昨日は父親が危ないと娘さんが来館しました。
金銭的な余裕が無い不安が、ありありと分る話しの中で、
葬儀経験のある知り合いから「ドライアイス追加だけで
数万円出る」と聞かされたらしいですが事実でしょう。

人の身体で腐敗が速いのは「腹部」また胃の中に食物が
ある場合など、逆流対処として「胸部」の処置、そこで
うちでは腹部と胸部を凍結させます。 

足が壊死してる場合や、脳の腐敗が心配な時は別として
他はさほど気する必要はありません。 問題は腐敗臭の
初期段階である死臭の発生を防ぐ事です。

でも多量のドライアイスは必要としません。
具体的には2.5㎏×2個で48時間は対応可能です。
腹部はドライアイスを横にして置き、胸部には縦に置く
だけで基本的に問題ありません(専用紙等で包む)

ただ処置後の遺体は紙オムツを履いており、紙オムツの
上からでは冷却効果半減のため、肌に直接当てますから
紙オムツの下に当てます。 1日経過すれば腹部は深部
までカチカチに凍結します(服の下で見えません)

納棺安置でカチカチなら、解凍に丸一日近く掛かります。
一旦凍結させ、火葬時間に合わせ解凍すれば、腐敗臭も
出ず、火葬時間も短縮出来、ドライアイスの節約もでき
ますから、余計な費用も抑えられます。

ちなみに凍結した皮膚の色は濃くなりますが、解凍後は
普通の肌色に戻ります。

こんな風に真実を書くと「故人への冒涜だ」と言う人も
いるでしょうが、我々の仕事は遺体に対し最善の処置で
尚且つ財布に優しい処置をし、家族が納得する事です。

摂氏2℃なら腐敗は止まるとか、4℃とか5℃とか色々
言われてますが、これは腐敗が全く無い遺体の事です。
実際は搬送の段階で死臭がする遺体もあるし、血流停止
からの時間経過は我々には分りません。

また納棺安置、布団安置どちらも、服を着て布団の中の
安置ですから、凍結して無い遺体なら時間が経過すれば

間違いなく腐敗臭は出ます。

1.000人以上の経験則から、一旦死臭が出てしまったら
凍結以外で抑える事は出来ません。 
消臭剤や、樟脳という葬儀社もありますが駄目です。

現時点では「一旦凍結」が最善の対処法だと思います。
時に追加が発生する場合は事前に分りますから、その
時点で理由と料金と総額見積もりも提示しておきます。

多くの葬儀社は上記のような理由も説明せず、自分達の
感覚と判断で加算の出る行動も当然のように行います。
この感覚そのものがあり得ません。

医者が患者や家族に何の説明もせずに、医療行為をして
好き勝手に料金を吊り上げたら、苦情を言いませんか?
そんな医者を信用しますか?

説明を受けても分らないかもしれません。
でも説明してくれる姿を見て信頼に足ると思えば、患者
家族は「お任せします」と思えるはずです。

今回の話しも含め我々が家族に隠したり、説明できない
事などありませんし、家族は葬儀の実際を学びますから
子供、親戚、知り合いにもアドバイスや体験談を話せる。

同じ話すにしても、今回の相談者が聞かされたドライの
追加よりは遥かに良いアドバイスができるでしょう。

更に逝去時に病院で発生する処置費用や、費用の抑え方
なども、事前相談の段階で対処法を伝えます。

一例を挙げれば、遺体に「浴衣」を着せてくれる病院が
多いですが無料ではありません。 4千円ほど掛ります。
また死化粧が有料の病院もあります。

口、鼻、尻など開口部を塞ぐ処置や身体を拭いてくれる
エンゼルケアは必要ですが、事前に自宅からパジャマや
着せたい服を持って行くとか、化粧は家族がしてあげる
事で病院、施設により抑えられる費用もあります。

 

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