この夏のパリは、ゆっくりのんびり、最愛の父を看取った自分のための慰労会を兼ねていました。
いつもは短い滞在の間に、開催中の興味ある展覧会を洗いざらい観るために息つく間もなく駆け足の日々ですが、
今回は、「1日一つだけ」と贅沢に展覧会を堪能するのが趣旨。
そんな中でも、楽しみにしていたのが、
パリ装飾美術館で開催中の展覧会「エルザ・スキャパレリとシュルレアリスムの仲間たち」展でした。
目黒の東京都庭園美術館のシュルレアリスム展でもフォーカスされていたので、
少しづつ日本でも知られるようになってきたクチュリエ・エルザ・スキャパレリ。
彼女は、イタリア貴族の出身で、恋に落ちた男性とイギリス〜アメリカを周って1922年にパリにたどり着きました。
時のパリはその後、ずっとライバルとして引き合いに出される
シャネルが、
「新しい女性」たちのために動きやすいオートクチュールを誕生させて一躍注目を浴びていました。
堅い仕事は全く向いていないスキャパレリでしたが、幼い頃からアートやアンティークに触れていた彼女の審美眼は確かなもので、
アメリカの顧客のためにそうしたものを購入して小金を稼いでいたそうです。
一方でパーティに出席するために自ら作ったコートドレスが当時のクチュール協会の大御所ポール・ポワレの目に留まり、
彼のとの交流が生まれます。お金のなかったスキャパレリのために、ポワレはドレスも作ってあげたそうですよ!
そんなわけで、一風ぶっ飛んでいるが、しかし、芸術的な才能を秘めたスキャパレリのオートクチュールは
パリでどんどんヒットしていきました。スポーツ熱が湧いていた時代にエレガントな女性が着るようなカジュアル・エレガンスなだまし絵のセーターは、前々回のブログでマリー・ロー・ド・ノワイユが着ていましたね。
その後、スキャパレリは、ダリやコクトーをはじめとするシュールレアリスムのアーチストたちとのコラボを始めます。
ダリとコラボしたオマール海老プリントのドレスは、エドワード7世の妻、ウオーレス・シンプソンがヴォーグの撮影の際に着たことで話題騒然となりました。
また、靴型の帽子「シューハット」や、昆虫のネックレス、ボタンなど、コスチュームジュエリーの流行に乗ったことでも知られています。
時代の寵児、ジャンミッシェルフランクと彫刻家ジャコメティの作ったヴァンドームのブティックは、
マネキン人形の店番のいるバンブーの檻のような造りでエッフェル塔、オペラ座と並ぶパリの名所だったそうです。
そんなスキャパレリの創造にどっぷり浸かることのできる展覧会。
来年の1月22日まで開催中。パリを訪れる方にはぜひ、オススメの展覧会です。
SHOCKING!
LES MONDES SURREALISTES D'ELSA SCHIAPARELLI
Musee des arts décoratifs
107 rue de Rivoli 75001 Paris