2021年7月上旬。
日本時間の昼過ぎ、
深圳航空のフライトで無事中国へ戻った。
中国に到着したのは夜。19:00頃だ。
ここから恐怖の中国隔離ガチャが始まる。
(前回の予告からシレっと
タイトルが変わっとる事に気付いたアナタは
IQ200。
イメージ不足で尺配分をミスっていたのである。
陳謝。)
隔離ガチャとは。
隔離ホテルは管轄の市が
その時の空き状況とノリで決め、
ルールもホテルによって大きく違うからだ。
情報を集めておこうと、
中国隔離を経験した
何人かの日本人に事前に話を聞いていた。
この様な内容だった。
・窓が開かない。息苦しい。
なのに換気扇からトイレの臭いが逆流してくる。
死ぬかと思った。
・建物が隣接しており、景色が観れない部屋で辛かった。
・少し良いホテルだったが十四日分の宿泊代が三食飯付きでまとめて請求され、ひと月分の給料が飛んだ。
・決められた時間であれば出前を自由に頼めた。
・出前不可でホテルの超不味飯に耐える罰ゲーム。
・Wi-Fiがなかった。もしくは、あったがヨワヨワ君。
・狭すぎ。
・クーラーの風がぬるい
等々だ。
この隔離ガチャによって
十四日間のテンションが雲泥の差という訳だ。
ここで私お得意の
【最悪想定
(ひろゆき風に言うと最悪シュミュレーション)】
をしておく。
要は心構えである。
一番最悪を常にイメージしておき、
その通りであれば想定内。
起こった時の対策を予め立てておく。
少しでも良ければラッキーという考え方だ。
メンタルは自分でコントロールしておかないと、
中国の隔離とは戦えない。
という訳で最低バージョンの場合はこうだ。
・狭い
・臭い
・飯不味い
・Wi-Fiよわよわ
・クーラーぬるい
・出前不可
・窓完全封鎖
・景色悪い
・そのくせ金額が超高い
うん、
中国クオリティの最高峰隔離のイメージだ。
どこの隔離にも負けない条件だろう。
空港に着いてからお約束の
検査やアプリ登録、入力、等々で
二時間半程待たされる。
その後、同じ便に搭乗していた全員が
バスに乗せられた。
車内が真っ暗な怪しげな大型バスだ。
何故か大音量で警告音の様な音が鳴り続けている。
『キィーン!キィーン!』
という甲高い音だ。
「頭が割れそうだ....」
隔離前に何か洗脳させるつもりだろうか。
はたまた耳と頭を疲れさせて
着いたらエネルギーが無い状態で
何かされるのだろうか。
何かの人体実験だろうか。。
暗いという事もあり、
恐ろしさが込み上げ、
一段階心拍数が上がったのが分かった。
バスに乗る際、
一番前に並んでいた為、
乗車後すぐに最後列の端っこに座り、
イヤホンの音量を最大にし、
アップテンポの曲を流した。
「なんか分からんが、
こんな序盤で耳やメンタルに
ダメージを受けてはいかん。
慣れない初日が一番疲れる。」
あらゆる事を想定しながらバスに揺られた。
事前情報によると、
近ければ空港から半時間程で
隔離対応ホテルがある。
なのに一時間経っても、
一時間半経っても、
まだバスは走り続けている。
おかしい。
「土地勘のあるエリアだ。
位置情報で把握しておこう。」
「ありえない。遠すぎる。」
西の海沿いに空港がある。
真っ直ぐ東に二時間の所で止まった。
時間は23:30になろうとしていた。
プシュー!
バスのドアが勢いよく開く。
相変わらず車内の電気は付かない。
壊れているだけの様だ。
イヤホンを外し席を立った。
謎の警告音は止まっていた。
一日中移動と待機でかなり疲れていたのに、
バスから降りたと同時に
信じられない光景が目に飛び込んできた。
そこにいる人達は、
映画でしか見た事がない様な
防護服を見に纏っている。
バスから降りた人間は
黄色と黒の汚染物質のマークが貼られた
天幕に収容された。
「(おいおい、もう夜中だぞ。
誇張ボケにしては大袈裟過ぎるだろ。)」
と小声で突っ込んでしまったが、
彼等は真剣だ。
・勝手に出ないでね
・部屋に誰も呼ばないでね
・毎日検温してね
・体調悪かったら教えてね
等の内容の薄い誓約書を書かされた後、
入口でマスクを強制交換させられ、
全身、鞄、靴の裏まで消毒液を
ベチャベチャになるまでふりかけられた。
鼻を突く漂白剤のあの匂いだ。
コロナよりこっちの方が身体に悪そうだ。
各人、番号を割り当てられ、
番号で呼ばれる。
まるで囚人扱いだ。
順番に中に通されるが、
エレベーターを見て落胆した。
「ハズレを引いた。最悪だ。」
「いやいや、
ホーンテッドマンション過ぎるやろ。」
明らかに築三十年は経っている。
いや、もっとか。
エレベーターがここまで錆びてるのは
流石に初めて見た。
ツッコミ所しかなかったが、
肩を落としていても何も状況は良くならない。
【覆水盆に返らず】である。
胸を張り、口角を上げ、
ドキドキしながら部屋の前に付いた。
「頼む。。。。」
ギィ〜....
古ぼけた木の扉が音を立ててゆっくり開く。
「あれ?
思ってたより綺麗でメチャ広い。
しかも一人なのにツイン。
建物がかなり大きかったから
シングル部屋なんて無いのか。」
私は安堵した。
エレベーターを見て、
囚人収容所のイメージをしていた為か、
床は絨毯で少しカビ臭かったが、
そんな事は全く気にならなかった。
一応現在も営業しているホテルの様だ。
そこら中にカビがあり、
古臭い感じは否めないが、
広いというのはとても嬉しかった。
水も置かれてある。
頭の中ですぐに十四日間で割って
一日の使用可能量を計算した。
さて南国で一番大事なクーラーを付けてみる。
深圳は熱帯、亜熱帯の間のエリアだ。
7月頭でも当然真夏の気温だ。
しかも常にジメジメしている。
お、すぐに涼しくなった。
ここに関しては本当良かった。
この湿度でぬるクーラーだったら
それだけで身体を壊せる。
ん?
付けた時ちゃんと見てなかったが、
ちょっと冷えて現在温度25度はまあ分かる。
設定温度5度....
まあこれも中国クオリティという事で無視しよう。
5度まで下がるエアコンがあったら是非欲しい。
一台で何部屋もいけちゃうぜ。
窓は大きく、5センチ程開く様になっていた。
風が入る程ではない。
開かないよりマシだと思う事にする。
真っ暗で外の景色が全く見えなかったが、
起きてからの楽しみとしよう。
朝から約15時間、
ずっと移動と待機だった為か、
この日はシャワーも浴びずに
倒れる様に眠っていた。
時差の一時間も相まって、
とても。
とても長く感じた一日だった。
翌朝、鳥のさえずりと共に目覚めた。
「ん?鳥?」
なんと見晴らしが良く、
鳥も来る、
とても良い場所だった。
Wi-Fiは想定内のよわよわだったが、
現地のSIMがある為問題なかった。
しかも向こうは携帯代がメチャクチャ安い。
動画を気にせず観てもひと月3,000円台だ。
圏外じゃ無かった事もラッキーだった。
この条件ならやっていけそうだ。
毎日朝と晩、自分で体温を計り、
回ってくるスタッフに
現在の体調と共に報告するルールだ。
あとは食事だ。
ホテルの配膳もあったが、
一食食べて絶望した。
「まままままずい。。。。」
なんだこの軍隊飯みたいな簡易飯は。
非常食感が凄い。
栄養バランスの欠片もない。
しかも隔離が終わるとまとめて請求される。
幸い、時間の条件付きで、出前が出来た。
ホテル食が要らない人は申請をして、
ホテル代合計を安く出来る。
私は2秒で以後の食事を全キャンセルした。
中国では基本的に何でも出前が出来る。
コンビニ、薬、ぬいぐるみ、生花。
何でもだ。
送料は店側が負担する。
日本の様に高くない。
普通に店に行く金額と同等額だ。
すぐにコンビニで食料を買い込んだ。
牛乳
プロテインバー
鶏肉2種
コーヒー
梅干し
これらを朝食(間食)とし、
十四日分買い、
全て食べ切ると隔離が終わる様に並べた。
いちいち、後何日。を数えなくて良い。
これと別で、
主食はバランスを考え、
ヘルシーなミニ弁当を毎日出前した。
コーヒーぐらいあるだろうと思って
持っていかなかったのが唯一悔やまれた。
中国のコーヒーとお茶には
ほぼ全てに砂糖が入っている。
もちろんコンビニで買ったインスタントにもだ。
「ブラックが飲みたうぃうぇ。。」
前回の家隔離の時と同様に過ごした。
日の出と共に起き、
暗くなったらご飯を食べ、
シャワーを浴びて寝る。
ストレッチ
腹筋
背筋
腕立て
足上げ
踏み台昇降
部屋ウロウロ
かかさずやった。
何故かサバイバル的な気分になったのもあり、
気になっていた番組を制覇した。
参加者10人が大自然の奥地で、
シェルターを手作りし、
水と食糧を自給し、
最後の一人になるまで狩猟生活を耐える。
持っていける道具は10アイテムのみ。
食糧が手に入らず痩せていき、
BMIが17を切ったら強制退場。
といったような内容である。
まさにこれから山の中で
半自給自足を目標としていた私にとって、
とても良い刺激となった。
サバイバル好きな方は是非ご覧いただきたい。
現在はシーズン10まで出ており、
シーズン毎での完結の為、
とても観やすい作りとなっている。
といった具合の生活を十四日間繰り返した。
無事隔離が終わり外に出られた時は、
無意識に皆
【ショーシャンクの空に】
の表紙のポーズをやっていた。
【自由】
という事は当たり前ではないんだと。
きっと生きている間にはもう経験しないであろう、
なかなか無い価値観の勉強になった。
そんな十四日間だった。
episode6
-完-
次回
青い星の村人〜season0〜
episode7
『倒産寸前、自己の限界突破!命を賭けた仕事と死の覚悟。』
お楽しみに!
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