前回のブログから引き続き、現在、上野の東京国立博物館で開催中のカルティエと日本 半世紀の歩み『結 MUSUBI』展について書きます。

 

展覧会会場の1階には、まず、カルティエと日本〜芸術と美を称える文化と題されて、日本からカルティエが影響を受けて創作された宝飾品と装飾美術品が集められています。

そして、そのあと二階に続くスペースには、記憶に新しい六本木の国立新美術館で開催された『カルティエ、時の結晶』展の参加アーティストのひとり、杉本博司の数理模型025 クエン曲面:負の定曲率曲面が置かれ、その背景には束芋のFLOW WER ARRANGEMENTと題されたデジタルインスタレーションが流れています。

 

そおいえば、京都・醍醐寺で開催されたイタリア人アーティスト、エットレ・ソットサスのキュレーションの展覧会も斬新でした。だって、仏像にカルティエのジュエリーをかけちゃうんだから。それを許した醍醐寺もすごいね。

これこそ、世紀のコラボです。

ソットサスはタイプライターのオリベッティデザインやモダニズムの流れをくむメンフィスのメンバーで、

建築家でデザイナーの倉俣史朗をメンフィスに誘った人でもあります。

 

今回すごく新しいと思ったのは、等身大のビデオスクリーンでカルティエ・ジャポンと関わりのあるジャーナリストやアーティストのインタヴューが流れていること。まるで、その方が目の前で話しているような錯覚に陥るのです。

その中で、ジャーナリストの生駒さんがカルティエのイメージを的確に表現していたのも感動しました。

1974年に原宿のパレ・フランセ内にカルティエが初めて日本に進出した際のヴォーグ・パリのプレス記事などもとても面白かったです。

その記事には、オープニングの風景があり、かつて六本木族の聖地だったキャンティのオーナー、川添浩史さんはじめ、若かりし頃の憧れの大人たちが在りました。森瑤子、加藤和彦と安井かずみのカップル、などなどもきっといたはず。

その方達が身に付けたカルティエは素敵だったなああ。

カルティエは単に宝飾品として素晴らしかっただけでなく、日本人にフランス・パリへの夢も一緒に届けていたのですよね。

もしかしたら、カルティエの主力商品ではなかったかもしれませんが、

だからこそ、サントスやパンテールの時計が欲しかったし、ジャン・コクトーがオーダーした三連リングを身に付けたいと憧れ続けたのですから。

 

カルティエのブティックのために作品を提供した

写真家・田原桂一や日比野克彦、横尾忠則、イッセイミヤケ、などなどのアーティストの作品も時空を超えて閃光を放っていました。

一言で言えば、「かっこいい」その一言です。

 

展覧会は、そのあと、

カルティエ現代美術財団と日本人アーティスト〜永遠の対話へと続きます。

カルティエ財団美術館は、私がパリで最初に住んでいたダンフェール・ロシュローのすぐそば、ラスパイユ通りにあります。デザイナーのフィリップ・スタルクも卒業したエコール・ド・カモンドの向かいです。

今でも、素晴らしい展覧会を引き続き開催中ですが、

そこでデヴューしたアーティストといったら、やはり筆頭に挙げたいのは、ビートたけしこと北野武でしょう。

今でこそ、フランス人も憧れる映画監督、KITANO TAKESHIは、お笑いタレント、ビートたけしの頃から斬新なアートを造っていました。それを世に知らしめたのがカルティエといっても過言ではないかも。

花を生けることでひとつの作品となる

彼の花瓶はなんともチャーミング。

彼のポエティックな内面を物語るようでとても好きでした。

 

 

一方で、松井えり菜のグロテスクな女の子もなんだか憎めない。

 

 

歴史を学べば学ぶほど近くなるのではなく、手の届かない存在になる憧れのカルティエは、

私にとってはもっともっと近づきたいと思う宝飾メゾンです。

それは、パリへの思いと同じこと。

7月からのパリで、パリはもっと近くなるのか、いや、もっと遠い存在になるのか私にもわかりません。

 

パリ同様、機会があれば、もっと身に付けてもっと知りたい存在のカルティエに興味津々です。

 

東京国立博物館 表慶館

〜7月28日まで

カルティエと日本 半世紀のあゆみ

『結 MUSUBI』展 〜美と芸術をめぐる対話