分か、おそらく親太郎くらいなもんだろう。


・・・、一番許されそうな彼に黄色なんて着せたら、今度は向こうのファンが怒るだろうしね。


まあまだ『ファミリー』と呼ばれていたころの繋がりが残っていると認識されているなら、それも有り難い話だ。

久しく会えてない人との再会も楽しみにしながら、撮影日を迎えることになった。





「なんか、胸元がガパガパでない?」


用意してもらったサンタの衣装は、そこらで売っているほど安普請な物ではなかったが、サイズがイマイチ合わない。

やたらとベルトで腰を締められ、なんとか格好がつくようにしてもらった。

モノは違うけど、この人がサンタの格好をしたときはしんなり嵌っていたのに。


「これって袖口とか広がっていてけっこう寒いんですね」

「俺んときはフード付けてもらったり、袖口ピタってくるようにしてもらったもん」


あ、ずるい。

なんて思いもしたが、彼はあの格好で本気で外で活動していたのだから、そこまでやって当然か。

思い付いた素敵なことに我慢できなくて、なんでも実行してみなくちゃ気が済まない人。

思い付きのままで終わらせないために、そこからどれだけのエネルギーを絞り出して動いているのだか。

あの時に見えていたのは、たぶんほんの一部分にしか過ぎないのだろう・・・。


「そういえば、最近ブログ書いてないですよね?忙しいんですか?」


同じサイトを使っているので、彼が更新すればそれなりに目につく。

あんなにこまめに更新していた彼のブログが、いつの間にか間隔が開いて、縁遠くなって・・・。


「まあ、忙しいっちゃ、そうなんだけど」


そして彼は、何もない天井を見上げる。

何もない普通の、カフェの天井。

彼が探しているものは、きっとそこに無い。

でもふいに見上げるのは、俯くにはまだ早いという気持ちの表れなのかもしれない。


「言葉はむずかしいなぁ、おんなじもんでも良いようにも悪いようにも受け取れるからさ」


そう言いながら、彼はちょっと貯めるような笑顔を浮かべた。

少し上げた口角に、いろんな思いを秘めた大人っぽい笑み。

そこを突破していろんなことを話してくれるには、まだ自分は役者不足なのだろう。

なんでも抱えて、一度抱えた物はそう簡単に降ろそうとしない彼の、本気の本音を聞きだすには。


「そういうお前は元気にやってんの?」


何でもないように、当たり障りのないような言葉を渡される。

きっと彼がこの質問を投げかけたい相手は、自分だけじゃなくて他に沢山沢山居るのだろう。

昔の仲間、遠くの友達、支えてくれてる人、応援してくれるクルー。

届けたいけど届けられない言葉に、たぶん一番戸惑って打ちのめされているのか彼自身だ。

だから、さ。


「見ての通り元気ですよ。雄輔くんの相変わらず悪戯な笑顔を見たから、もっと元気が湧いてきそうですけど」


沢山の人たちの代わりに、みんなが思っていることを彼に伝えておこう。

君の笑顔が、僕達の笑顔になるんだよ、と。


「ええ~~、なんだよ、それ!絶対にマジで言ってないだろぉ!」

「やだな、本気ですよ。こうやって頑張ってる雄輔くん見たから、ああ、オレも頑張ろうって思うんです」

「頭の良い奴の言うことって、なんか嘘くせ~~」


とか言いながら、嬉しそうに目尻を下げる。

本気です、いつかは僕のゲストであなたを呼びたいくらいです。

だからそのときまで。

すっぴんの笑顔でいれるように。


「お二人さ~~ん、カメリハしますよぉ」


スタッフに呼ばれて動き出す。

それでも、くしゃくしゃになりそうな笑顔のままで、彼はまだ饒舌に話続けていた。


「なんか、サッキーのプロポーズってすんげぇむず痒いんだけど」

「それ、本番のときに顔に出さないで下さいよ(-。-;)」

「ひゃーーー、駄目だ、はじぃぃぃ!!」


恥ずかしいのはこっちです。

せっかくなら、彼が恥ずかしくて笑っちゃうくらい真剣なプロポーズを見せてあげましょう。

俳優としての芸歴では負けてないんですから。


「じゃ、店長はこっちね。崎本くんはドアのところでスタンバってて」


はい、と答えて顔が切り替わる。

次はぜひとも、真っ向からやりあうような役で立ち向かっていきたいな、と思いながら。


離れたときに、ちょっとだけ彼がこちらに向かって意味深な目配せを送ってきた。

それを、会えて嬉しかった、と解釈するのは、こちらの過大解釈だろうか。


まあいいさ、今日のサンタは僕なんだから。

この衣装の力を借りながら、彼に幸せを運んであげれたと信じておくよ。




終わり


゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚


はいはいはい、クリスマスイブです。

当人たちはどんなイブを過ごしているんですかね?

私はサンモールに再び出向いてます( ´艸`)

『リズミックタウン』の感想及びレポは今しばらくお待ちくださいませ~~。

ではでは、皆様に素敵なイブの時間が訪れますように☆