翌日、私はいつもより早く出勤した。


店長はすでに店内を探し続けていた。


私も一生懸命、探すふりをした。


結局、その日店長は探し続けるだけで、仕事場には出てこなかった。


このままでは店長はずっと仕事場へ出てこないのでは?
そう思ったが、返す気にはならなかった。


しかし、次の日出勤すると仕事場には店長の姿があった。


「店長おはようございます。
さすがに諦める気になりやしたか?」


だが彼はそんな甘い人ではなかった。


よくみてみると両手両足に5本ずつのパワーバランスが付けられていた。


おかげで全然ブレない。


ブレなさ過ぎて前に進むのも困難になっている。


「店長、さすがに一本ずつにしてください。
それでは逆に仕事になりやせんよ。」


「一本ずつ?
そんなんじゃブレブレで立てなくなっちまうよ!」


昨日は立っていた。


完全に気が狂って、我を見失っている。


すると店長が私に聞いてきた。


「お前、最近バランスがいい様に見えるけどどうしたんだ?
ひょっとしてお前もあれつけてんのか?」


「あっ、いやそれは…」


ちょっと見せてみろと、進みづらい脚を運ばせながら迫ってくる。


完全に追い込まれてしまった私は、店内を飛び出し逃げ出してしまった。


自宅に着き、そこでやっと取り返しのつかない事をしてしまった事に気がついた。


もう逃げ場のない私は、ある決心をした。


「葬るしかないか…」


自分自身でも異常な考えだとわかっていた
しかし、あれを守るためにはそうするしかないと考えた。






だが翌朝、思いもよらぬ展開へと進んだ。


まだ朝食を摂る前の事だ。




「トゥルルルー……」


「はい、もしもし」


「あっ板橋警察です。」


昨日の夜、店長が殺されたという知らせだった。