「次に繋がる引き分け。」、石川のインタビューです。
よく聞かれがちのコメントだけど、この日は真実を言い当てている。
今季の戦い方が固まったと言ってもいい。
具体的に何がと問われれば、守り方、ボールの奪い処が固まったと答える。
FWが相手の最終ラインを割って、逆サイドへ振らせない。
中盤が5~10メートルほどプレスバックする形でゾーンを狭くしてボールを奪い取る。
このため鹿島のSBには
かなり高い位置までドリブルで運ばれて見た目ヒヤッとしたけど、
実際にはバイタルエリアを閉めて守備ブロックは厚かった。
反面攻撃を仕掛ける位置は低くなるけど、
カウンターを仕掛けられるときは迷いなく仕掛け、ムリと判断すれば回して崩しにかかる。
メリハリが利いていて効果的だった。
ただセカンドラインの4人には体力的に相当キツイ。
守っては普段以上に下がり、攻めては飛び出てての断続的な動きを要求される。
前半38分まではパーフェクト。
でも39分に小笠原を初めてフリーにしてミドル、こぼれを興梠に詰められてしまった。
また前半終了までの数分間に、小笠原に1度、中田に2度起点を作られてしまう。
戻り遅れる選手、DFラインに吸収されたまま前へ出られない選手、
セカンドライン4人の足並みがかなり崩れてしまった。
後半も開始当初から状態を戻せず、鹿島ペースが続く。
ボールを奪ってもメリハリは失われ、
人数の揃わない中で攻め急いでは鹿島に奪い返される苦しい展開。
羽生の頑張りには感謝し切れないけど、ノーガードの撃ち合い状態になってしまった。
でも思った。
「鹿島でも後半はスペースが空くんだな。」と。
苦しい中でも石川や重松、リカが裏を狙って、相手ペース一辺倒にはさせない。
この日は目に見える形での結果には繋がらずも、長友の迫力ある攻め上がりも効果十分。
少ないながらも決定機を活かせたならもしや、というゲームに仕立て上げてみせた。
その意味では結果1-1引き分けということで
実際に決定機を逃し続けたFW陣には厳しい評価を下さざるを得ない。
しかし梶山・米本を欠く中で、この日ようやく
『フラットな中盤の組み方』『プレスバック』『メリハリを意識した攻撃』といった具合に
チームとして今季の戦い方に共通意識を持てたことがとても大きい。
勿論、このハイテンションを常に見せ続けることは難しいだろうが、
それは相手との力関係によって変わるし、必要に応じたボール回しを混ぜること、
つまり監督曰くの「クオリティを上げていく。」ことでバランスは改善されていくでしょう。
鹿島戦。
集中力の高い濃密なゲームに、その場に居られたことを心の底から喜べた。
終盤、気持ちに身体がついていかないトーキョーの姿に胸が熱くなった。
終了のホイッスルと同時にしゃがみ込むほど限界まで走り回った彼らは誇りだ。
だから、我々も選手に要求するだけでなく、声を張り上げなくては、跳ねなくては。
そして最上の雰囲気に包まれた舞台を選手のために用意していきましょう。
この日スタジアムに駆け付けた皆さん、お疲れ様でした。