世界最大手の海運会社マースクシーランド社(本社デンマーク)がインドで鉄道を利用して東西を結ぶ輸送を始めたということです。

 

これは、最近のコンテナ不足、海上運賃高騰を受けて、少しでも海上ルートを削減し安定的に貨物を輸送する目的で行われるものです。

インド北東部の中心都市コルカタ(旧カルカッタ)から中東ドバイまでの鉄鋼品の輸送にあたり、従来はベンガル湾を南下し、インドの先端を通ってアラビア海に抜けるルートとなります。

 

↓の地図で見ていただくと、全部を航路にした場合(赤い線)では、インド大陸のさらに下を回るため輸送距離が長くなります。

新しい輸送方法では、輸送はコルカタからムンバイに隣接するナバ・シェバ港までを鉄道で輸送(青い線)、ナバ・シェバ港からドバイまでを航路(緑の線)輸送します。

 

この方法だと、総輸送距離を短くできるうえ、特に運賃が高騰している海上ルートを大きく減らすことが出来ます。

その代わり、コンテナをナバ・シェバ港で貨車からコンテナ船へ乗せ換えるためのコスト・時間が発生しますが、海上運賃の高騰と比べるとこのコストを払ってもトータルではコストダウンになるという算段なのでしょう。

 

今回の輸送は1荷主のために1列車を貸切るという一過性のものでありますが、今後も海上輸送運賃の高騰が続けば、新たな輸送手段として他の荷主の荷物と積み合わせて、続けられる可能性もあります。

 

現在、世界的に海上コンテナの不足が起きており、それに合わせて海上運賃が高騰しています。原因は複合的であり、主な原因は世界的なコロナ禍により、ロックダウン等で生産が減少している欧米と、コロナが収まり生産が急回復している中国との需給ギャップ、大消費地(輸入が多い)で、アメリカでコロナによる港湾やトラックドライバーの人手不足で荷下ろしが滞留しているなどがあります。

 

実際、他地域でも、例えばタイ発のシンガポール行きのような短距離であれば、海上輸送からトラックに替えたり、運賃が高いものの航空輸送への切り替えも進んでいます。

 

インドのような国土の広い国では、東西や南北の輸送で海上ルートをセーブすると言ったことも始まる可能性もあります。

同時に、長距離トラックドライバーの不足もあり、内陸部と港湾地区の鉄道輸送の役割も今以上に重要になってくるとでしょう。インドの鉄道インフラには多くの期待がかかっていると言ってもいいでしょう。

 

ちなみに、↓が今回の輸送を紹介する記事なのですが、写っている写真はインドではなくドイツ鉄道のものです(なぜこれが使われたかは不明? インドで写真撮るの忘れたのだろうか?)