タラソテラピーの科学的発展には2つの研究が大きく貢献したと云われています。
1897年、医師であり生理生物学者のルネ・カントン博士は、
「海水、その有機的環境」と題した論文を発表し、
「海の効能」を実証しました。
その研究は
「犬の血液を抜き取り、
清浄な海水と冷泉水で薄めたアイソトニック状の海水を犬に注入し、
その結果、初めは生死を彷徨っていた犬が
4日以降みるみるうちに回復。
そのことが海水は血液の代用になること」
を証明しました。
(ちょっと怖い実験ですね・・・
1904年、ルネ・カントン博士は
13回パリ国際医学学会の論文で、
動物は体内に海水を保有することを生物学的に論じ、
①地球の70%は海水に囲まれている。
人間の体も体液は、70%が血液から成り、
ミネラルの組成は海水のそれとほぼ同様である。
②人間の白血球は他の人工的環境では死滅してしまうが、
海水中では生きることができる。
このことからも
「全ての生命は、海から誕生した」
といわれる所以です。
ですから人々が治療やリラクゼーションのために、
生命の母である海を求めるのは、
自然の摂理と云えるでしょう。
さらに、
1966年ゲルフィ教授は、
「体毛が生えていないラットを使って、
ミネラルの経皮吸収度合いを測定。
その結果、海水ミネラルは、
表皮を経由して体内に浸透することを証明。
このイオン浸透は入浴中よりも入浴後に大量に行われる。」
教授は「イオンを浸透させる条件は、
35℃の温度で13分以上入浴することが必要である。」
と提唱しています。
この2つの研究によりタラソテラピーは
著しく発展したものの、
2度にわたる戦争による施設の破壊や近代的医学の発展によって、
一時タラソテラピーはフランスでも忘れられていました。
しかし、六角形の国土の三方を海に囲まれているフランスでは、
タラソテラピーを古くから実践し、
この分野では大変進んだ技術をノウハウを誇っています。
近年の傾向としては、病気の療養というよりも、
フィットネスや疲労回復、気分転換といった目的の人が増加しています。
全ての生命の根源である海の懐に抱かれて、
リラックスしリフレッシュするタラソテラピーは、
さまざまなストレスに悩む現代人にはうってつけの健康法といえるでしょう。
(フランス政府観光局長 ジャン・シルベスト)
海に囲まれた日本でも海の恵を健康に役立てることができそうですね。