昔から、洋の東西を問わず、

 針仕事は主婦の悩みのタネでした。

 

何しろ電灯の無かった頃、

 針穴に糸を通すだけでも大変で、

  また、針も粗悪で折れやすく、

   指にバイ菌が入って、

    命を落とすこともある、

     危険な作業でした。  

 

炊事、洗濯はこなせても、

 お裁縫は苦手という女性が多く、

  ミシンという救世主が登場するまでは、

   嫁いだ先で、姑さんに虐められ、

    泣いていたお嫁さんが多かったとか・・。

 

それ程、針仕事は大変だったンですネ!。

 

 

 

関東では、2月8日に、

 針に感謝をする意味で、

  その日は針仕事を休み、

   1年間働いた古針を、

    豆腐やコンニャクに刺して、

     針を供養する行事を行います。

 

もともとは、中国から伝わった習わしですが、

 それが日本に定着したと言われています。

 

2月8日に行うようになったのは、

 昔、東北地方の村で、

  針山の針を盗んだという、

   無実の罪を着せられ、

    姑にいじめられた嫁が、

     堪えきれなくて、

      海に身を投じてしまった。

 

その娘の怨みから、

 命日には海が荒れ、

  漁に出られなくなり、

   娘の怒りを鎮めようと、

    針を供養するようになったのが、

     2月8日とも言われています。

 

関西では、12月8日に、

 針供養をするところが多いそうです。

 

因みに、折れた針や古い針を、

 豆腐やコンニャクに刺す仕来りは、

  さんざん堅い布を貫いてきた針を、

   

柔らかいもので楽をさせ、

 今までの労に、「ご苦労さん!」と、

  感謝するという意味を含んでいるそうです。

 

 

さて、古来日本では、

 長く愛用しているモノには、

  魂が宿ると言いますが、

 

皆さんも、こんな事って無いですか?。

 

長年、騙し騙し使っていた洗濯機、

 

 そろそろ買い換えようかな?

  って考えてたら、

 

 洗濯機の方も察知したみたいで、

  拗ねて、完全に動かなくなっちゃった・・。

 

そういうことって、わりと結構ありますね!。

 

 

2020年に、探査機「はやぶさ2」が、

 小惑星「リュウグウ」の地表に人工クレーターを作り、

  惑星の地中に眠る物質を、カプセルに回収し

   地球に送る、世界初のミッションに成功しました

 

当時、この快挙には、

 我が、相模原市では、

  大盛り上がり!。

 

 

前回の小惑星イトカワから、

 60億 kmの旅を経て、

  サンプル採集に成功した「はやぶさ」から約10年。

 

トラブルに次ぐトラブルから生還し、

 初めてのお使いを果たし、

  大気圏に突入し、燃え尽きた、

  「はやぶさ君」・・。

 

 

60億キロという、人間がサポートや、

 修理できない距離を飛ばすので、

  あらゆることを想定し、設計された、

   日本の技術のレベルの高さはもとより、

 

 それでも、想定外のアクシデントを乗り越えた、

  「はやぶさ君」の健気さと、

    それを支える、研究者と技術者たちの、

     並々ならぬ愛情と情熱に、

 

      天文学界ならずとも、

       全世界から称賛の声が上がりました。

 

 

当時、地元、淵野辺のJAXAでは、

 研究所のスタッフさん自ら、Tシャツを売ったり、

  イオンエンジンの説明をする技術者の人たちが、

   本当に嬉しそうな笑顔で対応されていました。

 

単なる探査衛星ではなく、

  共に困難な任務を熟す”同僚”として、

   「はやぶさ君」と愛情を込めて擬人化する。

 

日本人は、古来から、

 モノを擬人化する伝統があります。

 

 

縫製に係る人が、針供養を行うなど、

 日本の職人さんは,仕事で使う道具には、

  思い入れがあるもので、

 

  長年、愛用する道具や、丹精込めて造られた製品には、

   敬意をはらい、家族であり、友人であり、 

    もはや「モノ」ではない存在。 

 

ロボット大国でもある日本は、

 諸外国と異なった文化が根強く、

  ほどよく人間らしく、ほどよく機械らしい、

   そのバランスが秀逸なんですね。

 

 

欧米で開発されたオートメーションは、

 設計が良くても、不具合が生じたり、

  デリケートで壊れ易かったりしますが、

 

 むしろその「不完全さ」に、

  日本人は「人間味」を感じ、

   完璧なモノより、足りてないモノ、

    弱いモノを本能で補ってあげようとする。

 

だから、機械やロボットを擬人化するンでしょうね。

 

 

車や機械は疲れない、

 単なる”モノ”として扱う欧米と違い、

 

 たまには労をねぎらって、休ませてあげるという、

  機械やモノに「心」を見出す、

   日本人特有の美学こそ、

    モノ創りに欠かせないスピリットなのかも・・。