土曜日の朝、午前九時。
僕は、自転車で駅へと向かっていた。お腹が痛くて、やや遅刻ぎみ。
いつもよりペダルを漕ぐ足に力をこめる。
道路の向かい側には、ママチャリのオバサン。
僕は、左右を確認して道路を横断する。
オバサンは、荷物を満載したチャリで角を曲がっていった。
そのときだった。
何か硬質の物が、アスファルトの上に落ちるような音が聞こえた。
ケータイの落ちる音だった。
僕は、一瞬ペダルを漕ぐ足を弛めたものの、そのまま自転車を走らせ続けた。後ろを振り返ることもなく。
僕は何も知らない。何も見なかった。急いでるし。オバサンもすぐ気づくさ・・・誰か拾ってくれるだろう・・・
50メートルほど進んだころだろうか。僕は急ブレーキをかけた。
自転車を方向転換し、もと来た道を全速力で引き返した。
チェーンが引きちぎれんばかりにペダルを漕いだ。
困っているオバサンと家族の情景が、走馬燈のように脳裏を流れた。
今ならまだ間に合う!追いつける!
現場に戻った僕が目にしたのは、道路の真ん中に落ちている、つぶれた空き缶だった。
それ以来、僕はこう思うんだ。
人生って、つぶれた空き缶のようなものだってね。
僕は、自転車で駅へと向かっていた。お腹が痛くて、やや遅刻ぎみ。
いつもよりペダルを漕ぐ足に力をこめる。
道路の向かい側には、ママチャリのオバサン。
僕は、左右を確認して道路を横断する。
オバサンは、荷物を満載したチャリで角を曲がっていった。
そのときだった。
何か硬質の物が、アスファルトの上に落ちるような音が聞こえた。
ケータイの落ちる音だった。
僕は、一瞬ペダルを漕ぐ足を弛めたものの、そのまま自転車を走らせ続けた。後ろを振り返ることもなく。
僕は何も知らない。何も見なかった。急いでるし。オバサンもすぐ気づくさ・・・誰か拾ってくれるだろう・・・
50メートルほど進んだころだろうか。僕は急ブレーキをかけた。
自転車を方向転換し、もと来た道を全速力で引き返した。
チェーンが引きちぎれんばかりにペダルを漕いだ。
困っているオバサンと家族の情景が、走馬燈のように脳裏を流れた。
今ならまだ間に合う!追いつける!
現場に戻った僕が目にしたのは、道路の真ん中に落ちている、つぶれた空き缶だった。
それ以来、僕はこう思うんだ。
人生って、つぶれた空き缶のようなものだってね。
