こんにちは、木戸でございます。
当社は今月で設立から11年が経ち、12年目が始まりました。
設立当初は、社員が辞めない、メンバーの固定された会社を作りたいなどと
いま思うと恥ずかしくなるようなことを理想としていたものです。
(⇒コンスタントに(!?)入れ替わりながら増えてます・・・)
人材の流動化は珍しくない昨今ですが、固定メンバーで継続するのはとても
難しいことだと実感しています。
・・・ん? 固定メンバー? 固定??、といえば、最近は固定残業手当
(みなし残業手当など、呼称はいろいろ)を支給していた会社がその制度を
廃止したり、一方で支払いを固定化したほうが良いのか?といったご相談を
受けたりするなど、動きが見られます。
そこで今回は、固定残業手当にまつわるお話を。
■ 固定残業手当は違法ではない
法令上は、実際の労働時間や時間外勤務に応じて正しく計算された賃金、
割増賃金が支払われていればそれで良く、労働局などの行政のスタンスも
同様です。つまり、固定残業手当そのものは問題ではなく、問題があると
すれば、残業時間数や割増賃金の算出方法が原因です。
■ 労働者への説明
かつては『基本給28万円のうち6万円は残業手当』『基本給に30時間
分の残業手当を含む』という取り決め(雇用契約)でも問題はありません
でしたが、現在では雇用契約として不十分であるとされています。
ですので、たとえば『基本給28万円の中に45時間分の時間外勤務手当
72,200円を含む』というような、残業時間数と額の内訳の明示が必要です。
もちろん、基本給207,800円・固定残業手当72,200円という表記も可能です。
■ 固定残業手当の額と時間数
では、固定残業手当は何時間分が妥当か? もちろん、各社の各業務量の
実態を見ながらの設定が最適ですが、現在は残業時間の上限に細かい制限
もありますので(月間45時間以内、特別な事情のある場合に限り年6回
まで月間45時間超か可能・・・など)、45時間以内の時間が妥当では
ないかと思います。もちろん、この場合に50時間の残業をしたときは、
5時間分の手当を追加で支給しなければなりません。
なお、各社の36協定に特別条項があり、月間80時間まで残業が可能と
明記されていれば、45時間分を超える固定残業手当(たとえば60時間
分の固定残業手当)が支給されていても、理屈上は問題ありません。
■ 時間数は無制限とはいえない
ただ、36協定に明記された上限時間内ならいくらでも良いかというと、
そうとも言い切れず、悩ましい問題です。法令上に明確な上限がないので
裁判を参考にしますと、裁判の例で主なものとして以下があります。
・月間95時間の定額残業手当は安全配慮義務に違反しており、公序良俗
に反する恐れがある
(ザ・ウィンザーホテルズインターナショナル事件 札幌高判H24.10.19)
・基本給のうち一定額を80時間分の割増賃金とすることは、公序良俗に
違反するものとして無効とすることが相当である
(イクヌーザ事件 東京高判H30.10.4)
といったものがあり、60時間分程度(年間12ヵ月で720時間分)が
無難なところではないかと考えています。もちろん、何よりもその時間数を
超える残業をしないようにすることが求められますが。。
ところで、ある会社で、固定残業代支払の制度を廃止する理由の一つとして、
固定残業時間数=恒常的にその時間数の残業がある と思われてしまうため、
求人の際の応募数に影響する懸念があった、というお話を聞きました。
確かに、残業時間数が少なければ実労働時間(残業時間)に応じた計算を
する例が多いでしょうから、求職者にそのような印象を与える点も考慮して
検討されることをお勧めしています。
以上、業務のご参考になれば幸いです。
爺「ワシは仕事が早いけぇ残業はほとんどせんのぢゃが、この前社長がのぅ、
『オマエさんは残業はせんでえぇ、ジャン業で稼げ!』と言いよった!
なかなかウマいのぅ、フォッフォッフォッフォッフォ」
孫「おぢいちゃん・・・!まさかの賭けマージャンカミングアウト(汗)!
あんまり稼いでる話は聞いたことないけど・・・、いやいや、そうぢゃ
なくて、一応全世界で数人は読んでるブログなんで、その辺は。。」