月明かりのラブレター 第十六話 『1番伝えたかったこと』 | たいママのきまぐれ日記

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小学2年の息子たいくんのママであり、シングルママのたいママによる、きまぐれ日記です。子育てあり、恋ばなあり。気楽にご覧下さい。

『月明かりのラブレター』

第十六話 「一番伝えたかったこと」
机の上には、昨日しまった手紙の箱がある。
私はしばらく、その箱を眺めていた。
昨日は、何も書けなかった。
書きたいことは、たくさんあった。
けれど、どれも大切すぎて、
一番最初に何を書けばいいのか分からなかった。
だから、今日は書かなくてもいいと思っていた。
紅茶を淹れて、
窓辺で月を眺めて、
ただ静かに過ごそうと思っていた。
けれど――
ふと、昨日のことを思い出した。
言えなかったこと。
伝えたかったこと。
頭の中で何度も繰り返した言葉。
そして気づいた。
たくさんあると思っていた言葉の中に、
何度も戻ってくる言葉が、
ひとつだけあった。
私は便箋を取り出す。
ペンを持つ。
そして、しばらく迷ったあと、
一行だけ書いた。
「ありがとう。」
それだけだった。
もっと書きたいことはある。
説明したいこともある。
伝えたい気持ちも、
まだたくさん残っている。
でも、
今の私が一番伝えたかったのは、
それだった。
ありがとう。
出会ってくれて。
話をしてくれて。
笑わせてくれて。
私の知らなかった景色を、
見せてくれて。
そのすべてが、
今の私の中に残っている。
私はその下に、
もう一行だけ書き足した。
「あなたに出会えてよかった。」
そこでペンを置いた。
胸の奥が、
少しだけ温かくなる。
たくさんの言葉を並べなくても、
本当に伝えたいことは、
案外シンプルなのかもしれない。
私は手紙を読み返す。
昨日まで言葉にならなかった想いが、
ほんの少しだけ、
形になっていた。
まだ全部ではない。
きっと、これからも書きたいことは増えていく。
でも、
今夜はこれでいい。
私は便箋を丁寧に折った。
封筒に入れる前に、
もう一度その二行を見る。
そして、小さく笑った。
「これだけは、忘れたくないな。」
窓の外では、
月が静かに夜を照らしている。
私は封筒をそっと閉じた。
今日の手紙は、
たった二行。
でも、
私にとっては、
今までで一番長い手紙だった。
💌 Love Letter Message
「たくさんの言葉の中で、最後まで残る一言こそ、あなたが本当に届けたい想いなのかもしれません。」