赤の女王 |  青行燈

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昨日の続きです。

 

古代メキシコ展へ行って参りました。

 

 

『パカル王とみられる男性頭像』

「パカル王墓内で見付かり、パカル王の姿とする説が強い。頭頂部で髪を結わえ、前方にとうもろこし神の姿を真似たものと考えられる。

髪をとうもろこしの絹糸に見立てるとは玉蜀黍の神としてもわかりやすく、王が重要な神に準えて身なりを整えることが自然崇拝としても理に適っており、当時の祭事での空気などが伝わって参りますようです。

 

96文字の石板。

此方、見事な彫刻です。

 

こういった文字を活かしたお土産物が欲しいですね。

 

そして此方がメイン。

赤の女王です。

 

孔雀石の欠片を集めた仮面が素晴らしいです。

瞳には黒曜石、そして白目に白色のヒスイ輝石岩です。

 

マヤ文明やアステカ文明では緑色が世界の中心とされ水や植物、命を表す聖なる色だと考えられておりました。

その為、孔雀石や翡翠が珍重されました。

それらは王族や神官などしか身に着けられなかったでしょう。

 

下はマヤ文明、チチェン・イツァのグランセノーテより、翡翠の首飾り。

グランは大きな、セノーテは泉や井戸を指します。

多くの供物が投げ入れらており、水を呼ぶ儀式などが行われていたのかもしれません。

ペンダントの中央にマヤ語で風を意味し、且つ人の息、生命力、風の神、雨の神なども象徴するT字型の切り込みが入っております。

 

此方はテオティワカン、月のピラミッドより生贄三体の内中央の人物が身に付けておりました翡翠の装飾品です。

珠は生まれたての赤子の握り拳サイズで、大変立派です。

恐らく身分の高い生贄だったのですね。

 

 

赤の女王の展示は人形に深紅のドレスをお召しになり、その上に棺の中のミイラが身に着けておりました品を置いて御座います。

実際はミイラや棺内に深紅の辰砂が掛けられておりました。

辰砂は紀元前2000年頃には既に顔料として使用され、中国では鎮静や不眠症に効くとされておりました。

深紅は様々な文化で高貴さや貴重さを表し、戦での勝利を祈願したり病を治す呪術にも使用されております。

また、日本では皆様ご存じ、鳥居にも塗られます。

暗いピラミッドの中、揺れる明かりに浮かび上がる深紅の棺内は荘厳であったでしょう。

 

彼女はパカル王の王妃イシュ・ツァクブ・アハウだとする説が有力です。

副葬品などの細かな説明が書かれておりました。

 

 

『チャクモール像』

「腹の上に皿状のものを持つ石像であり、そこに神への捧げものを置いたと解釈されている。

チチェン・イツァとトゥーラから多く見付かり、両都市の関係を示す。その後、チャクモール像はアステカにも受け継がれた。

これが有名な、供物の像ですね。

想像しておりましたサイズに違わずのもので、表情もじっと国民の方を祭壇から見詰めるような視線に少し恐怖を感じます。

恐ろしいお話を聴いておりますので、先入観も大きくあるでしょうね。

しかしお客様は特に集まってはおらず、ゆっくり見学出来ました。