遅刻に関するよもやま話。 | 人事・労務は、あんしん第一! 社会保険労務士法人・行政書士法人 あんしんサポート

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こんにちは、木戸でございます。


あまり物事に感動しない私ですが、先日感動する記事を目にしました。
小学校4年生の男児が、歩道脇に座り込んで動けなくなった95歳の老女の
保護に貢献したとのことで警察から表彰されたとの内容です。それほど驚く
ことではないかも知れませんが、私が感動したのは以下4点。

・日頃から近所の人に挨拶する習慣が身に付いていて、今回も同様に声掛け
・老女が無反応(道に迷い行方不明になった)なので、放っておけなかった
・すでに学校に遅刻する寸前の時刻にも関わらず、心配してさらに声掛け
・通学途中の朝の出来事だったため、すぐに学校の先生に知らせに走った


ちなみに、この男児より40も年上の某中年男性はこんな感じ。。
・挨拶嫌い、自分から声を掛けることが超苦手、声を張ることも苦痛
・他人の行動や様子の変化に興味も関心もまったく湧かない冷淡人間
・遅刻することは日常茶飯事だが、人助けをしたことはまったく無し

・・・ん?遅刻する?遅刻・・そう、遅刻といえば、始業終業の時刻が決ま
っている労働者にとって、遅刻や早退といった事象はいつ起きてもおかしく
ないことで、それが原因で雇用の継続か終了かに発展することもありえます。
そこで今回は、遅刻にまつわるお話を集めてみました。。


■遅刻で賃金カットできるのは、どこまで?

 昔は『1ヵ月に遅刻を3回したら欠勤1日とみなす』なんてペナルティを
 見かけましたがこれはNGで、遅刻控除は本来の始業時刻と遅れて出社を
 した時刻との差の時間数まで
です。もちろん、分単位で控除可能です。
 早退も同様の考え方です。就業していた時間数は控除できません。

 では、控除する額(遅刻控除単価)の算出方法はどうかというと、
 基本給・諸手当の合算額を1ヵ月間の平均所定労働時間で割り、算出した
 時間単価を遅刻時間数に掛ける
、という式が一般的で、給与規程に定めて
 おく必要はあります。諸手当を含めるかどうかは、会社の決め次第です。


■賞与で勤怠不良によるマイナス評価分を減額できる?

 遅刻の常習者には、遅刻時間数の控除に留まらず、罰として賃金カットを
 したいというご要望をよく聞きます。確かに遅刻した時間分だけ控除する
 のは当然のことで、では罰則としての賃金カットはいくらでもできるかと
 いうとそうでもなく、労基法の減給の制裁という制限事項がに当たります。

 ざっくりいうと、遅刻の常習者に対する制裁は給与1日分の半額を限度と
 する
必要があります。それでも納得いかんという場合は、賞与支給額から
 控除する方法もあります。こちらは減給の制裁には当たらず、勤怠不良に
 よるマイナス査定
という大義名分?の下に減額が可能になります。


■電車遅延で遅刻したときは、遅刻控除できない?

 そんなことはありません。ただ、本人都合ではない不可抗力の遅刻という
 ことで、遅延証明書を提出すれば控除しない、というルールの会社は多い
 ようです。一方で、理由が何であれ会社が原因ではなければ、労働すべき
 時間に労働していなかったことで控除
しても、問題はありません。

 どうせ遅刻控除されるのなら遅延証明書は要らないのでは?という意見が
 あるかも知れませんが、遅刻控除はするが勤怠評価の査定においてはマイ
 ナス要因にしない、という取り扱いはできます。不可抗力による遅刻か、
 本人のチョンボによる遅刻か、の判断材料とするものです。


■フレックスタイム制では『遅刻・早退』は存在しない?

 誤解されやすいところです。たとえば、11~15時にコアタイムを設定
 していれば、11時10分に出社した場合には10分の遅刻といえます。
 一方、コアタイムが無いフレックスタイム制の場合は、業務の開始時刻が
 出勤時刻ですので、遅刻(早退)の概念がありません。

 ところで、遅刻早退の発生=時間分の給与控除 というのは義務ではなく、
 フレックス制であれば、日単位でなく月単位で労働時間数の不足の有無を
 判定
しますので、先ほどの10分の遅刻があっても、他の日にその10分
 を補う時間数だけ働けば、遅刻(早退)の控除は法令違反になります。


■管理監督者には『遅刻・早退』は存在しない?

 管理監督者の立場にある人は、労働者ではあるものの経営と一体となって
 いることが前提としてあるため、労基法の労働時間・休憩・休日に関する
 規定は適用されない
ことが特徴です。ただし、労働者ではありますから、
 始業・終業の時刻は定められています。

 結論としては、遅刻早退の概念はあるものの、遅刻早退時間の給与を控除

 してしまうと管理監督者ではなくなってしまいます。
 ちなみに、欠勤控除はどうかというと諸説ありますが、労働日全体を欠務
 することはノーワークノーペイの原則優先で控除可の扱いが有力です。



ダラダラと書き連ねてしまいましたが、業務の参考になれば幸いです。


 



爺「昔、遅刻3回で欠勤1日扱いっちゅう規則があってな、こりゃラッキー
  じゃと。3日間、夕方出勤して2時間だけ仕事したんじゃが、ちゃんと
  18時間の遅刻控除されよった!甘くはないのぅ、フォッフォッフォ」

孫「おぢいちゃん・・・、6時間も遅れて出社しても遅刻ってゆう??
  それより、1日分の欠勤扱いで済むと思っちゃうところが純粋すぎる!
  出社にも出世にも遅れちゃったのは、こうゆうところが原因なのね。。」