今回は前回の後編『理念を前進させるなら』です。
初めに本日のテーマを箇条書きにし、次に各項目の詳細を記します。

》余裕の無い家族は間違いなく増えるから、料金値上げは避けたい
》宗教色の無い、どんな宗教の人でも行える『新たな葬儀』を新設
》葬儀の意識改革、意識革命
》現行の全事業の継続
》警察の検視を避けられるシステムの開発
》全国全県で必要な人は同じ恩恵が受けられる事

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》余裕の無い家族は間違いなく増えるから、料金値上げは避けたい

余裕の無い相談者と膝を突き合わせ、話し過ぎたのかもしれない。
多少の無理は承知で走り続けてきました。
僕は元々、ある会社の社長でしたから、当初は役員報酬がありました。
相談に来られた家族との話しでは、どうしてもお金の話しになる。
「そうだよね、基礎年金だけの生活は楽じゃないよね」と言っている
自分に違和感を感じました。 それは僕には収入があるからでした。
単刀直入に言えば、自分の言葉が偽善としか思えなかったのです。

そこで同じ土俵に立とうと決心、黒字の株式会社を社員に無償提供し、
自分の収入源を絶とうと決め実行しました(他意もあり下記に記載)
法人を解散し、顧客、設備等の一切を引き渡したのは、あんしん館が
開設したのと同時でしたが、当時あんしん館の家賃を払って、食べて
行けるだけの収入は無かったのです。
その話しは、先の項で記載した通りです。

今思えば、何がそこまで強気な言動をさせたのか分かりません。
ただ結果は、あんしん館開設から家賃を払っても何とか食えてます。
さらに相談者と同じ目線で話せる事にもなりました。

やってきた事は無謀であり、ただのお馬鹿にも思えますが、僕の場合
この言動が人生のターニングポイント(転換期)だったようです。

元々葬儀の仕事がしたい訳でなく、しかたなく嫌々始めたのです。
10年目の今でも、別に葬儀の仕事が好きなわけではありません。
いまでも葬儀屋の自覚には乏しいのが本当のところです。

天職かもしれないと思うのは、葬儀の仕事だからでなく、困っている
人を助けられる仕事であり、感謝され、喜んでくれる家族の顔がある。
お金に頭を下げる事もない。 建前要らずの本音で仕事ができる事と、
これまでの流れは、どう考えてもツキがあったとしか思えない。
だから天職かもしれないと思わせるのでしょう。

そんな僕が葬儀の世界で生きて行こうと決心した分岐点であり、ター
ニングポイントが、あんしん館開設の決断だったように思える。

かなり前のブログでこんな事を書いた事があります(これが他意です)
僕は坊ちゃん育ちで根は軟弱だから、事を起こそうと思ったら渡った
船を燃やし、逃げ帰れない状況を作ることが多い。
もし戦争なら勝って生き残るか、全滅の二者択一しかない状況を作る。
日本なら背水の陣という言葉に置き換えられるでしょう。

それに普通の葬儀屋さんとして生きる気は、未だに無いんだと思う。
決して葬儀屋に魅力は感じていないし、誰かの見舞いにも行き難い。
あくまで葬儀支援をしていると思いたいのかもしれない。
だから料金の値上げをしたくないと思うのかもしれない。

そう考えると、業界人とは思えない僕の発言、発想も理解できる。
葬儀の業務はすでに素人ではありませんが、心は素人のままなのです。
もしかすると、その部分が家族との壁ができない秘訣かもしれないし、
好感を持って貰える部分なのかもしれない。

商売人として僕に接した人は、嫌だから受けない、お客様じゃないと
言うのだから、反対に変った人と思うかもしれない。

あんしんサポートの葬儀は、僕の予想以上に喜ばれる事が分ったし、
その思いはより強くなってるし、これから更に我々を必要とする人が
増える。 だから尚更、料金の値上げをしたくないのかもしれない。
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》宗教色の無い、どんな宗教の人でも行える『新たな葬儀』を新設

あんしんサポートを始めて、葬儀経験が増え、一般葬を行う度に感じ
てきたのは、葬儀は大きさと比例して温かく無くなる事と、誰の為の
葬儀か分からなくなることでした。

また業者、宗教者は、家族と言う弱った獲物をついばむハイエナにも
似たりの存在のようにも感じたものです。 
俺らも一緒かぁ、と思いながら何をどうして良いか分からず、既存の
葬儀を前提に低料金、高品質を目指してきました。

しかし最近になってようやく、気づいたのです。
現行の葬儀そのものが問題であり、葬儀の理念が今の日本人の感覚と
噛み合ってないからだと分ると、新たな葬儀の開発を考えました。

・集まった全員で温かく送ってあげられる事
・宗教者不在でも全く問題のない葬儀
・家族が気を遣わず、普段の自分達で送れること
・家族が希望すれば普段着でも、ジーパンでも良い
・10名~20名上限の葬儀とする(それ以下なら直葬+αで良い)
・総額で15万円程度での設定(過去の葬儀実績から得た額)

この部分は、早ければ年内、遅くても来年のパンフレットには掲載を
するつもりですが、出来れば掲載前に実践し修整できたらと思う。

》葬儀の意識改革、意識革命

葬儀の歴史を見ても葬儀は大きく変化し続けています。
元々の日本は神葬祭だし、最近の話しなら『土葬』から『火葬』へと
変わり『自宅葬儀』が『式場葬儀』へ『一般葬』から『家族葬』へと
人数が減り火葬だけの葬儀も当たり前の時代へと変化しています。

葬儀でお祭り騒ぎをする時代の終幕が近いと感じている。
物が食べられない時代は、葬儀はある種のお祭りで近所の人達全員が
手伝うかわりに、みんなが腹一杯食えるのが葬儀でした。
しかし今、そんな葬儀は、よほどの田舎以外は存在していません。

この辺りの感覚は60代前半、僕らの年代が分岐世代でしょう。
死者が過去最高になる団塊世代の終幕に向け、今の時代、これからの
時代に合った葬儀意識と葬儀の改革を行うべき時が来たのだと思う。

時代は常に流れ、同じ時は存在しないと仏教界でも言っています。
『諸行無常』その通りであり葬儀の在り方も変化すべきものなのです。

》現行の全事業の継続

つい先日葬儀をした家族の墓が遠方にあり、納骨の為に焼骨を送ると
葬儀をしないと墓に入れないと言われたそうです。
焼骨を再送して貰い、散骨と永代供養墓に納骨しました。

また県内で火葬だけをした人が散骨の依頼に来て言うに、火葬料金は
40万円だったそうです。 
さらに横浜の施設で亡くなった母親の火葬費用は31万円だそうです。
この方も散骨の依頼に来館されました。

葬儀だけを頑張って低料金で行っても、遺骨の供養や処理が高額だと
か、火葬だけでも高額になりつつあるのが現状なのです。

家族の生活を守るには、火葬だけでなく、焼骨の供養や処理、更には
墓への納骨や墓誌彫り、もっと言えば宗教者に至るまでの全てを行う
事が出来なければ駄目なのです。
現行行っている事業の全てを低料金で続ける必要があるのです。

》警察の検視を避けられるシステムの開発

死亡診断書が書けるのは医師と歯科医師だけです。 
一方病院は3ヶ月を待たず退院させられる時代であり、治せない人も
自宅療養をさせられる時代です。

実際は大抵の市にひとつくらい、長期入院できる病院はあると思う。
但し費用は少し高めなのと、院内の空気が他と違います。
病室から聞こえるのは機械音とうめき声だけで、話し声はありません。
意識のある患者さんは精神的に辛くなる可能性もある。

自宅療養で最も注意するのは、死亡時に死亡診断をしてくれる医師を
探しておくことです。 昔は掛り付けの個人医があって普通でしたが、
今は総合病院に通う人が大半で、総合病院の医師が自宅に来て死亡診
断してくれることはないでしょう。

なら救急車を呼べば良いか・・・残念ながらNOです。
明らかに死亡していれば、救急車は乗せてくれませんし、救急隊から
管轄の警察署に連絡がいき、捜査一課(刑事課)の検視が入ります。

死亡診断は警察が依頼した医師が行いますが、死亡診断書ではなくて、
検案書と名前が変り、料金も3万円~10万円と高くなります。
警察は医者ではありません。 殺人か否かを調査するのが仕事です。
殺人ではないと判断すれば自宅で済ませますが、故人は裸にされる。

家族は事情徴収され、自宅内は勿論、加入保険等全て確認されます。
最低4時間掛かるのが普通、遺体の状態によっては警察署に連れて
いかれ検査をし、必要なら警察がMRIなど医師に依頼します。

保管は遺体袋に入れ警察の冷蔵庫で、帰ってくる時も裸です。

これらを避ける事は可能のです。
昼夜問わず自宅に往診してくれ、死亡診断もしてくれる医師を探して、
事前に診察して貰い、医師の指示に従っておくのです。

今でも地域により、医師不足は深刻ですから簡単ではありませんが、
最後の看取りをして貰える医師との連携が絶対に必要です。

》全国全県で必要な人は同じ恩恵が受けられる事

理念の詳細で書きましたが、群馬県内だけで活動をして井の中の蛙で
満足している訳ではありません。 全国全県で必要な家族には支援の
恩恵が受けられるべきと考えてきました。

最終的には行政が行うべき事であると設立前から言ってきました。
正確に言うと行政が行うべきは葬儀でなく、火葬までです。
これなら全国民が同じ恩恵を、一生に一度だけ受けられるのですから
福祉の一環として行えば良いのです。

中には今まで通りの葬儀をしたい家族もいるでしょう。
そう考える人は今まで通りの葬儀をすれば良いでしょう。
仮に行政が行う火葬が7万円での委託だとしたら、家族には7万円が
支給される事になる。 後は家族の支出で行えば良い。

或いは焼骨になってからの葬儀をすれば良いでしょう。
焼骨になってからの葬儀なら、火葬場である必要はありません。
ホテル等でも可能ですし、日程も自分達の仕事を考慮し自由にできる。
今迄に無い新たな葬儀も生まれるでしょう。

葬儀社も仕事が無くなるわけではないのです。
あえて言えば、霊感商法と暴利は難いかもしれません。

最終目的は行政が行うですが、その前段として全国全県に葬儀支援と
呼べる内容と料金の葬儀社が配置できたら、多くの人が助かります。



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