今世紀以降の演奏はあまり音盤で聴くことがない自分なので、ユーリ・シモノフ氏の活動履歴についても詳しくないのですが、この「1812年」の指揮ぶりは渾身の熱演に感動すると同じ程度に、腹が痛くなるほどの笑いを誘うものでした(特に13分台から末尾にかけて・・)。

全身的な表現、熱っぽい棒振りが空回りするということはなく、むしろ効果を考え抜いた緻密な指揮であり、極めて個性的ながら見ていて嫌味はありません。楽曲のもつ情緒、物憂さ、興奮、高らかな喜びを、大オーケストラから引き出すことに誠心誠意を尽くしているのが伝わってきます。


それを重々理解しながら観ても、やはりシモノフ氏の所作が面白可笑しい、ということでした。

(音楽を時事問題と結びつけて聴く人が少なくないようなので、曲についてはあえて触れない事に致します。)