明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
東山
静に羽子の
舞ひ落ぬ
虚子
肉筆。共箱(作者本人の署名捺印がある箱)。
◯高浜虚子(高濱 虛子、1874年〈明治7年〉2月22日 - 1959年〈昭和34年〉4月8日)
明治・大正・昭和の日本の俳人・小説家。
虚子が生きていた頃のお正月には、東山あるいは日本各地の道ばたで、美しい和装に身を包んで羽子をつく女性の姿が幾らも見られたことでしょう。私の幼かった昭和後期でも、近所を歩くと羽子板をついたり駒を回して嬉しそうに遊ぶ子供たちがいたものですが、そういう新年の日常を詠んだ句も、平成、令和と時が過ぎいつしか懐旧の想い無しには読めなくなった感があります。
なお羽子、羽子板は遊び道具でもありますが、羽子板飾りは厄除けや無病息災の意味をもつ「女の子のお守り」でもあります。生まれて間もない赤ちゃんの初正月には、子供が健やかに育つようにという願いを込めて綺麗な羽子板飾りを贈る慣習がありました。

