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愛知学院大学商学部青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。青木ゼミは小売業を中心とするマーケティング専門のゼミです。

8月19日から札幌市において始まった第77回全日本大学準硬式野球選手権大会。愛知学院大学準硬式野球部は東海地区代表の1校としてそこに出場しました。ゼミの活動ではありませんが,幾分かゼミに関係しています。現在私は当部の部長を務めています。野球経験者ではありませんが,教育活動の一環として,教員の私が部長を拝命しています。部長としてこの大会に同行しました。そして,複数のうちのゼミ所属学生が選手として出場したのです。


3年ゼミ生が3名,2年ゼミ生3名(この秋学期に正式に配属予定)の計6名がこの大会にて選手登録されました。8月20日の1回戦対同志社大戦,残念ながら7-1で負けてしまいましたが,強豪相手にそれぞれが役割を果たし,自分たちができることを精一杯やってくれました。堅い守備で見せ場を作っていたゼミ生たちや,ベンチで必死にムードを盛り上げているゼミ生たちの姿に心を打たれました。そして,9回裏,敗色濃厚な場面で,ゼミ生たちがヒットを連打して,何とか一矢報いる努力をしてくれた姿に熱いものがこみ上げました。

 

大学準硬式野球の連盟は,アマチュアスポーツの精神に則り学業とスポーツとの両立を目指すこと,つまり文武両道を基本方針にしています。大学生として,きちんと勉学に励み,野球にも打ち込む。この両道を極めれば素晴らしい大学生活が得られると思います。

 

うちのゼミでは,大学らしい学びをきちんとやることと,課外活動とを両立させることを教育の柱にしていますので,準硬式野球の活動に共鳴できることが多いといえます。準硬式野球部部員に限らずすべてのゼミ生には,研究発表・卒論と,部活動・ボランティア・趣味などに力を尽くして,一生の宝物になる大学生活を送って欲しいと思います。

 

なお,このブログはゼミ活動報告のブログなので,準硬式野球部に所属するゼミ生の活躍をたたえていますが,今回もちろん部長としてすべての本学準硬式野球部部員の姿に心を打たれました。良い夏の思い出を与えてくれたすべての部員に感謝します。すべての部員は文武両道を突き進み,多くの本学学生のあこがれになれるような活躍をして欲しいと思います。

 

 

 


7月下旬,商学部,経営学部,経済学部の同窓会組織「商経会」の懇親パーティーが開催されました。ゼミの卒業生には,若い会員の出席が少ないので商経会パーティーに出席して欲しいと昨年末のゼミの忘年会で話をしました。なんと今回3名のゼミの卒業生がこのパーティーに出席してくれました。

 

30代半ばになる卒業生たち。商経会パーティーでは最若手の部類で,末席に着座していました(卒業年次順に着座している模様)。このパーティー中,私は様々な教職員や同窓会役員などと懇談しなければならなかったので,ゼミ卒業生たちとはゆっくり会話できませんでした。その後ゼミ卒業生たちと落ち合い,2次会ということで,適当に見つけたワインバーであれこれ話をしました。仕事,家庭,転職など取り留めなく色々な話が飛び交いました。活躍している姿を頼もしく感じました。

 

なによりうれしかったのは,忘年会での会話を覚えていてくれて,実際に懇親パーティーに出席してくれたことです。年末の忘年会開催と,夏の商経会パーティー出席をゼミ卒業生の恒例行事にしたいと思います。

 


先回の記事で,大学には3層の教育があるという説明をしました。基本層は,教科書の内容を正しいとして,学生が理解して覚え,テストで再現する知識伝授型の教育。中間層は,教員側がテーマを与え,学生はそれに応えて,資料を調べ,その結果をまとめるという調べ学習型の教育。上層は,学生が問題を見つけ,あらかじめ答えのない問題に対して,何とか答えを出し,それに対して明確な根拠づけを行うことを求める研究型の教育。

 

最近,濱中淳子・葛城浩一編著『学ぶ学生の実像――大学教育の条件は何か』(勁草書房,2024年)という研究書を読みました。この本は,ノンエリート大学,中堅大学,難関大学,放送大学それぞれにおける社会科学系学部学生の学びの実態を調査し,分析しています。学生たちが以上述べた3層どこに関わりを持って学んでいるか(学んでいないのか),インタビューを通じて把握しています。これを読むと,社会科学系において,上層を実現するのは至難といえることが分かります。ノンエリート大学や中堅大学はもとより,難関大学であってもほとんど実現していないことが理解できます。ちなみに,ノンエリート大学では,基本層の実現も簡単ではない。

 

大学は教員が研究者で,その教員の研究に学生を巻き込み,学生に研究の一端に触れてもらうことが大学教育の本道であると常々考えていますが,実際には簡単に実現しないということです。私自身中堅大学の教員としての経験からも納得します。ただ,これを実現しないと大学の存在意義にも関わると考えています。

 

本商学部では,今年度から「リサーチ方法入門」(2年次)という科目を開講しました。ゼミや卒論で研究を手掛けてもらうための基礎を学生に学んでもらう授業です。5名の教員によるリレー式の授業で,私も担当しています。今年度私は,担当回において,調べ学習と研究は違うということをしつこく説明しました。そして,研究では,学生自身が独自にリサーチ・クエッションを持つ必要があること,自分が知らないことを知ることは勉強に過ぎないことなどを説明しました。調べ学習は研究ではないことも強調しましたが,おそらく学生たちは理解していないでしょう。実際にやってみないと分からないし,そもそも基本層レベルにきちんと対応できない学生が存在するからです。

 

商学部は実学を標榜していますが,学生に資格を取得させることや企業とのコラボレーションを行うのみでは,大学教育とはいえないというコンセンサスを学部内で得ています。大学である以上,学生に研究の一端に触れてもらう教育を重視する必要がある。そして,このことは学生の課題発見・課題解決能力向上につながるというコンセンサスです。そのために,「リサーチ方法入門」を開講しましたが,手探り状態です。

第19回を迎えた名古屋マーケティング・インカレの第1回中間発表会が7月12日に愛知淑徳大学にて開催されました。今回は5大学8ゼミから34チーム参加しました。150名程度の参加者です。例年通り,発表会と懇親会セットで開催となりました。

 

15分の発表と15分の質疑応答(計30分の持ち時間)で研究発表が行われました。いつも1回目の中間発表会では,参加学生たちは,研究発表の終着点と今後どのように進めるのかという計画を発表します。具体的な内容というよりは決意表明にとどまる場合もあります。今回ほとんどのチームは研究目的と行動計画をあいまいながらも何とか発表していました。また,あいまいながらも,既に仮説と検証方法(アンケート)を示していたチームもありました。

 

夏休み以降,実際に結論をどのように案出するか考え始めると行き詰まることが通例です。研究目的を何度も見直すことになります。既に仮説と検証方法を示していたチームも,アンケートでよいデータがとれず,そもそもアンケートを実施する意義はどこにあるのかで迷い,漂流するかもしれません(例年そうなることが多い)。

 

参加学生たちに感じ入って欲しいのは,この迷いや混乱こそが研究発表のだいご味なのです。簡単に答えが出る取り組みは研究発表に値しません。

 

発表会最後の講評でつぎのような話しをしました。

 

「大学教育には三層がある。基本の層は,教科書の内容を正しいとして,理解して覚え,テストで再現する教育。小中高の延長で,知識伝授型の教育。その上にある中間層が,教員側がテーマを与え,学生はそれに応えて,資料を調べ,その結果をまとめるというスタイルの教育。いわゆる調べ学習。最上の層が,学生が問題を見つけ,あらかじめ答えのない問題に対して,何とか答えを出し,それに対して重層的な根拠づけを行うことを求める教育。この層が研究発表に該当する。皆さんの中には,まだ調べ学習にとどまっている人がいる。皆さんにここで経験してもらうのは最上の層の教育である。これを実現するための仕掛けとして,名古屋マーケティング・インカレがある。この仕掛けは,150人ほどが集まる一つの大きなゼミである。専門の違う教員が8名いる。答えのない問題に立ち向かうためには,様々な専門知が必要である。したがって,所属大学の担当教員以外の先生からも指導を受けて欲しい。」

 

10カ月近くに渡り,学生間でディスカッションし,様々な先生方からアドバイスを受けながら,迷い,混乱しながらながら,答えのない問題に対し,自分なりに何とか根拠のある答えを出していく。これが学生の知的能力を大きく成長させます。参加学生の皆さんは,混乱から逃げないでください。

 

最後に,12月の本大会では,優秀賞に選ばれても選ばれなくても泣いてください。勝ってうれし涙を流し,負けて悔し涙を流すです。大半の学生が優秀賞には選ばれませんが,その時悔し涙を流せるほど徹底した努力を重ねて欲しいと思います。

 

 

 

 

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マーケティングの研究・教育の世界において,必読書の一つにマイケル・ポーターの『競争戦略論』があります。これには企業が競争優位を確立するための基本戦略が記されています。競争優位を確立する方向性は2つで,1つはコスト・リーダーシップ,もう1つは差別化追求です。ポーターによれば,両方を追究することは困難で,もし両方を追い求めると,stuck in the middle(中途半端な状態)に陥るため,競争優位を確立することはできないとされています。二兎を追う者一兎も得ずということです。

 

一般的に,企業の経営資源には限りがあるので,あれもこれも手掛けることができないため,二兎を追うことができないと考えられています。また,2つの戦略の方向性にとって,必要な能力やノウハウが異なるので,一つの企業で複数の能力を獲得することが困難であるということも理由としてあげられます。

 

しかし,実際の企業をみれば,両方を追い求めて成功している事例が存在します。二兎を追うことができるのでないかという訳です。その事例を分析した良書を最近読みました。浅羽茂『二兎を追う経営―トレードオフからの脱却―』日本経済新聞出版です。

 

この本では競争戦略の方向性をポーターよりも広くとらえ,品揃えの多様化 VS コスト・リーダーシップ,探索 VS 深化などの二律背反だと考えられている方向性について,両立の事例を検討されています。小売業においては,品揃えの多様化は差別化の追求に結びついています。

 

品揃えの多様化とコスト・リーダーシップ両立については,Zaraの事例を用い,多様な先端ファッション衣料をつぎつぎ投入しつつ,低価格販売を実現する方法が分析されています。多様な先端ファッションを実現しつつ,ある程度品質を犠牲にする,商品を安定的に供給しないなどの供給体制によって低価格実現にこぎつけている状況が記述されています。

 

高品質とコスト・リーダーシップの両立については,レストラン「俺の」を例にとって,高級料理を低価格で販売する方法が分析されています。 「俺の」は当初立ち飲み・立ち食い方式で客回転を速くし,それをてこにローコスト化・低価格化を図ったことが記述されています。

 

他にも製造や組織の工夫により,二兎を追うことに成功したメーカーの事例がたくさん出てきます。理論の提示もありますが,多くの事例紹介があり,それぞれの要因・理由の説明が読みどころです。マーケティング戦略に関心のあるうちの大学生には是非読んでほしいと思います。