『銀河鉄道の夜』、『注文の多い料理店』、
『風の又三郎』などで知られる、
東北の文豪、宮沢賢治と,
賢治を支える父親と、
その家族の物語。
父の代から裕福な質屋を営む、賢治の父、
宮沢政次郎(役所広司)は、
長男の賢治(菅田将暉)を、
質屋の跡取りとして、
育てていたが、
賢治は、進学することを望み、
稼業を継ぐことを拒んでいた。
それでも政次郎は、
学問は家業に役立つと、
賢治の進学を許すが、
賢治は学校を卒業後、
人造宝石に手を出したり、
農業を志したり、
宗教にハマったりと、
とにかく落ち着きのない賢治を、
父は厳格であろうとするも、
暖かく支え、甘やかし続けてしまう・・。
そんな中、妹のトシの病を機に、
賢治は文学に目覚め、
妹のために、執筆活動を始める。
小説や詩のイメージから、
清廉潔白な宮沢賢治の印象が、
この映画でガラッと変わりました。
お父さんの懐が、とにかく深くて、
親バカが、愛おしくなります。
役所さんの演技が素晴らしい!。
『孤狼の血』、『すばらしき世界』、
『竜とそばかすの姫』、『バベル』とか、
アニメや、ハリウッド映画にも出てるのに、
どんな役をやっても、
全部、役所さんの味を出してる。
父親の視点で、もがき苦しむ賢治を見守り、
宗教で対立するも、
「自分の信じるお題目で、
妹を送ってやれ」と、
賢治を尊重する、
父親の包み込む愛情。
菅田さんの宮沢賢治も、
農業を科学的に分析し、
宗教を哲学的に解釈し、
朴訥とした中に、頑固さを持ち、
何者かになりたくて、挫折を繰り返し、
もがき苦しみ叫ぶシーンは秀逸!。
森七菜演じる、賢治の妹も、
田中泯の祖父に向かって、
「綺麗に死になさい!」とビンタする、
強烈なシーンが印象的でした。
心温まる、親子の葛藤と愛憎物語。
それと、劇中でリアルに再現された、
花巻や東京の街並みが心地よい!。