デリー近郊のノイダのメトロで、ラッシュ時に快速運転をするということです。

 

ノイダは首都デリーから東に50㎞程の場所にあるUP(ウッタ-プラデッシュ)州の新興都市で、NCR(National Capital Region)の一角を占める重要な位置にあります。

 

ノイダは以前からあるノイダ市街と近年開発が進むグレーターノイダ(Gノイダ)に分かれます。ノイダにはデリーメトロのブルーラインが州を越えて乗り入れており、住宅・商業地域として発展しています。

 

一方のノイダ郊外からグレーターノイダへは、まさに何もないところを開発した、あるいは開発中という段階です。グレーターノイダについてはどちらかというと新興工業団地としての機能が強く、ヤマハ発動機、ホンダ技研の工場や関係する部品メーカーも多く存在します。

日本人の間では、デリーを東京とすればグルガオンが横浜、ノイダが千葉ともいわれています。

 

前置きが長くなりましたが、今回紹介するノイダ・メトロはUP州が運営するノイダとグレーターノイダを結ぶ路線です。

始発駅のセクター51駅ではデリーメトロ・ブルーラインと接続し、市外へ出てグレーターノイダへと至る全長29.7㎞、合計21駅、全線高架の路線で2019年に開通したばかりの新しい路線です。

↓の青い線がノイダメトロです。左上が始発駅のセクター51で画面左から来るデリーメトロと接続しています。

 

 

現在、各駅停車で全線を45分で結んでいるのですが、ラッシュ時(8時-11時と17-20時)は途中10駅を通過して9分短縮の36分で結ぶということです。

 

つまり快速運転を行うわけです。日本人の感覚だと、快速が走るなら当然各駅停車(普通列車)も走るだろうと思うでしょうが、いくら公式サイトやその他の情報を確認しても、その時間に各駅停車の運転はなく、さらにその時間は通過駅で切符の販売もしないということです。

 

つまりラッシュ時(8時-11時と17-20時)は途中10の通過駅に列車は来ない!

 

下図のがノイダメトロの路線図なのですが、青丸の駅が通過駅になります。(Wikipediaより)

 

この付近はまさに開発途上の地域で、セクター142(S142)付近から高速道路と並行するのですが、道路から見ると、まるで昭和40年代の多摩田園都市建設途上の頃の東急田園都市線や多摩ニュータウンのようなイメージです。(当時は生まれてないので写真でしか見たことないですが)

 

仕事でこの近くを通ったことがありますが、荒れ地と工事現場しかないところに高架線の立派な駅があるという場違い感があるところでした。

 

もっとも、急速に経済発展しているインド、そう遠からず間違いないですが、にしても一番人が多い時間に通過扱いとはなんとも、、

むしろ、ゆりかもめの汐留駅(始発駅新橋の隣)のように、周囲が開発されるまで準備工事にとどめ、周りが発展したら駅をオープンでもよかったのではないかとも思います。

 

そして何より、ノイダ、グレーターノイダ両拠点間を結ぶ需要は今後も続くので、むしろ日本の通勤電車のように各駅停車と快速が交互に走り、沿線利用者と拠点間移動の両方の利便性を追求するダイヤにはできなかったのか?

確かに、各駅停車と快速が同じ時間に混在すると、途中駅で快速が各駅停車を抜くようなダイヤが望ましい(そうしないと快速の意味がない)、それには待避線が必要なうえ、ダイヤも単純なものではなく、優等列車退避を組み込んだやや複雑なダイヤにする必要があります。

日本の私鉄・JR各社では自然に行われているこうしたダイヤも、諸外国のメトロ、地下鉄、都市鉄道で行っているところは非常に少ないです。

 

日本は90年代から始まったデリーメトロの建設に資金面、建設技術、運営技術で大きな貢献をしてきました。デリーメトロの一部で行われている無人運転は日本信号の技術が使われています。

 

しかし、あと一歩、ダイヤ策定や駅ナカ商業施設など、ソフト面でも日本の都市鉄道が持つ利便性を伝えて欲しいところであります。