前回ブログの続きのような話しになりますが、設立間もない
頃の葬儀で祭壇飾りを無償で飾ったり、あんしん館の祭壇を
追加できないほど飾っているのは、多分、僕の生い立ちから
来ているんだと思う。
僕が中学三年生の時に稼業が倒産したと、ブログのプロロー
グにも書いておきましたが、それまでが坊ちゃん育ちだった
だけに、倒産後だけでなく数年間、もっとかな・・・お金が
無くて、誰も頼れなくて、一人ぽっちのような錯覚になった
事も多かったです。
学生の頃は倒産を知ってる同級生が、気を遣ってくれたりも
しましたが、それがかえって惨めに感じたりもした。
勿論、同級生は好意ですから、顔や態度に出すことはない。
ただ僕に関しては、この時の経験が糧になってくれたと思う。
人生は誰かに頼るのでなく、自分で切り拓くもの、温もりは
自分で家庭を持って育むもの、その絶対条件は心身の健康と
常に前向きな思考と向上心があれば何とかなる。
この感覚は学生時代の若い頃から備わったものですが、後に
『人は執着を捨てれば楽に生きられる』を母親を通して学ぶ
ことが出来たのもラッキーだったと思います。
ただ、この芯の強さは、普通に生きて来られた人達にとって
脅威でもあるようです。 この部分は子供達にもあまり良い
意味でなく、影響していると思います。
『正論とは、最善でなく、人によっては重圧にもなり得る』
正論を吐かれたら、何も言い返せないし、自信を無くす事に
繋がるし、時にはトラウマにもなり得るってことです。
いずれにしても、若い頃の挫折、惨めさ、情けなさなど負の
感情は糧にもなり得ますが、ある程度の年代を超えた人達に
とっては毒薬にも等しい時だってあるのです。
特にお金の問題なんて、他人から言われるまでもなく自身が
一番良く分かっていることです。
その傷に塩を塗り付ける必要はない・・・が今の持論です。
あんしん館の祭壇は『余裕の無い自分』『人からの情け』と
どちらも気にせず済むよう飾ってあるのです
69.000円直葬でも、搬送してくれば祭壇前で納棺してから
家族を式場内に呼んで、末後の水をとり、線香を供えます。
一番安いパックだからという思い込みがあるのでしょう。
まず式場に入った途端、祭壇を見て驚きます。
式場メインの蛍光灯は全消してあり、祭壇はスポット照明で
部屋の周囲はダウンライト、祭壇の灯篭類が明るく回転して
いるちょっと豪華な祭壇の前に納棺した故人がいるからです。
次に使用している山型蓋付、白布棺に驚きます。
多くは白木の合板で平らなフタの平棺だと思うらしい。
今回掲載した写真では、祭壇の一段目に果物皿一対と真ん中
には白木膳が置かれていますが、直葬の時は祭壇前にチラッ
と見える棺台の上に棺が乗り、手前の宗教者用の机は外して
おきます。
祭壇の下段中央に宗教者用の大きな香炉、その両脇に火立を
置きますから、祭壇も周囲も空いてる場所はありません。
この時点でパック料金の安さによる寂しさは無くなります。
さらに会員なら誰でも利用できる普通の仕様ですから、特別
気を遣って貰った感もないはずです。
過去に僕自身が感じたような、気遣いは有難いけど、どこか
惨めさを感じることもないだろうと思います。
人は苦境をバネにする人もいれば、苦境に飲み込まれる人も
いるのが現実です。 そりゃ前者のほうが良いですが、これ
ばかりは理屈ではないのです。
この辺りは酒を飲んで疲れを癒し、百薬の長と呼ばせる人も
いれば、酒に飲まれて酒乱と呼ばれる人もいるわけで、何と
なく似ているかもしれません。
苦境がバネにできるタイプなら問題ありませんが、ちょっと
した事で落ち込んだり、自分を責める人達もいます。
時たま葬儀の時に金が無かったくらいで、卑屈になったり、
自暴自棄になったり、すねたりして欲しくないのです。
自ら世間との垣根を作って狭くして欲しくないのです。
それなりにですが、温かく送れたと満足や納得できる葬儀を
提供できて、家族の心が温かくなれたら頑張ってきた甲斐が
あると思っています。
それは僕だけでなく、千明に於いても同じ感覚のようです。
そして、そんな感じの葬儀になってくれたら・・・
我々は自己満足できるわけです。
いつも言うように、最終的には自分達の為にしています。
だから利用者は遠慮しなくても良いし、恐縮する必要も無い
利用者が本当に喜んでくれる姿こそが我々の活力剤です。
正の感情、負の感情、何事も使い方次第なんだろう。
その典型が『薬』でしょう。 薬と聞けば病気を直すものか、
痛みを和らげるもの、身体に良い物と思ってしまいそうです
けど、殺菌力があるって事は毒だって事です。
適量使用すれば病原菌を退治するのに役立つけど、接種する
量が多ければ自分の身体を傷める・・・少なければ効かない。
挫折、苦境など負の感覚を糧にできるよう。
自分の適量を知ったり、デリケートな人はオブラート代わり
になる方法を模索しておくと良いです。
最期はちょっと難しい話しになりましたが、ようは酒と同じ
自分の適量を知っておけば、毒にはならないって事です。
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