毎週ゼミ4年生全員の卒論途中経過を確認しています。今回複数の卒論経過について,「条件を考え出して」仮説を検討せよと指示しました。
あるゼミ生が,観光客が道の駅で買い物をする場合,地元客よりも特定商品に対する支払い意思額が高くなる,衝動購買の頻度が上がるなどの仮説を説明しました。調査の際には,年代や性別を聞くので,この属性間で結果に差が出る可能性も説明しました。
これに対し,私からは,もっと条件を考え出して,条件によって支払い意思額に差が出るかどうか仮説を検討してはどうかと指摘しました。例えば,観光客と地元客を二分するのではなく,自宅と道の駅までの移動距離(時間)を聞き出して,移動距離という条件が支払い意思額に影響を与えるかどうか考察する。あるいは,観光客,地元客それぞれについて訪問目的(動機)を想定し,訪問目的が支払い意思額に影響を与えるかどうか考察する。さらには,消費者の属性・目的に加えて,購買対象となる商品を複数取り上げ商品特性という条件を掛け合わせて考察するなど。
抽象的すぎる大理論では,検証が難しいうえに,社会の実態をうまく説明できません。逆に個別具体的な実践報告では特定の状況の説明に終始し,現象の裏にあるメカニズムや法則性を導くことができません。
そこで何か条件を見つけ出し,その条件が結果に影響を与えるのかどうか考察する。条件のついている範囲で思考することになるので,抽象的すぎない議論になります。また,その条件がなぜ(あるいはどのように)結果に影響を与えるのか考察すれば,現象の裏にあるメカニズムを考察することにつながります。
今日は卒論について,「条件」の話をゼミ生たちにしましたが。3年生が手掛けている研究発表のテーマ検討でも同じです。社会科学的現象を学問的に取り上げる際には,現象が起きる過程とそれに影響を与える条件を見つけ出す思考を心掛けてほしいと思います。