ああ 今日も 星が見えないね
東京の空

今日 髪を切ったんだ
別に 失恋したわけではないけれど
銀座の夜
ひとり 脚をもつれさせて
歩いている わたし
微熱のあるおでこは
もう 誰も 手をあてては
くれないから
自分で しっかり
歩いてる
ああ 今日も
あなたの心が見えないよ
この東京の喧騒にまみれて
わたしの心が
くすんでしまったから
あなたの心が見えないの
あの日
シーツの上で
人魚に なった日
あなたの体温が
熱すぎて
わたしは あなたに
灼けて 灼けまみれたから
わたしの海に 還ったの
白いシーツにくるまれて
舌ったらずな人魚になった日
星が 隠れて
わたしの心も
不透明で
そして あなたの心は
不確かで
ふたりの空気が澱みはじめた
ああ 今日も
星が見えないね
銀座の夜空に
時を知らせる大時計

今日 髪を切ったこと
わたしだけしか知らないの

今日も 星が見えないよ
だけど
明日は見えるかな
きっと 明日は星月夜
わたしの心が
透明に 星を映して星月夜
ひとり 星に抱きしめられて
今夜も シーツにくるまるの
きっと明日は 星月夜
きっと明日は 星月夜