食文化ヒストリアンの大原千晴先生の人気講座、グルメレクチャー。昨日、その33回目の講演を無事終えることができました。

 

会場は、前回もすばらしい料理を作ってくれた白金台の「シエル エ ソル」。勉強熱心な音羽シェフのおかげで今回もみなさん、講座&料理を堪能なさって帰られたようです。

 

フランスの植民地だったカリブ諸島サン・ドミンゲ(現ハイチ)で生まれた剣の達人の父を持ったアレクサンドル・デュマ。デュマというのは、そのカリブで奴隷だったおばあさまの名前で、父方は16世紀初頭から続く、名門ダヴィ・ドゥ・ラ・パイェトゥリー家。しかしながら、ナポレオンのエジプト遠征に付き添ったものの、皇帝の怒りを買ってパリへ帰還された父は、その後、仕事も年金も与えられず、悲惨な生い立ちを強いられたのだそうです。

 

そんななかで生まれたアレクサンドルは、パリに出てくる途中にも狩りでとった獲物を売りさばいたりなどするサバイバルに強い性格。また、見た目もクレオールの血が流れていて、背も高く、とても体格のよい男性だったようです。人生にも女性にも、すべてにおいてとても意欲的で、今日はあちらの女優、明日はこちらと浮き名も大いに流したようです。原稿料が入れば、600人もの祝宴を開き、なくなれば破産と人生の浮き沈みもはげしく。これって、同じ時代に生きたバルザックもでしたよね。ジョルジュ・サンドやショパン、そしてリストにマリー・ダグー。考えてみればロマン派のサロンの人たちは皆そんなでした。芸術家の血がそうされるのか、時代背景がそうだったのか。今とは全く違った人生。なんだか憧れる〜。

 

食欲も旺盛で、晩年に書いた大料理辞典は、一般のものとは大いに違って好き嫌いによって文章の長さも説明の濃さも全然違うのだそうです。日本語にも訳されて読めるのだそうです。一度、読んでみたいですね。

 

そんなデュマの晩餐メニューは

スープからはじまり、各種オードブル。スープの後の肉魚料理、そして、温菜。

そして、数種のローストのサラダ添え。大きなものは、チョウザメ丸ごとなんてのもあったそうです。(これは、バベットの晩餐にも出てきましたね)

その後、温野菜とハム、鶏肉。最後がデザートで締められるといった具合。

 

こんなに食べたら1日何にもできませんね。

 

ということで、現代の私たちにあったメニューを音羽シェフが考えてくれました。

それが、こちら。

 

アミューズ

 

エスカルゴのパネ グリーンピースのクーリーと春野菜

 

 

ウフ・オウ・シャンピニオン

 

桜鯛 白アスパラ ヴィネグレット・トリュフ

 

ジュードブフ・ア・ラ・プロヴァンサル

 

シャルロット・オ・ポム

 

ミニャンディーズ&カフェ

 

どれもこれも洗練されていて、1830くらいでなく、2017年に生まれていたことに感謝。

 

次回は、英国エリザベス1世という噂も。晩夏か初秋の頃。皆様お楽しみにお待ちくださいませ。

 

 ときのもり シエルエソル

http://www.tokinomori-nara.jp/ciel-et-sol/