3つ目の映画のお話は、今年のカンヌ映画祭のオープニングを飾った映画「JEANNE  DU BARRY 」です。

女優で在り、監督で脚本家であるマイウェン自身が主演を務める映画で、上映前にネットフリックスで話題になったことでも知られているそう。

 

ジャンヌは、料理女を務める母と一緒に、上流階級の家庭の召使として住み込みで務める。

その主人に可愛がられて、教養も身につけるが、

物心つく頃になると、その「少女と女性の間の危うい魅力」故に女主人に疎まれ、いとまが出され、

修道院の寄宿舎に入れられてしまう。

 

しかし、そこでも彼女の「あだっぽさ」が原因で退去を命じられることになる。

住むところ、生活のすべを失って途方に暮れているところに、

貴族のデュバリー伯爵に拾われ、

そこの集う上流階級の男性たちを楽しませる役目を果たす「遊び女」として囲われるのだ。

 

彼女は子供の頃から身につけている「教養」と「セックスアピール」を駆使し、殿方を「seduction(魅惑する)」して、社会的地位を手に入れていこうと決意する。

 

そんな時に、リシュリュー公の口利きで、ジョニー・デップ扮するルイ15世の宮廷に出入りすることが許されるのだ。往年のスターだったジョニー・デップの中年太りはきになるもの

魅力的だがパッとしないマイウェンが王様に見初められることによって

輝いていく様はとても面白い。

 

幼いマリー・アントワネットや心の根の優しいルイ16世もなかなかのもので、

きっとこんな風に子供っぽい二人だったのだろうなと想像に値するもの。

 

それから、ルイ15世の側近で、デュバリー夫人が宮廷で居心地よく生きるために教育係となる

ラ・ボルド役のベンジャミン・ラヴェルヌがとても良い。

他の人たちが彼女に対して意地悪であればあるほど、この彼の優しさが生きるのだ。

 

デュバリー夫人は、貧しい家庭に生まれたものの、実は優しい性格で宮廷に入って初めて人並みの生活のあり方を知った女性。貧しさゆえに「女性性」を駆使しなくてはならなかったが、

ポンパドゥール夫人のように王に代わって政治的手腕を握るわけでもなく、

ドレスだ、宝石だ、陶磁器だ、城だ、と贅沢三昧を楽しんだわけでもなく、

人生における全ての「普通の生活」をことをありがたく感謝して暮らしていたのだそう。

 

映画「ジャンヌ・デュ・バリー」では、そんなデュバリー夫人の素顔が描かれているように思える。

 

今、ブックショップではこの映画の原作になった「デュバリー夫人」の本がヒットしている。

誕生日祝いに友人から頂いたので、ゆっくりこちらも楽しいたいと思います。

 

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