あるご夫婦の話。
私がその奥様とお知り合いになったのは5年ほど前。
奥様88歳の頃でした。
背が高くて、細くて、顔小さくて、すらっとして、目がクリクリしていてモデルさんのようなハイカラな方でした。おしゃれで、サングラスかけて明るい色のストールを首に巻いて歩いている姿はとてもお年には見えない。
が、
この5年の間に病気が進み、着る物を自分でコーディネイトすることもなくなりました。旦那様と仲良ろしいらしく、旦那様が服を選んでらしているのか、無難なお年寄りファッションに身を包んでいらっしゃるようになりました。
1分もたたないうちにまたトイレに行ったり、食事中に入れ歯を出したり、、、以前は、「あなた、申し訳ないけど〇〇してくださらない?」なんて話しかけてくる粋なおばあちゃんだったのに、今では会話自体なかなかつながらない。
旦那様は一つ年下の92歳。
2人暮らしで、よく奥様のサポートされていると思います。
そこには、愛しか感じない。
今年の2月22日、旦那様から、
「昭和26年2月22日結婚しました。今は93歳と92歳、結婚生活も70年となりプラチナ婚となりました」
と、お知らせがありました。
奥様とお会いした時に、
「ご夫婦結婚70周年なんですね。プラチナ婚おめでとうございます」
と声をかけると、
奥様、
「旦那は随分前に亡くなりました…」
それでも、
プラチナ婚は硬い硬い愛なのです。