先日葬儀をされた家族に聞いたと、一昨日入会にきた
方から、昨日の午後8時前、対象者逝去の一報が入る。
指定先の病院までお迎えにいき、あんしん館にご安置
すると、末期の水ををとり、線香を供えて最終確認と
死亡届出書の記入をするのが、いつもの流れです。
少し話しが進むと、7年間の介護生活を語りだした。
多系統萎縮症という難病の奥さんを介護したそうです。
気道が塞がってしまうらしく、喉下に穴をあけ気道の
確保をしたようですが、すぐに痰が出てくるから夜中
でも時々専用の吸引機で吸い取る必要があるそうです。
極端に言えば24時間の介護ですから、ちゃんと寝る
ことも出来ず、心身疲れ切っちゃうのが現実だそうで
時々介護に疲れて、首を絞めて殺した話しも出ますが
自分でも無意識に、奥さんの首を絞めてた事があって
苦しそうな声で「おとうさん」と呼ばれ気がついたと
言っていました。
経験した人で無ければ分らない心身の苦痛でしょう。
話しを聞いていると、お互い絆は変わらず持ち続けて
おり、話しは出来ないから、あいうえおの文字を震え
る指で刺しながらの会話だそうです。
「先に逝ったら 俺が逝くまで待ってろよ」
「いい男作るんじゃないの?」
「それは絶対ないよ」
こんな事を時間を掛けて話し合ったそうで、奥さんは
処方された入眠剤を飲んでも寝られず、ご主人が狭い
シングルベッドで一緒に寝るとすぐに寝付くそうです。
ただ狭いから身体が痛いと言ってました。
子供さんはおらず、2人だけの生活だったようです。
うちでお願いする戒名は、故人の性格、仕事、趣味等
色々聞いた内容を、お手伝い頂いく寺の住職にFAX
送信して付けて頂くのですが、今回は僕からお願いと
して、戒名の中にご主人の名前一文字を入れて欲しい
と、その理由も付けてお願いしました。
夫婦で生前した約束を忘れないようとの想いです。
正直なところ、愛する妻の介護と言えども辛い日々を
過ごしてきたご主人の7年間は、介護人生なのです。
それが全く無くなる解放感はあるでしょうが、同時に
ポッカリ穴が開いた状態にもなる事でしょう。
糸の切れた凧状態になり、生きる目標が無くなる事の
ほうが心配です。
自宅に戻る前、もう一度線香を供えて貰う時、こんな
風に言いました。
「今まで大変だけど、それが生きる支えに成っていた
とも思うし、介護が無くなった今は、葬儀が済んだら
暫くは実姉に来て貰ったり、泊まって貰ったり、友人
とも会ったりして過ごして、少し心に余裕が出来たら
かつて奥さんと一緒に行った旅行先を、ひとつひとつ
周ってみると良いかもしれないよ。
その時は胸に奥さんの写真を持ってさ、もう一度全て
周って、その時食べた物を食べ、寄った店によったり
見物した場所も行き、全ての旅行先に行き終えた時は
俺が君の所へ土産話を沢山持って逝くからね・・・
そんな時間を過ごしたら如何ですか?」
ご主人は嬉しそうな顔をして、うんうんと頷いてから
自宅に戻っていかれました。
仲の良い夫婦の片方が先に逝く・・・
当然の事ですが、残された配偶者が心配です。
これから生きる目標のひとつでも、指針らしきことが
伝えられたら、それも葬儀支援なんだと思う。
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