『月明かりのラブレター』
第七話 「返事のない時間」
窓辺に置いたティーカップから、
静かに湯気が立ちのぼる。
私は机の引き出しを開け、
今まで書いた手紙をそっと並べてみた。
渡した手紙。
渡せなかった手紙。
途中まで書いて、
そっと閉じたノート。
どれも、
あの日の私だった。
窓の外では、
月が少しずつ形を変えている。
毎日違う姿なのに、
「月」と呼ばれることは変わらない。
私はふと笑った。
「人の心も、少し似ているのかもしれない。」
嬉しい日もあれば、
寂しい日もある。
自信が持てる日もあれば、
何も信じられなくなる日もある。
それでも、
同じ私。
同じ一つの心。
返事は、まだ届かない。
でも、
返事がない時間にも、
私はちゃんと生きている。
季節は少しずつ移り変わり、
花は咲いて、
風が吹き、
今日という日が過ぎていく。
私は新しい便箋を取り出した。
書くわけではない。
ただ、そこに置いておく。
「また書きたくなったら、この一枚から始めよう。」
未来の私への約束。
それだけで十分だった。
ティーカップを手に取り、
窓の外の月へ微笑む。
返事がある夜も、
返事がない夜も、
月は変わらず、
静かにここにいる。
だから私も、
今日という夜を大切にしよう。
それが今、
私にできる一番優しいことだから。
💌 Love Letter Message
「返事を待つ時間も、あなたの人生の大切な一ページ。」
