父の葬儀と重なり、生まれて初めて講座を延期にしました。また、美術館訪問にはアテンドすることができませんでした。

関係者の皆様には、大変ご迷惑をおかけしました。

また、受講生の皆様、ごめんなさい。

 

そんなわけで、今季のアンスティチュ・フランセ東京のアトリエクラス「愛するパリ!」は7月27日が初回授業となりました。いつもパリの歴史と今をテーマにお話ししていますが、今回の総合テーマは昨年の夏に引き続き

「庭」。この春、ブローニュに誕生して、隈研吾の建物で話題のアルベルカーン美術館の庭についてお話ししました。

 

南アフリカのダイヤモンドと金鉱山に投資して莫大な財産を成したアルベルカーン。

彼は、それを慈善事業に投資して「AUTOUR DU MONDE 世界一周」と名付けた奨学金制度や

「AECHIVES DELA PLANETE地球映像資料館」を設立して、

19世紀末から20世紀初めの世界の姿を見てきて、話し、語り合い、画像、映像に記録するという一大冒険事業に邁進しました。

 

現在、彼の庭が当時のまま残されているのは、こうした映像がそのまま残っているからです。

 

建物は現代風に解釈した日本の伝統建築。こちらも素晴らしいですが、何と言っても庭がすごい。

是非是非、次回のパリでは訪れてみてください。

 

なかでもパリの街を彩るマロニエは、この庭でも重要な役割を占めています。

長い間インドの植物だと考えられて、インド、アジアの山間の地を散策していたそうですが、

マロニエは、バルカン半島の山間からカスピ海の沿岸にまで自然に繁殖する原生林だったそうです。

パリには1615年にフランソワ・バシュリエによって初めて植林されたそうで、19世紀後半、ナポレオン3世の時代にパリの大通りにずらりと植林されました。

 

4月から6月に美しい白と赤い花を咲かせるマロニエ。

ギリシア語で「馬の栗」(確かに、人間は栗を食べて家畜はマロニエを食べる)と呼ばれるマロニエの歴史は、

とっても長いものなのですね。

 

アルベルカーン美術館
https://albert-kahn.hauts-de-seine.fr/