ユニバーサルがSHM-CD仕様で発売している「ジャズ百貨店」シリーズに、昨年シナトラの『クリスマス・アルバム+2』が加わりました。60年以上にわたり世界中の音楽ファンから愛されている名盤で、敬虔な静寂感の漂うクリスマス・アルバムです。
原題:『A JOLLY CHRISTMAS FROM FRANK SINATRA』
フランク・シナトラ(VO)
編曲&オーケストラ指揮:ゴードン・ジェンキンス
録音:1957年(ボーナス・トラック2曲:1954年)
ヴォーカル、ストリングスの双方において高音質CDの効果が良く出ているようです。いつどこで行ったリマスターかは具体的な記載がありませんが、シナトラの声が一段肉付きのよい響きに変わっていて、ファンとしては大変好ましく感じます。
また、従来の国内盤は様々な新ジャケットでリリースされていましたが、当盤では秀逸なデザインだった1950年代のキャピトル初期盤のイラストが採用されています。

市販CDに採用され始めてから十数年になる高音質SHM-CD。その実際の鑑賞上の効果については、聴き手自身の過去の音盤体験、現在の再生環境などにより多分に実感の度合いが左右されるように思われます。残念ながらメーカーの波形データが示唆する通りに演奏が生気を取り戻したり、音場に奥行きが出るとは限らないようです。綺麗で上品になった半面、音像が甘い、つまり焦点がぼやけると感じたことが私も度々あり、正直なところ、当たりはずれの割合は4:6から3:7といったところでしょうか。
尤も私の再生機器はマニアから見ればまだ序の口レベルのもので、全幅の信頼は置けない。外れだと思った7割のCDも今後の改善次第で好印象が得られるかも知れないと思うので、安易に手放すことは控えています。
それでもこのアルバムについて言えば、ヴォーカリストの人間的な表情が繊細になり、思わず聴き惚れてしまう素晴らしい音質です。通常CDのフォーマットには違いありませんが、純粋に音楽体験としての感動を深めてくれる音盤ではないかと思います。

アルバムの詳細についてはこちらを。↙️
シナトラの歌唱に対する感想は全く変わっていないので添付します。