最終結論 長期投資でリスクは縮小しない !(縮小すると主張する奴は統計音痴か詐欺師か馬鹿) | インデックス投資家からの脱却(アンチインデックス)

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インデックス投資について疑問に感じたこと、インデックス投資に代わる投資法を書いていきます。

本記事は図らずもシリーズ物となってしまいました。
「ノーロード投資信託徹底ガイド」より来られた方は本記事を含めて、シリーズの全てをお読みいただければ幸いです。
1:バートン・マルキールは標準偏差と標準誤差の区別もついていない大馬鹿者
2:本記事
3:長期投資でリスクは縮小しない 補講
4:長期投資でリスクは縮小しない 補講その2


ちなみに私が否定しているのは
「長期投資でリスクが縮小する」という部分だけです。

それ以外の
「インデックス投資はアクティブ投資に勝てる」
であるとか
「長期的には株式の期待リターンはプラス」
という理論については否定をしていません。(肯定もしていませんけど)
では記事をどうぞ。


先日の記事 で述べたように、長期投資でリスクは縮小しません。
縮小するのは「標準誤差 」であり、リスクを示す「標準偏差 」ではありません。
統計を勉強している人間にとっては常識といっていいレベルの知識です。
そして、標準偏差は長期だろうが短期だろうが不変です。

この、標準偏差と標準誤差を勘違いしたマルキールの大きな誤謬に気付いている人はいないかとネットを検索してみました。
するとすぐに見つかりました。
流石としか言いようがありませんが、山崎元氏がマルキールの誤謬をきちんと指摘しておりました。
その記事は楽天証券のページ内にある
山崎元「ホンネの投資教室」というコラムの第199回目の記事 です。


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こちらの記事から一部をを引用してみます。
「マルキールの議論の誤りは、投資期間が異なる運用のリスクを「年率の平均リターンのちらばり方」で見ようとした点にある。
リターンの分布がランダムである場合、「年率で見た平均リターンの標準偏差」は、運用期間が1年間で計算された標準偏差を運用期間(年)の平方根分の一で割り算した値になるから、運用期間が延びるほど、縮小するはずだ。」

上の文章の2文目が「標準誤差」の特徴をきちんと言い当てているのです。
また、山崎氏は
「運用会社や金融機関には、証券アナリスト資格を持った社員が多数いるはずだ。彼らが、この議論の誤りに気付かないというのは、不思議であると同時に情けない。」
と述べています。
要するに証券アナリストレベルの統計知識でこの議論の誤りには気付けるのです。
というより大学の一般教養レベルの統計知識で気付けます。

最も山崎氏は「標準誤差」という統計の概念をご存じではないようなので、
マルキールの示したリスクが
「標準偏差」ではなく、数学的に全く性質の違う「標準誤差」であるとの結論にまでは至っていません。

もっとも「長期投資 リスク」というキーワードで検索をしてみると、数学的知識が無く、
マルキールの主張をそのまま受け入れてしまっている愚かな人達が多いことに気付きます。
特に著名なインデックス投資家である水瀬ケンイチ氏は
「長期投資でリスクは縮小するか」論争はもうやめよう
という記事を書いており、
「両方のリスクの定義が違うから、どちらも正しいのだ」
という何の役にも立たない結論を導き出しています。
リスクの定義にこだわる結論を導くのであれば、マルキールが定義したリスクは「標準誤差」であり、
その数学的性質によって、「標本数(運用期間)が長くなるほど自動的に値が小さくなる」という所まで気付いて欲しかったところです。
水瀬ケンイチ氏の数学的知識背景がどのようなものなのか全く存じ上げないので、なんとも言えないのですが、
おそらく数学や統計のことは良く分かっておられないんだと思います。

水瀬氏とは異なり、長期投資でリスクが高いことを実際のデータで示したすばらしい記事があります。
「アセマネの内定を蹴って自分で運用するブログ」 における
「超長期インデックス投資の危険性4【最終回~短期売買or長期投資~】」 という記事です。
全4回のシリーズはとても読み応えがあり、本気で読んで理解しようと思えばかなり疲れます。
私はMaRの定義などがよく分かっていないので(特に理解する気も今のところ無い)、ぶっちゃけ細部は2割ぐらいしか理解できていないのですが、
その主張せんとするところは良く分かりました。(分かった気がするだけかもしれません)
(記事の事は褒めているのに失礼な紹介になっちゃったな)

とにかく最終結論です。
「長期投資で縮小するのは標準誤差だけであり、標準誤差が縮小する原因は標準誤差が持つ単なる数学的性質によるもの」
「長期投資でリスク(標準偏差)は縮小しない」
「長期投資では運用資産額の変動幅は大きくなる」

上記の3つの文章を簡単な例えで表しますと、
「さいころを何回も振ると、また、振る回数が大きくなるほどさいころの出た目の平均値は3.5付近で安定する(標準誤差が小さくなる)」
「さいころを何回振ろうがさいころ本来が持っている「1~6の目のどれが出るか、またどの目が出やすいかという事は分からない」という不確実性(標準偏差)は変わらない」
「さいころを何回も振るほど、その合計値の振れ幅は大きくなる」

3つ目の文章は下記のような遊びを想定すると分かりやすいかもしれません。

1:さいころを1回振って出た目の合計を競う遊びを行う。出た目の合計が一番小さい人(合計nとする)は、合計が一番大きい人(合計Nとする)に(N-n)×1000円を払う

2:さいころを10回振って出た目の合計を競う遊びを行う。出た目の合計が一番小さい人(合計nとする)は、合計が一番大きい人(合計Nとする)に(N-n)×1000円を払う

1と2ではどちらがリスクが高い遊びなのか分かりますよね?
1では最大5000円の支払いになりますが、
2では最大50000円の支払いになります(もちろんその可能性は恐ろしく低いのですが)。