「ダンジョン飯」1~14巻、「竜の学校は山の上」、「竜のかわいい七つの子」を読んでの感想である。たまたまダンジョン飯以外の久井先生の漫画を発見したため、ついでに買ってきたので感想を書く。

 

ダンジョン飯に関しては、文句も出ない良作の部類である。巻数の量、話の終わり方、話の流れ、と全て計算されているような感じを受ける。まずは巻数から書いていく。

 

1.14巻で終わった事による他人への勧めやすさ

面白い漫画であればあるほど巻数が増えて揃えにくくなるというデメリットが増してくるが、この漫画は14巻で終わるので非常に揃えやすい。また、ボリュームのない巻数というほどでもないの読むにしてもそこそこに楽しめる巻数量なのが良い。

 

 

2.話の終わり方

内容については書かないが、非常に良い終わり方であったと言える。読者が知りたくなるエピローグを紛団に盛り込んでいたり、各ボスの倒し方も他の漫画にないような内容なのでよく考えて作られているのが分かる。読んでいても次々に頁を捲りたくなる。また、途中途中で書かれていた伏線のようなものをほぼ回収するのは凄いなと思った。例えば、ライオスは王になりそうな雰囲気は出していたが、本当になるのかは最後の最後まで分からなかった。

 

 

3.話の流れ

これに関しては非常にシンプルでかつ、最初から最後まで一貫していたのは非常にポイントが高い。「妹を助けたい」、「モンスターを食べたい」を貫き通したのは高評価と言わざるを得ない。有名な漫画でも最初から目指している目的は、結構ぶれぶれになる事は多い。目的を一貫して通し続けるというのは中々難しい事である(以前評論?したベルセルクですら、グリフィスを倒すという目標がぶれている)。

 

 

4.ダンジョン飯以外の久井先生の漫画を読んで気づいた事

タイトルからしてもそうだが、久井先生は非常に竜(ドラゴン)という種族が大好きなのが伝わってくる。これは自分自身もそうだから、よく共感できる。例えばダンジョン飯では、竜はそこそこに登場しているが、ファリンが食べられた竜以外討伐していない。これは竜という生物が孤高の存在だという認識をしている竜好きの特徴である。近年の作品では、竜という存在が簡単に倒されたりで不遇な存在というか、特別な感じを出さない物で溢れているが、久井先生が描いた漫画にはそういう描写は一切ない。

 

また、ダンジョン飯のライオスは久井先生本人が反映されたキャラだと良く理解できる。主人公は描いた人の気持ちを代弁するのはよくあるが、キャラそのものが作者自身を投影するのは中々ない。恐らく竜の味について詳細に説明されていたり、料理法についても細かく描写されている。これは久井先生が竜に対してやりたい事なんだなぁと感じる。

 

 

5.総評

良作の中の大作と言える漫画である。シンプルな内容かつ、詳細に書かれた表現は他の漫画にない良さをもっており、絵柄からくる雰囲気も話の内容とマッチしていて非常に良い。人に勧める一番の漫画は何かと問われた時に出るのはこのダンジョン飯であろう。それくらいハイレベルな漫画の一つと断言できる。最初にも書いたが、話のシンプルさや終わりまでの巻数と言い、非常に計算尽くされた漫画であり、ここまで優秀な作品は非常に少ないだろう。

 

ダンジョン飯以外の作品は、日本昔話を彷彿させる内容が多くこの基礎があるからこそのダンジョン飯なんだなぁと感じた。一つ一つの話もシンプルかつしっかりとオチを付けて終わらせているため非常に面白かった。