『鬼平』に続いての、本格的時代劇!。

 

古典落語がベースになっているお話で、

 これも、江戸庶民の暮らしぶりや、

  

 経済的に苦しい家計と、プライドに挟まれた、

  当時の武士の立場など、江戸庶民の家計簿が、

   詳しく描かれていて、興味深かったですね。

 

あらぬ嫌疑をかけられ

 藩を離れた浪人が、亡き妻の忘れ形見の、

  娘のために、命を懸けた仇討ちを誓う様を描く。

 

 

囲碁の名手で、実直な武士の、

 柳田格之進(草彅剛)は、

  あらぬ嫌疑をかけられ、

   藩を離れ浪人となり、

 

 亡き妻の忘れ形見の娘(清原果耶)と、

  貧乏長屋で、慎ましく暮らしていた。

 

 

ある日、格之進が、

 立派な商家の前を通ったとき、

  店主と客との揉め事を、

   

 格之進の目利きで救ったのを機会に、

  商家の店主と親しくなり、

   囲碁を打つようになる。

 

 

見窄らしい外見だが、

 頑なまでに正直に生き、

  

 聡明で、武士のプライドを忘れない、

  格之進の人柄は、囲碁の姿勢にも表れ、

 

 格之進に触発された店主は、

  次第に、周りの人々を思いやるようになり、

   商売は、ますます繁盛する。

 

 そんなある日、藩の使いの者から、

  冤罪事件の真相を知った格之進は、

   仇討ちを誓うのだが・・。

 

また謂れの無い嫌疑をかけられ、

 怒涛の様にアクシデントの連鎖が続き、

  物語はクライマックスへ・・。

 

 

落語をベースにした時代劇とあって、

 江戸の貧乏長屋、庶民の暮らしぶり、

  吉原の遊郭などが、見事に再現されています。

 

冒頭で、一両を賭けて、

 碁を打つシーンがありますが。

 

一両って、今のお金に換算すると、

 いくら位なんだろうと、

  興味が湧きます。

 

江戸時代は300年以上続いたので、

 物の価値や、レートには幅があり、

  一両が4万〜16万円と年代によって様々。

 

間をとって、一両が約10万円だとすると、

 50両は、今の金額に換算すると、

  約400〜500万円!。

 

そんな大金をなくすとは!。

 

ンなぁ〜にィ〜!、店主やっちまったな!。

 

赤塚センセの、いい話とは大違い1。

 

  (雪隠に落としたのかと思った)

 

番頭さんも、酔っぱらうなよ!。

 

こりゃ大変だ、吉原への身売りも、

 400万以上って事か・・。

 

   勉強になるなあ。

 

 

最初は、ウルトラマンみたいに、

 のぺっとした草彅くんが、

 

 復讐の旅で、髭面になり、

  表情も鬼気迫るものになっても、

 

  

 覚悟を決め、殺意を漲らせながらも、

  心は研ぎ澄まされて美しくなってゆく。

 

碁のシーンといい、

 鬼気迫る決闘もシーンといい、

  作品のクオリテイーが高い。

 

 

國村隼さんの店主、最初はケチで、

 小言の多い、嫌な人物だったのが、

 

 碁石をチャラチャラさせなくなって、

  表情もよくなった。

 

 

『麻雀放浪記』の斎藤工さん、

  声が良いし、殺陣のキレもいい。

 

 

手柄を立てる戦も無くなって、

 収入も減って、財政もさらに悪化し、

  そうせざるを得なかった。

  

 

吉原遊郭の女主人のキョンキョンや、

 賭場の元締め、市村正親さんなど、

  立場は違えど、皆んなその道のプロ。

 

 

皆、覚悟を決め肝の座った、

 苦渋の決断をする良い人たち!。

 

こんなに絶望的な状態で、

 落とし所を、どうやって収集するのかと、

  ハラハラしていましたが、

   さすが落語、人情ものですね!。

 

冤罪、誤解、貧困と、先の見えない、

 不安渦巻く今の社会でも起きそうな、

  世知辛い事柄を、時代劇の形に変えた、

   涙と笑いをふんだんに交えた骨太なお話。

 

 

倹約や、頑なに実直に生きる事も大事だけど、

 生きるためには、多少の袖の下や、

  信念を曲げる、歩み寄りも、

   時によっては必要。

 

みんなそれぞれ、大変なンですよ!。

 

 

この映画で、色んなことを、

 考えさせられましたが、

  観てよかったと、

   心から思える作品でした!。