11年間の葬儀施行で、我々も辛い葬儀のパターンがいくつかあります。
孤独死、若くしての病死や事故死、自殺などが典型ですが、もうひとつ
家族の葬儀をした時は元気だった人の死です。

最後のパターンだけは、故人の笑顔も声も雰囲気も全て分かってる事も
あるし、故人と家族の関係や、自分の死後に何を心配するかも分る。

最後のパターンになるだろう連絡が対象者のご主人から入りました。
自身が癌であると言ってはいましたが、本当だったんだ・・と思うほど
元気で明るい人なだけに少し戸惑いがあります。

この夫婦が最初に訪ねて来てくれたのは、3年前の年明けだったと思う。
ある人に紹介されての来館でしたが、ときたま僕も事務所にいて相談に
対応しました。 聞くと奥さんのお姉さんが危ないと聞かされる。

話をしていると、僕が生まれ育った魚屋さんの屋号を口にするご主人。

「えっ、なんでその名前を・・・」
「俺、〇〇〇〇です」と言うので良く顔を見る

髪の毛は無くなってますが、良く見ると知ってる顔でした。
「あっ、〇〇君!?」
「うん」と笑顔になる

僕が小学校の頃、最初は高校生だった彼がアルバイトに来てました。
卒業すると社員として働いてくれた二人のうちの一人で、後に弟さんも
働いてくれた人だと分りました。



 

聞くと、家業倒産後は自分で会社を立ち上げ、結構な規模になったそう
ですが、彼もまた倒産という厳しい時を過ごしたそうです。

僕の中学時代は遅刻の常習犯で、毎日のように仕事の車で学校の中まで
送ってくれた社員さんの一人でした。 子供の頃にお世話になった人と
分って過去の懐かしい話しや、その後の話しをしました。

その横で笑顔で聞き、彼が大変な時を支えてくれたのが対象者のようで
無口な彼に代わり、陰になり日向になりしてくれた人のようです。
また話しをしていると16歳年上の彼を愛しているのが分ります。

倒産し夜逃げした経験を持つ彼ら、今は小さな居酒屋を経営してるよう

ですが、それほど儲かっているとは思えません。

今年3月彼の母親逝去時は、直葬と納骨時に宗教者を依頼しました。
その時は元気に見えましたが改めて思い出すと「今度は私だから・・」
と言ってたように思います。

彼女は姉妹や母親も健在だし親戚筋もいます。
3年前は彼女のお姉さんで、余裕も無く当初は直葬を予定しましたが、
母親の強い希望で家族葬をしました。 この辺りが若干心配です。

》彼女が一番心配なのは70代になった彼の今後でしょう
》彼女の性格なら直葬を希望するでしょう

無理をさせず、できるだけ費用を抑えた葬儀をする事が、彼女の心配を
少しでも減らせる事になるはずです。
 
僕の出番無く家族親族全員が、僕の想定する葬儀に賛同してくれるのが
一番なのですが、無口な彼だけに強い母親に何か言われたら無理をする
のではないか・・・でも彼女はそれを望んでないのは間違いない。

すでに意識は無く眠っているそうですからモルヒネを注射したか点滴に
注入しているのだと思う。 あとは彼女の生命力次第と言われたそうで
すから、僕ができるのは、何とか彼女が笑顔で逝けるような流れになる
ような言動をすることだろうし、彼女が話せたら「お願いしますね」と
言われるような気がします。

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