11月も残りわずか。2023年もラストスパート。残りひと月となりますね。

12月2日、プティ・セナクル今年最後の授業を開催します。

講師は、フィレンツエ在住のアートコーディネーター、中川真貴先生です。

いつも絵画の背景になる秘話や絵画を見る時のコツについて丁寧にお話しくださいます。

皆さんと一緒に、今年を振り返りながら楽しいひと時を過ごしたいと思います。

プティ・セナクル代表 石澤季里

 

 

講義内容:  美人の条件~巨匠が描いた理想の女性

「古代ギリシャローマからバロック時代まで、理想の美を追い求めた美しきイタリア女性たち」

 

いつの時代においても権力者たちは、自分たちの栄光を後世に残しておきたいと願いました。彼らの姿は、コイン、陶器、板、壁やキャンバスなどに「肖像画」として残されています。それは、女性においても同じこと。

今回はこうした女性たちの「肖像画」の歴史を追いながら、個人の美がどのように表現され、魅力的な作品となっていったのかを見ていきます。 

そこには当時の社会的状況も見て取れます。例えば、紀元前2世紀中頃に作られた「セイアンティの棺」というものがあります。これはイタリア中部キウージという街に生きたエトルリア貴族、セイアンティ夫人のための棺です。顔は理想化されていますが、少なくとも生前の彼女の姿をもとにして作られたものです。この像の装飾品などからも、当時の美に対する感覚を見ることができます。

 

 

時代は下りルネサンス期になると、マントヴァ侯爵夫人イザベッラ・デステというスーパー・レディが登場します。イザベッラは洗練されたファッショントレンダーでしたが、ルネサンス芸術の庇護者であり、政治的センスにも恵まれた才色兼備の女性でした。

彼女の生き方は、当時の「美への感性」そのものでした。

 

ティツィアーノは、彼女の望みによって実際の年齢を写実的に描くのではなく、若かりし頃の美しさを肖像画に留めました。

これは、レオナルド・ダ・ヴィンチが残したイザベッラのデッサンと比較すると興味深いものがあります。

 

今回の講座では、「美の伝道師」の役目を果たす肖像画が、現代の我々に語りかけてくる「何か」をご一緒に探っていきましょう。