パニック障害を乗り越えて ~十返りの花~ | あいらぶありす

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2019年9月26日
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2021年1月2日
お星さまになったチョコ
たん(享年14歳4ヶ月)と
家族のために一生懸命な
パパ & はすなこと橘まゆの日々のブログです♪


数年前、私は 急に電車に
乗れなくなった。
味わったことがなければ、わからない
あの恐怖感。

車も、自分の運転でないと
乗れなくなった。
大好きだった飛行機にも
乗れなくなった。

普通のことが出来なくなる不便さ。

しかし、わからないものだ、
人生は。



大学ノートに、たどたどしい文字を
綴りはじめて、それが 文章になり
やがて *アンソロジー詩集として
出版された。

その詩が 目にとまり、
無料で数年間、都内の出版社で
勉強させていただける機会に
恵まれた。

私には、文章を書くのは
向いていないと思い、
何度も 筆を折ろうとしたが、
そのたびに、
回りの方々から、書くことを
続けていくことを
強くすすめられたのである。



「がんばれ! 石にかじりついても!
山を登板せよ。 」
とは、当時、私をはげまして
くださっていた作家の先生の言葉
である。

やがて、私は 病にも執筆にも
挑み続けた。
電車も、特別快速に乗れるまでに
快復。
車の運転も、首都高を運転できる
までに快復。
そして、パニック障害を
乗り越え、
飛行機で 故郷に帰省出来たのだ。



人に勝つことは 簡単かもしれないが、
自分に克つことは、難事である。



実家の母には、何かしら
賞を受賞したら、実家に帰るからねと
言って、暫くして、思いがけず、
賞を受賞し、賞金をいただき、
昨年 デビューさせていただいた。
感謝の一語に 尽きる。

もちろん、短文の世界で食べて
いけるはずもない。
だから、私は
勤めをやめることは出来ない。

そう、
私は 社会復帰を
果たしたのだ。
小さな小さな社会の歯車に
過ぎぬが、
少しは役に立っているようだ。

現在、正社員で
働いている。

これからも、私は
執筆をライフワークとして、
満員電車に押し込まれながら、
文芸の
産みの涙を流し、
社会にあっては
会社の戦力として、
生きていくのだろうな。



私は、磨かれる宝石よりも、
山道の、石に刻まれる文字に
なりたい。

そして、
私の闘病を支えてくれた
かけがえのないかたたちへの
感謝は 尽きない。

病むからだでも、
あゆみをとめなければ、
やがて 眼前には
頂上の景色が
広がっているはずだ。

そう、信じて
日々、歩んでいる。



「 十返りの花を 見たさに 生きてをり 」


生きてさえいれば、いつか
十返りの花が 見れるかもしれぬ。



そうだよね、ありす。