4日夕方、医師から24時間持つかどうかと言われたとの
連絡が入り夜中の搬送を覚悟していましたが、逝去電話が
来たのは翌朝の7時でした。

自宅で亡くなり、いつも往診に来ていた医師が死亡診断を
してくれるそうで、電話を受けた千明によると、8時頃に
あんしん館に出社すれば大丈夫との事。

59才の男性で、癌で3年自宅療養してきたようです。

数日前、対象者の奥さんの母親が入会相談に来てくれまし
たが、娘夫婦には聞かず独断での来館と分り、娘達に確認
してから入会すべきと入会させずに帰しました。

4日の電話は娘さん自身からで、対象者を置いて出掛ける
ことも出来ず、どうしたら良いかとの事でもありました。

そこで一度来て貰ってるから、もしもの時は会員扱いでの
対応はしますが、集金時に入会寄付金3.000円が必要で
ある旨を伝えておきました。

搬送準備も終わり、少しすると死亡診断は終わった連絡と
診断書は病院に戻って書くから、取りに行く必要があると
分り、なら我々が途中で病院に寄る事を伝え出発しました。

前橋は北に赤城山があり、その途中に自宅があるようです。
事務所から30分くらい掛る初めて行く地域でした。
夜だったら道が分らないねと話しながら、ナビに従い走る
こと30分、自宅に到着すると駐車するにも平らな場所は
なく、何とかバックで駐車させ、ストレッチャーはストッ
パーを掛け、スクープストレッチャーのみ運び入れる。

ベッドで逝去した故人の顔を見た時、黄疸はあるけど問題
ないと思い布団をめくると、思ったより身体が大きい。

「えっ もしかして大きな人?」

そう聞く僕に奥さんは申し訳なそうに「はぃ 大きいです」
それを聞いて僕が思ったのは『さぁ 困ったぞ』でした。

癌で3年間療養後の逝去ですから、勝手にやせ細った人と
思い込んだのが大間違い、かなりの巨漢です。

僕と千明だけでは明らかに無理ですが、その他にいるのは
故人の奥さん、故人のお兄さん夫婦、親戚のお婆さんだけ
ですから、若い人は一人もいませんし老人ばかりです。



どう見ても120kgくらいはありそうな故人だし、出入り
できる幅は狭い・・・ とにかく搬送シートを身体の下に
入れ包んで縛りますが、身体が大きく完全に隠れません。

それでも何とかシートに包むと、スクープストレッチャー
を二つに割り、身体の下にすべりこませ結合します。

お婆ちゃんも手伝ってくれようとしますが、正直なところ
邪魔でしかありません。 お婆ちゃん2人はよけて貰って
運び出しますが、ベッドから運ぶには、狭いため一人しか
通れませんが。持ち上げるのは二人でもやっとです・・・
この状態で運ぶ方法を暫し考えます。

ベッド横にあった椅子を借り、ストレッチャーの下に置き
台として使用すれば、力を抜いても問題ありません。
そのままの体制を維持しながら移動することにしました。

何とか寝台車に乗せると、あんしん館までは運びましたが、
今度は棺の中に入れるのが大変です。

がしかし、今年150kgほどの人を同じように納棺して
いることで、同じようにやれば大丈夫の思いがあります。
案の定、以前の経験が役にたち、無事安置するとドライア
イス15kgを当てます。
棺は棺台でなく、棺専用のストレッチャーに乗せます。
棺台に乗せたら霊柩車への移動が大変ですからね。

6日は友引で火葬場は休みですから、7日の朝一で火葬を
した後、故人が信心していた宗教館で葬儀をするそうです。

予想以上に大きな遺体・・年間数人いるパターンです。

身体の大きな遺体は特に、死後あまり時間が掛かると死後
硬直して棺のサイズを大きくする必要も出てきます。

斎場から確認の電話で、120kgの故人が普通の棺に入る
のですか? と連絡がありましたが6尺棺で納まります。

我々は家族の希望や財布事情に合わせて棺を選択します。
費用は掛ってもゆったり寝かせてあげたい家族なら、棺の
サイズを適正な大きさにしますが、極力費用を抑えたいと
考えてる家族には可能な限り普通棺で対応しています。

このタイプのご遺体だと、6.5尺ワイドサイズの棺を使用
する葬儀社もあるでしょうが、原価でも数万円上がります。

身長が高い対象者、太っている対象者のおられる方は事前
段階で、対象者の入る棺と料金加算を確認しましょう。
10万円くらい高くなる葬儀社はいくらでもあるはずです。

このくらい大きな方の場合、納棺状態でストレッチャーを
一番下段にすると、千明では持ち上がりません。
千明は力の無いほうではありませんから、女性では難しい
ご遺体でもあります。

当時部屋にいたメンバーを思い出すと、お兄さんも一人で
頭部のストレッチャーが持ち上げられませんでした。
俺もいつか持ち上げられない時が来るんだろうなぁ・・・
葬儀の仕事で一番のちから仕事が搬送です。


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