『終わりから続く始まり』② | 逢海司の「明日に向かって撃て!」

逢海司の「明日に向かって撃て!」

ご注意下さい!!私のブログは『愛』と『毒舌』と『突っ込み』と『妄想』で出来上がってます!!記事を読む前に覚悟を決めてくださいね(^^;。よろしくお願いします☆

この物語はフィクションです。
実在する人物・団体・会社法人等とは一切関係ありません。
脳内の妄想産物と重々ご理解の上、お読み進め下さいませ。
いくら似てても気の迷いです!


注:①のほうから読んでね('-^*)/



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パタパタと響く和装独特の足音。

相変わらず慌しい歩き方だなぁと苦笑をかみ殺しながら、剛士は自分を追いかけて来る人を振り返った。


「何かんがえてるの、つるのくん!」


おそらく、訪問着とかに分類されるだろう和服に白割烹着という井出達のモナが廊下を渡ってくる。

あんな姿をしてたらまるっきり小料理屋のおかみさんだ。

事情を知らなければ、少し前まで裏稼業で闇医者をしてたなんて想像も出来まい。


「モナさん、白衣も似合ってたけど、その姿もなかなかいけるねぇ」

「話を逸らさないで!紳助さんに聞いたわ。新しいメンバーに上地雄輔がいるってどうゆうこと?

あの子はもう、以前のような能力は無いのよ。それどころか、警官だった頃の記憶も失っている。

それはアナタだって良く知ってるでしょう?そんな子を何故いまさら?」


雄輔は、モナの隠れ診療所で崎本に、いや、高田に撃たれ一時生死の境を彷徨っていた。

何ヶ月も意識不明の状態が続き、誰もが最悪の事態を覚悟した頃にふいに眼を覚ましたのだ。

それが、高田の四十九日だというのだから出来すぎてる。


意識を取り戻した雄輔だったが、今までの能力と警官になってからの記憶を失くしていた。

その事態を好都合と判断した奴らは、雄輔に余計なことを教えずに地元へ返して全てに蓋をした。

雄輔もそのほうが幸せだったろう。

地元に戻り、厄介な能力も消えた彼が、元気に幸せに暮らしていると風の便りで聞いた。

それがまさか、あんな形で再会するなんて。


「まだ雄輔くんに執着があるの?」


確かに、メンバーの最終決定を下したのは剛士だ。

あそこで振るい落とすだって出来た。

それでも彼を選んでしまったのは、やはり気持ちが残っていたということなのだろうか?


「モナさんだって、あいつがどんな風になっていたか知りたかったんじゃないんですか?

あいつの能力を消したのはアンタでしょ、モナさん」


ハッとモナは息を飲んだ。

カマをかけたつもりが図星だったかと、剛士は小さく嗤う。


「どうやったの?」

「・・・簡単よ。視力回復のレーシック手術と一緒。少し網膜に傷を入れるだけ。

彼の能力の焦点が合わなくなるようにすれば、力は無効化するの」

「さすがだね。紳助さんが裏ブレーンで引き抜くだけのことはあるよ」


どうもココは脛に傷持つ者が集められてるようだ。

表向きは明るい正義の味方集団の顔をしているというのに。


「まあおかげでアイツは見違えるほど明るく無鉄砲になっていたよ。

今のあいつがまっすぐ見てる正義ってのも、廃れた俺には興味深いもんだ」


そして。

もう一人のあの青年。

恐ろしいほどに雄輔と波長が合っていた。

ただの偶然か?それとも・・・。


「つるのくん?」


ふっと表情を緩ませてモナに愛想を振り撒く。

呆れたようなため息ひとつ吐き出して、モナは肩を竦めて苦笑いを返した。

剛士の思惑に乗って、笑顔一つで誤魔化されてくれる彼女はやはり大人なのだろう。


「それじゃ、俺は崎本たちと今後の打ち合わせがあるんで」


立ち去ろうとする剛士を何時までも引き止めておくほどモナもヤボじゃない。

店のほうにも顔を出してね、と商売っ気を出しながら彼を送り出した。


まだ、聞くべき時ではないのかもしれない。そう思い直して言葉を飲み込む。

モナにはずっと引っかかっていたことがあった。

ただの思い違い、気の回しすぎかも知れないのだが・・・。





ねえ、つるのくん、アナタの眼は『何が』見えるの?





「まさかね」


彼女は諦めたように呟いて、剛士に背を向けた。

上地雄輔が忌まわしい時間を忘れたのなら、私たちも煩わしいことは忘れてしまえば良い。

せっかく新しい扉を用意されたのだから、そこへ飛び込むのが道理というものだ。


世間一般で認められてる『正義』が、全ての人を救えるものではない。

だからこそ人は自分だけの『正義』を抱え、その上で何かを成そうと足掻くのだ。

救えるもの、救えないもの、それぞれあることを知りながら。


剛士が願った正義は、どんな形をしていたのだろう。

今の雄輔が見据えてる正義は、どれほどの輝きを伴っているのだろう。

さらには、このアクの強い二人に巻き込まれた、あの青年が見詰めているものは・・・。

全ては始まったばかりだ。

彼らが何処を目指し何を正義とするかは、これからの活動の中で共に影響しあって見出すことだろう。

偶然か必然か、今、ここに『無敵艦隊』として集結した彼ら自身の手によって。




終わり



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たぶんこの二人がこんな話をしているくらいは、雄ちゃんが変身ブレスをいじってお子ちゃまサイズに縮んでいる真っ最中な頃だと思われます。

そうです、あの闇医者の正体はモナさんでした。

現在モナさんは身分を隠して基地内の和食居酒屋の女将をしてます。

最初は西川先生にしようと思ったんだけど、西川先生、つるのさんの正体知らないから・・・。

(昔の話参照)

①と合わせて書いてる私は楽しいけれど、読んでる人にはイマイチな内容だよな、と自覚があるままに書き進めました☆


いーの、私が書きたかったんだから!(笑)