「上げてこう!」「もっともっと!」
ユルネバで選手を迎えるゴール裏はいつもと少しテンションが違う。
そりゃそうだ、ここを越えると『決勝』なんだから。
やっぱりあの舞台に再び立ちたい。
カップを奪い取れ♪と試合に入るトーキョー。
目に付くのは茂庭の強気で高いライン取り。
ときに相手ペナ手前5Mまでも自らプレッシャーを掛けに行き、
また神経を研ぎ澄ませてインターセプトを狙い続ける姿は
今野・ブルーノに後塵を廃した悔しさと、決勝への想いがガンガン伝わってくる。
対する清水も負けずの高いライン取りで、
結果として両者非常に狭い空間でのせめぎ合いとなり、ボールが繋がらない。
すると次第に両者は中で繋ぐのを諦め始め、
ウイングの位置へ長い斜めのサイド・チェンジをトライし始める。
しかしここは技術が追い着かず、サイドラインを切るケースが多発。
そんな前半。
先制は30分、こぼれダマを米本が一蹴。
ここまで意図的に清水を崩せていたなかっただけに、「運がある!」と思った。
でも甘かないね、1分後にはCKからヨンセンに決められて同点にされるんだから。
そう、崩しの意図、ルール、オートマティックさと言ってもいい。
清水にはそれがあり、トーキョーは即興色が濃い。
だから今の東京は、即興が通じる中位から下に強く、上には弱い。
追い詰められたときにルールがあればそこに立ち還られるが、それがない。
だから40分にカボレが個人技で2-1としたときには「まだ運がある!」と思い直した。
後半、早々に清水に退場者。
これでメンタルで落ち着いたトーキョーはボールを回し、締め上げにかかる。
結果として相手はベタ引きになったけど、それでも梶山と平山が決定機を迎える、もミス。
大竹投入。
やはりもう1点獲って息の根を止めなくては。
しかし直後、攻めに前掛かった状態でボールを奪われるトーキョー。
清水の縦の長い独走を許し、最後は枝村のゴールで同点に。
独走を後ろから追いかけた東京の選手が居たが、監督の言う
『途中から出た選手がぶっちぎられて点を取られる。
途中から出た選手が1.5倍走れないようなチーム。』
とはこのシーンを指すのだろうか。
であれば彼がかわいそうだ。元々追い着ける距離ではなかった。
しかし担当サイドに穴を開けたという意味では、言われようも致し方なしか。
その後浮き足立ったトーキョーはバタバタ。
準備の整わない味方へパスしては奪われカウンターを浴びる。
この繰り返しを耐え凌ぎ2-2でホイッスル。
終了と同時に座り込んだのは清水の選手達。
それだけ必死だったということでしょう。
彼らからして、この展開で勝敗を着けさせなかったことが全てで、
次に勝てば良いというシンプルな流れに持ち込んでみせた。
対するトーキョーは「やっちまった。」感満点だった。
それでもゴール裏はカップを奪い取れと唄い続け、選手を鼓舞する。
そうだ、下を向く必要はない。
ステージは準決勝で、相手はリーグ4位の清水だ。
そもそも簡単なわけがない。
そして迎えるはホーム・ゲームだ。
オレらがガッツリ応援して、チームを国立へ推し出そう!