拙インスタグラムより↓

「ジュンク堂仙台tr店が7/18で閉店とのこと。

電子書籍は読まず、ネット注文も滅多にしない自分にとって心のオアシスとなる場所だったのに、残念です😢。


自粛政策と自粛ムードのせいで、色んな店の灯が消えて行きますね・・。書店の不振は今に始まった事でないにせよ、疫禍が決定的打撃を与えたのは確かでしょう。」

 


9年前の大震災の後、ジュンク堂が今のビルに移転し営業を再開した時の感動を思い出します。それまで駅前エリアに二軒あったのを一ヶ所にまとめての再スタートでしたが、書店の復興というのは深い痛手を負った市街地に温かな文化の明かりが灯ったようで、他の何にもまして心の支えに感じられたものでした。

ジュンク堂は既に数年前から丸善の傘下に入っており、仙台でも丸善の店舗は健在ですが、私は床が白くて照明の眩しい丸善よりも、一般書から専門書までを広く押さえ、どこか図書館風の佇まいを見せるジュンク堂の方が好きでした。残る丸善にはぜひとも二店舗分を背負うつもりで頑張って頂きたいと思います。

(店舗の内装や在庫は物件により異なるでしょうから、他県の丸善、ジュンク堂についてはこの比較が適当かどうかは分かりません。)


ネットでの注文については、本屋が一軒もない自治体が420に上る現状では致し方のない面があります。正確には少数の大手書店によるネット販売の普及で、小さい本屋が廃業に追い込まれて行ったという順番になるでしょうが、ともかく消費者からすれば、一冊二冊の本を入手するために、逐一電車バスに乗って大都市へ出向くというのは手間が大きすぎる。


一方、あの電子書籍による読書というのは、私には何とも不健康な習慣に思われて仕方がない。「書籍」「読書」と言うけれども、電子バイオリンがバイオリンでないのと同様、そもそもあれは「書」ではない。人間が手で作った箱や紙、活字を手に取り、直かな眼で著者の思想なり詩的言語を味わう。そういうあらたまった空気から得られるのと同種の体験が電子の画面でできるものなのか、私は大いに疑問を感じます。眼を悪くするなどの肉体的な悪影響に加えて、人間の感性や精神に及ぼす傷は大きいだろうと思っています。


何とか各市町村から書店を絶やさないようにする方法は無いものなのか。先のようなすでに近隣に店がない場合は別として、今は自宅、職場などの行動圏内に書店があるのに、自らの足を使わず自宅で物を注文する人も多いと聞く。これは自粛ムードの前からそうです。

書店は目当ての本ばかりでなく、それまでは関心が薄いと思われた別ジャンルへの興味を開く絶好の場所でもあります。知らない作家や学問の本が何列にも渡って並んでいる。その月の新刊だけを見ても、とても一人の人間が読めそうもない冊数です。そこから受ける視覚的な刺激とか心の焦りというのは、おそらくネット検索の比ではないでしょう。


どんなに文化的な良い店でも、最後は消費者の力があってこそ存続できる。いわゆる香り高い文化都市の光景というのがありますが、それは自治体の政策如何だけでなく、住人たちみずからの趣味嗜好とかプライドの反映でもあるでしょう。パチンコ屋、ゲームセンター、居酒屋は、各々世の中にとって必要な事業所ではありますが、人口が増えるにつれそればかりが一等地に軒を連ねるというのは、やはり褒められた現象ではない。大都市ならば、せめても書店とレコード店の数件くらいは残りうる街であり続けてほしいものです(これは個人的趣味か?)。