「摂食障害」

 

この言葉を聞いて、皆さんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか?

 

この質問に対して

ガリガリに痩せた体、食べ物をひたすら口にしない、大量に食べて嘔吐する……

このように答えることが多くいらっしゃるのではないかと思います。

確かにこれらも間違ってはいませんが、摂食障害には見た目や症状が上記なものとは限らないのをご存知でしょうか?

 

そして、摂食障害に悩む方達がどのような理由でそうなってしまうのか、なぜそのような行動から抜け出せなくなってしまうのか、具体的にそのようなことに影響が出るのか……についてはあまり知らない、という方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

その「知らない」ということが、摂食障害という病気のタネを蒔いてしまっているひとつの原因なのだと感じています。

だから私は、摂食障害についてしっかりと知って頂くことで、病気のタネを少しでも減らしたいと思いブログを書き始めました。

 

 

ここではまず、私の事を紹介させて頂きます。

 

私は約3年前の高校生になりたての頃のダイエットが引き金となって摂食障害を患いました。

ザックリとした症状としては、私は拒食症→拒食&非嘔吐過食の繰り返し→糖質恐怖症という流れでした。

一時はBMI 13まで減少し、入院生活を送ったこともあります。

そして退院後、沢山の出会いやそこから得た環境の変化のおかげで、約2年で通院生活も薬生活からも卒業することができました。主治医の先生も驚きの早さらしいです笑

周りの同級生と同じように高校を卒業し、無事に行きたい大学にも進学できました。今のところフラッシュバックもありません。

 

補足ですが

非嘔吐過食とは、嘔吐をせずに過食をする症状です。私の場合は、外食や週末などに過食をしてその後に拒食をすることで“調節”していたため、体重が増加することはありませんでした。むしろ、拒食期の食事の摂取カロリーは極端に少なく、その期間も長いためどんどん痩せていきました。

またここで言う「嘔吐」とは、自然と吐き気が来る(微生物に冒されている)時の嘔吐とは違う意味で、自分の力で能動的に胃内容物を吐き出すことを言います。このことはかなり衝撃的でデリケートな話になるので、今はここまでにしておきます。

 

私のパターンを見てお気づきになるとは思いますが、摂食障害はいろいろな症状に変化したり、繰り返したりすることがあります。つまり、ずっと拒食・過食だとか、初めから嘔吐をしているだとかではない場合も多くあるということです。

加えて、摂食障害は普通体型や標準体重以上だったとしても摂食障害の方はいらっしゃいます。体型に違いが出るのは“過食”や“拒食”“調節”の頻度や程度、嘔吐か非嘔吐か、また嘔吐の頻度や量が違うのが一因なのだと考えています。

更にそこに、生活習慣・どこにこだわりを持っているか・精神状態の浮き沈み・摂食障害になった原因・人間関係なども関わってくるので、体型も症状も一概にこれだ!とは言えないのが現実です。

 

治るまで数年〜数十年はかかると言われているこの病気ですが、この複雑さを見れば納得できるのではないでしょうか。

 

現在の私は糖質に抵抗はあるものの、安定して食事を食べられていて体重も標準体重をキープできているつもりです。体重について曖昧な表現なのは、体重を量っていなからです。摂食障害最盛期(?)は毎日体重を測って記録しないと落ち着かなかったので、そういった意味でも回復したといえる状態だと思っています。

 

とはいえ、今でも糖質が怖くてなかなか口にできていません。私はこの状態を勝手に「糖質恐怖症」と呼んでます笑

他にも、油はサラダ油が未だに使えないし、私が摂取できる種類の油やバター等もカロリーが気になってあまり多く摂れません。生理機能や甲状腺機能は弱ったまま中々元どおりにはなってくれないし、時々食事のことでナーバスになることもしばしば。食事の時間のルールも手放せず基本的に夜7:00以降は食べられないし、その他細かい食事に関しての強いこだわりもまだ残っている。

「完治」というのがどの状態までをいうのかも曖昧なので難しいですが、今の私は「回復」はしていても「完治」はしていないと言えます。

体型も精神的にも一見“普通”に見えても摂食障害である。不安定な状態ではないですが、今の私もその状態に近いのではないかと思います。

 

 

 

これらのことから皆さんに感じて頂きたいのは、“身の回りに摂食障害はいる”ということです。

これには二つの意味を込めています。

一つ目は、自分が知らないだけで身の回りの人にも忍び寄っているかもしれないということ

二つ目は、自分の身にも忍び寄っているかもしれないということ

です

 

まず一つ目について。

友達、身内、知り合い、クラスや会社……もしかしたら言えないだけで苦しんでいるかもしれません。SNSでつながっていた方たちの中にも、「親に言えない」「会社に言えない」そう言って苦しんでいる方を多くいらっしゃいました。

私もまたこの中の一人で、身内や友達や学校の先生に言えずに黙っていました。唯一私自身の症状について詳しくお話ししたのは、病院に一緒に行っていた母親・学校生活を送る上で言うしかなかった担任と保健室の先生だけです。

結果、何気ない一言で傷ついたり理解されない事実に勝手にイライラしていました。入学したてのときは仲良くしていた友達も離れていきました。

 

多分、今大学に通い始めて出会った友達には、私は「普通の」人だと思われると思います。

 

痩せていないから、目の前では普通に食べているから「病気(摂食障害)には見えない」

体重が戻ってきた頃によく言われましたが、そこに落とし穴があるのです。

 

周りの人が悪いとは言いませんが、摂食障害は周囲の言動にかなり影響される病気だと思っています。

体重が増えてきてからは、「病気に見えない」と冷たい目線を送られることもしばしばありました。痩せていた時期の周囲からの目もそれなりにキツかったですが、体重が増えてからの目線は「甘えだ」「嘘をついている」そう言われているように感じて、常に「回復してきている私は甘えなんじゃないか?病気とは言ってはいけないんじゃないか?」そうやって自分を責めることが多くなっていました。

 

言ってくれれば……という優しい方もいらっしゃいました。それが分かった後でも、私は打ち明けるのを躊躇っていました。

なぜ言えないのか?

それは、嘔吐や過食など、周囲には知られたくない症状が多く、その罪悪感や“知られたら引かれるかもしれない”“恥ずかしい”という恐怖があったからです。また、理解のないまま掛けられた言葉から自分を守るために言わない、という面もありました。だから私は摂食障害についてはあまり周りには言ってきませんでした。

実際に打ち明けてみた時もありました。そこで話を逸らされたり、否定されたり、話した後に徐々に離れていったりしたことも、それに拍車をかけていました。

 

このように、仲の良い友達や近い存在である家族だからこそ言えない部分がある為、

余計に“周りにいるなんて知らなかった”“摂食障害ってよく知らない”“自分には関係ないこと”

そういう状況を作り出してしまいます。

 

 

 

次に二つ目についてですが

 

現在ダイエットをしようとしている方々やダイエットに挑戦中の方々、

「私は意志が弱いから関係ない」と思ってはいませんか?

 

私も始めはそう思っていました。

何なら、「そこまでガリガリになったら、増えても普通体重だから食べられるじゃん!」「なれるもんなら、なりたいくらいだよ!」なんてとんでもない考えをしていました。

中学生の時点では、受験太りが気になり食事制限や運動もそれなりに行っていましたが、部活をやっていた時期のままの食欲に負けて、結局痩せられずにいました。この時点では、よくあるダイエットをしたい女の子だと思いませんか?

なのに、知らないうちにダイエットの沼にハマって、摂食障害になってしまうんです。

 

当時ネットでダイエット法を漁ってた自分は、まさか自分がなるとは夢にも思っていませんでしたし、

それは極々まれな症例で、元から人一倍ストイックな性格である人またはストイックにならざるを得ない職業の人だけだから、自分には関係ない!そう思っていました。

 

終わりのないダイエット・自分の決めたルールをこなせ始めた時・数字でわかる達成感・周囲からの対応の変化……それらが摂食障害の餌になります。気付いた時にはもう戻れません

効果が出て一生懸命になったら盲目になって、摂食障害がここぞとばかりに自分に取り憑きます。誰にでもその可能性は大いにあります。

 

 

 

 

もしかしたら、一見普通に見える周囲の人の中にも居る可能性もゼロではない。そして、軽い気持ちで始めたダイエットの道には、見えにくい沼がたくさんあります。しかも、原因はダイエットだけに限らず、人間関係や様々なストレスとも絡み合う場合が多いです。

だから、他人事だとは思って欲しくないのです

 

 

当時すれ違いからギクシャクしていた家族との関係も改善し、今では母と時々、摂食障害で一番苦しめられた時のことについて話す回数も多くなってきました。

その中で、母から「何をすれば良いか、どう声をかければ良いか分からなかった」「なぜそうしてしまうのか分からなかった」ということ、そして自分は「SNSでの“共感”が自分を肯定できるツールであったこと」「周囲の環境が大きく関わること」がわかりました。

そして「知らない」ことで躓いてしまったり、「知らない」うちに傷つけてしまったり、「知らない」事にどうしようもない不安に襲われているのだということに気づきました。

 

ネットや病院・保健の授業や本などなど、摂食障害について知る機会は少なからずあります。しかしその中には、体に出る典型的でわかりやすい症状や将来のリスクなどについてなど、ほとんど同じ情報でザックリしたことしか明記されていませんでした。上に書いたように、摂食障害というものが一言では言い表せないほど様々であるため、それは仕方がありません。

心の問題が絡んでいる病気は特に、医学的根拠だけではどうしても説明しきれない部分があると感じます。文字で勉強しても実践でやるとまた違った物が浮かんでくるイメージです。

当事者になった私や母がいくらネットや本を読み漁っても知ることが出来ずに躓きまくったのは、具体的で生々しい事実が届いてないからなんじゃないか、と考えたのです。

 

そこで一例ではありますが、私が実際に日常生活で困ったことや言われて嫌だったこと・言動の理由や回復の考察など、実際に患ったからこそ分かる具体的でもっと深い部分を発信して摂食障害を「知って」もらおう、そして摂食障害という沼を減らすことや治療の参考になりたい、そう思いました。

 

私がこうして過ごしている今も、摂食障害の道に踏み入れてしまいそうな人がいる。踏み入れた後にどこに行けば良いかわからなくなってしまった人がいる。

SNSや病院で同じ摂食障害を患っている人を見てきたから、その事実はわかっている。

わかっているなら、同じ轍を踏ませる理由はないと思っています。

だから私はこの経験を話して、少なくとも私が通ってきた道と同じような道を選ぶ人を少なくしたい

そういう思いからこれから書いていこうと決めました。

 

それと同時に、回復した今の自分が辛かった事実に蓋をせず自身を振り返るという意味でも、この記事を書き進めようと思っています。加えて、現在進行形で“残っている症状の支配からの卒業”をすべく色々と奮闘しているので、そんな姿も含めどんどん晒していきたい思います

 

その中で、今摂食障害がまとわりついていて戦っている最中の方、その隣でどうして良いかわからないという方、摂食障害という病気についてあまりよく知らない方、ダイエットを始めている・している方などのお力になれたら嬉しいです。