(本日のInstagramより)
今日届いたばかりの『朝の論語 講座·暁の鐘』☕。
昭和37年、安岡正篤先生は朝5時からのラジオ講座「暁の鐘」を19回に渡って受け持たれた。碩学による深い、感興ゆたかな講義は大変な共鳴を呼び、聴けなかった人達からもぜひこれを本にしてほしいという熱望があったため、放送筆記を元に本人が加筆し『朝の論語』と題して公刊されました。
「朝の論語」に「暁の鐘」・・どちらも清々しい気分を呼び起こさせる佳い題名です。平生、早起きできぬ人間は駄目だと言っておられた安岡先生らしく、第一講は「朝こそすべて」から始まる。元々読むのは大変遅い方だし、早々に流し読みできる内容ではありませんので、文字通り毎朝、一講か二講ずつ読み進めて行こうと思います。
なお、残念ながらすでに「現品限り」扱いとなっている品のため、先々の入手は困難になるかも知れません。
安岡さんの講話というのは、お堅い学者のやるように古い方古い方へと主題を沈潜させるのではなく、古典から人間の心を汲み取り、それを現代(執筆当時)の世相や深刻な諸問題と絡み合わせ、先賢の思想を我々の人生上に活かすことに眼目を置いている。これは孔子、老荘、王陽明ほか、氏の没頭した分野の何を論ずる場合にも終始一貫している態度です。そして理詰めで対象を分解せず、人間学の視点から努めて包括的に人物の思想を読解しようとする。翻って科学の進歩した現代の我々の世界はどうか。進歩どころか益々荒廃した、醜いまでに徳性や気骨の退化した文明が開けていないかと訴える。現代社会に対する洞察にも優れている人だから、そうした先哲の知恵を柔軟に応用できるのだろう。洗練された語調ではあるが命の叫びが込められた安岡さんの語り口は、時に力づよい警鐘となり、また時にはじわじわと心に滋養を与える味の深さを持っています。
論語を主眼に置いた作品を読むのは初めてになりますが、本書を座右に置く読者も多いようなので、きっと益のある話をいただけるものと期待しています。