ヘンデル:アリアと変奏曲(組曲第15番 変ロ長調より)
ワンダ・ランドフスカ(クラヴサン)
録音:1937年
同じ変奏曲形式による「調子のよい鍛冶屋」のような派手な見せ場はないですが、ランドフスカは確かな技巧によって、端麗な曲想に慎ましい香りを添えています。録音に近接感があり、音の輝きや粒立ちがダイレクトに伝わるのも嬉しいところです。
ヴァイオリンと同様、ランドフスカのクラヴサンの王朝的な気品はCDではなかなか十分に再生しきれないところがあります。CDだけを聴いていると綺麗な音に感じられるかも知れませんが、それは好意的な誤解と言うべきで、比較すると味はあっても馥郁とした香りが抜けてしまっていることが多い。名高いスカルラッティやクープラン、バッハのゴールドベルク、平均率の録音も、できればLPで聴かれる事をおすすめしたいです。
しかし、東芝音楽工業の当録音のLPはなぜかピッチが高く、変ロ長調とロ長調のどちらにも聴こえて煩わしいので、私は仕方なく上記の英国プレスのCDで聴いています。
YouTubeに一つだけ良質な復刻があったので、参考までに貼り付けておきます。↓