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愛知学院大学商学部青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。青木ゼミは小売業を中心とするマーケティング専門のゼミです。

10月15日日曜日は名城公園キャンパス大学祭の日でしたが,同時にホームカミングデーが開催されました。卒業生が母校に帰るという企画です。その催しの一環として,商学部は学生による研究発表会「ビジネスカンファレンス・ホームカミングデー大会」を開催しました。卒業生と現役学生とが触れ合う場として設けました。

うちのゼミからは3年生2チームが発表しました。1週間前に,名古屋マーケティング・インカレ第2回中間発表会でゼミから4チームが参加しましたが,そのうちの2チームです。まあまあの出来だと自覚して,率先してエントリーしてくれました。1つは同性婚式が広まらないのはなぜかを追究する発表,もう1つはハンバーガーチェーン「バーガーキング」の日本市場参入に関するマーケティング戦略の是非を考察するチーム。

私は発表会の運営委員・司会役として,動き回っていたので,彼らの発表は聞きませんでしたが,参加者のコメント用紙の記入を読んでみると,悪くない発表のようでした。1週間前の名古屋マーケティング・インカレ第2回中間発表会でつまづいた点を修正していたようです。

今回は1月開催予定の本大会前の中間発表会ではあるが,同窓会組織「商経会」の援助を受けて,学部長による表彰が行われました。本大会とは違い,少数の優れた発表を選出するというのではなく,「ダメではない」真面目に努力した成果をたたえるという姿勢で表彰がなされました。全12発表のうち,不真面目でダメな発表は1つもなかったので,今回の発表者全員に研究奨励賞が学部長より授与されました。

かつての中間発表会では,準備不足で,何を語っているのかよくわからない発表が含まれていましたが,今回そのようなものは1つもありませんでした。3年生の選ばれたチームに加え,自発的に参加を希望した4年生(卒論)も含まれていたので,全体レベルは過去の中間発表と比べれば,高かったといえるでしょう。

1つでも発表の機会が多ければ,学生の思考やプレンテーション能力は向上すると思います。発表したうちの2チームの能力向上を願っています。また,発表しなかったチームも刺激を受けて一層の努力を重ねるよう祈っています。

 

久しぶりの更新です。今数年ぶりにまともに研究・執筆活動を行っています。これまでずっと大学内の役職に就いていたため,研究・執筆活動に手が回りませんでした。今手掛けているのは10年以上前に出版した小売マーケティングのテキスト・ブックの改訂作業です。

この10年間,小売業界の実際の動き,それを受けた研究成果の積み重ねには目まぐるしいものがあります。それを捉えて,テキスト・ブックの内容を追加する必要性が生じています。とりわけ,インターネットを活用した小売業者のマーケティングは,インターネット通販を手掛けるだけでなく,インターネットと店舗とを一体化した顧客対応へと変貌を遂げてきました。これを理論的に解読してテキスト・ブックに取り入れる必要があります。

それ以外にも,不十分な点を補う箇所,新しい研究動向を取り入れる領域がいくつもあります。マネジメントの体系,消費者の購買行動,品揃え,価格,店舗,ロジクティクスなど小売マーケティングに関する様々な領域を網羅する必要があるので,渉猟しなければならない文献は多岐にわたります。

この半年間新たに数百の文献を読んで整理してきましたが,実際に使える文献はその5分の1程度以下,数十です。ゼミ生に手本を示すとすれば,文献収集を始めとするデータ収集は,ほとんどが無駄になるが,その無駄を許容して,できる限り徹底的に収集しなければ,よい思考にたどり着かないということです。

ゼミ生は今,研究発表大会,卒業論文のためにそれなりにデータ収集や執筆活動を展開してくれていると思いますが,とにかく安易に結論を出そうとしないで欲しい。

回り道でも,徹底して関連する文献をいくつもいくつも読む。読んだ中で直接使える文献はほんの少し。それでも読み続ける。ある程度思考がまとまったら,つぎには1次データ収集(観察,ヒヤリング,アンケートなどの調査)を計画する。この1次データ収集もうまくいかないのが通例で,何度もやり直す必要がある。ということを覚悟する。

無駄を許容して,試行錯誤することを当然視して欲しい。その過程で思考が固まり,テーマが絞られ,納得のいく結論が見えてきます。

 

7月8日土曜日に愛知淑徳大学において名古屋マーケティング・インカレ第1回中間発表会が開催されました。34チーム総勢150名が発表しました。うちのゼミからも3年生4チーム13名が参加しました。今回は4年ぶりに中間発表会においても懇親会が開催されました。これでようやく平常に戻りました。

いつものように,今後どのように展開するかという決意表明にとどまる発表内容が大半でした。一部インタビューやアンケートなどの1次データ収集を行っているチームもありましたが,テーマが未確定であるため,それがどのように主張を支える根拠になっているのかが不明で,探索的・試論的な調査にとどまっていました。うちのゼミでも,名古屋市内の結婚式場ほとんどにアプローチして,電話インタビューを実施したチームがあります。しかし,想定とは全く違う回答を得てしまい,テーマを根本から見直すことになりました。

発表会後,テーマの見直し・改善を考えるように指示しました。その時に諭したことは,「文献をきちんと読みなさい」です。彼らが取り上げている,同性婚式,下位100円ショップや下位ハンバーガー・チェーンの生き残りなどについて,直接論究している研究はないかもしれませんが,それぞれ参考になる既存研究は多くあります。また,現象を説明する関連理論もたくさんあります。例えば,下位100円ショップの生き残りについては,競争戦略論における,競争地位別戦略,弱者戦略などに関する議論が参考になるかもしれません。あるいはそれ以外の研究が参考になるかもしれません。試行錯誤するしかないのです。

しかし,ゼミ生たちは理論的文献を読むことを嫌います。そんなことをするよりも,簡単な質問項目をいくつか編み出し,アンケート調査をさっさと実施して,質問に対して好意的な回答が得られれば,それで主張が根拠づけられると安易に考えています。ただし,その発想には重大な欠落があります。なぜそのような現象が起きたのかという問いとその答えを探す姿勢を持っていないのです。なぜそういう現象が起きたのかをロジカルに説明できなければ,まともな研究発表にはなりません。理論は現象が起きるメカニズムを示します。理論を学んで,なぜそのような現象が起きたのかという問いとその答えを探す姿勢を身に着ける必要があります。

最後にゼミ生に伝えますが,今探し出し,今後明らかにすべきは「目に見えないこと」です。それは要因やメカニズムと呼ばれるものかもしれません。目に見える現象の奥に潜む「目に見えないこと」を追究する過程が研究であり,それをロジカルに他人に伝えることが研究発表の場で求められるのです。現状では目に見えることを整理しているだけです。

現在ゼミ3年生の研究発表チームの一つが,同性カップルの結婚式・披露宴が広がらないのはなぜか?というテーマで調査研究を展開しています。当初読んだ関連記事では,式場が拒否するからだということでしたが,実際に名古屋市内の式場数十にインタビューしてみるとほとんどが同性婚式・披露宴開催可とのこと。したがって,何がその広がりを阻んでいるのか仮説立案のために悩んでいます。

ところで,結婚式・披露宴に関する面白い記事を見つけました。下段の記事は,ブライダルフェア(結婚式場見学会)にやってくるカップルの多くがフレンチのコース料理を食べたことがなく,試食会で初めて経験したことを報告しています。デフレが続き賃金が上昇しない経済情勢の日本では,結婚式を挙げることができる比較的余裕のある中流層でも,コース料理を食べたことがない人が多くなっている。経済格差は経験格差をもたらす一例ではないかという指摘です。

この記事では,以前ならば,安価な料理と比較的高価な料理を食べ比べてもらうと,ほとんどの見学者は高価な料理をおいしいと評価し,そちらを披露宴メニューに選択した。しかし,今では料理の味の違いが分からないので安い方でよいと答えるカップルばかりになっていると報告しています。そして,それは文化の衰退につながるのではないかという危惧を表明しています。

この記事を読んだときに,本当にカップルの多くがフレンチのコース料理を食べたことがないのか? 印象論ではなく,それを示すデータがあるのか? また,それが仮に本当だとして,なぜそうなったのか? 経済格差が進行したため,フレンチコースの食事を経験することができる層が減少し,経験格差を生んだという記事の説明を支える根拠はあるのか? 結婚して式を挙げることができるカップルは余裕のある中流層であるはずだが,その人たちがフレンチコースを食べる経験がなくなったとことについて,経済環境の悪化以外に理由は存在しないのか? 

いつもゼミで諭している,なんで?ほんま?を追究せよ!に適した例のような気がしてあれこれ考えています。こういう何気ない記事の中に研究ネタが転がっていると思います。

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あなたが初めてコース料理を食べたのはいつだろうか。ウエディング研究家の安東徳子さんは、「披露宴を行うのは30代から40代前半のカップルが中心だが、コース料理を食べたことがないという人が増えている。廉価な会場だと9割のカップルが『ウエディング試食会で食べるのが初めて』というケースもある。経験の格差が広がっている」という――。

昨年、あるホテルのブライダルフェアで行われたフレンチの試食会でのことです。この日は8組のカップルが参加していました。部屋の中ほどの席に座っていたカップルの新郎が、おもむろに両手でスープ皿を持ち上げ、直接口をつけてズズっと音を立てて、スープを飲み始めたのです。周りを気にすることもなく、ゆっくりとスープを飲む干す姿はとても堂々としていました。さらにびっくりしたのは、その後でした。向かい合って座っていた新婦も同じようにスープ皿を持ち上げて、口をつけて飲み始めたのです。まるで新郎を見て「そうやって飲めばいいのね」と納得したかのような表情でした。

安東 徳子「『コース料理を初めて食べた』というカップルが9割…婚礼業界で常識化する『残酷すぎる経験格差』の実態」『プレジデントオンライン』2023/05/26 抜粋

本日授業の前後,ゼミに関する相談を受けました。驚いたことに,うちのゼミが今年度人気ゼミになっているので,どうしたら入れるでしょうかという質問をいくつも受けました。

私が返答したことは,このゼミは例年不人気ゼミで,1次募集で定員を満たしたことは過去20年でほとんどない。いつも1次募集時応募者数名で,3次募集まで行い,ようやく定員を満たしているということです。したがって,人気殺到ということは信じられないということです。

現2年生の勘違いによって,うちのゼミの表面的な人気が盛り上がっているのかもしれません。このゼミへの応募を考えている学生の皆さん,よく考えてください。いままで20年間不人気であったこのゼミ。

厳しいという評判で不人気でした。大学教育として当たり前のことを行っているだけなので,私はとりわけ厳しいとは思いませんが,うちの学部のレベルからすると厳しいゼミということで,多くの学生が忌避してきたゼミです。皆さんに対するこちらの対応は今後変わりません。変えるつもりもありません。楽しくないことがたくさんあります。

研究テーマは自分たちで案出してもらいます。研究発表のテンプレはありません。何もかも自分たちで決めてもらいます。面白くないかもしれない文献調査をしつこく行ってもらいます。つらいかもしれないヒヤリングやアンケート調査もしつこく行ってもらいます。プレゼンは毎週要求します。不十分な発表に対して,「おかしい」と指摘して,次週までに修正することを求めます。「あかん」という評価が毎時下ります。「頭使った?」「なんで?」「ほんま?」しつこく詰問します。

よく考えて応募してください。このゼミは本当に不人気ゼミです。それで良いのです。そういうゼミです。人気ゼミにするつもりはありません。このゼミに応募を考えている皆さんにとっては,他のいつもの人気ゼミに応募したほうが良いかもしれません。

おそらく卒業生も驚いているでしょう。青木ゼミが人気ゼミ? ここはそういうところじゃないよ! 本気の少数の人が覚悟して応募するところだよと。