医師から最後通告を受けた対象者の一人が、今回テーマの主役です。
盆前から盆中に掛けて一週間程度の余命宣告をされたと、会員さん
からの電話が数件入ってきましたが、その中の家族が言うに入院先
看護師さんから「普通の棺では入らないから、葬儀屋さんに伝えて
おいたほうが良いと言われた」との連絡がありました。 

滅多に聞かない言葉ですから、対象者の体重と身長を確認してみる。
『体重100㎏ちょっと』『身長170cmくらい』との事ですから
「100㎏ちょっとなら問題なく入りますよ」と伝える。

ちなみに僕が『 体重70㎏・身長171cm 』ですから30㎏の小学
生を足した程度って事なら全く問題なく入るはずです。

昨日午前6時頃の一報、2件目は午前8時頃と続き、最後は隣接市
総合病院へのお迎えが午後2時30分でした。
病院へ到着し、連絡を入れ一階所定場所で待機します。
予定より10分ほど遅れた2時40分、ガードマンが来て伝える。

「出血を止める為3時頃になってしまうようで暫くお待ち下さい」

それを聞き内心『困ったなぁ、間に合うかなぁ』と思った。
実は珍しく翌日午後3時火葬の予約ができたのと、100㎏ほどの
大きな人だと聞いている為、15㎏のドライアイスを当てると、棺の
重さも含め130㎏にもなるわけで、ストレッチャーへ棺の移動や、
霊柩車に乗せる部分が、僕と千明の二人で心許ないと、斎場冷蔵庫
安置の予約をしてあるのです。

その為には死亡届を済ませ、予約確認書をFAXし、午後4時までに
霊安室の支払いを済ませる必要があります。
この部分は、お役所仕事で利用者の事など考えていません。
それでも午後3時に降りてきてくれたら何とかなるなと待ちました。

午後3時を少し過ぎた頃、ご遺体を布団で覆ったベッドが待機所に
到着、ストレッチャーに乗せ換えようと布団を剥ぐ・・・

ご遺体を見た瞬間、少し固まった・・・・
『えっ! どう見たって100㎏じゃなくて120㎏~130㎏は
ある・・・6.0棺に入るだろうか・・・入らねぇだろうな』が本音。

よく見ると顔当て布の真ん中が真っ赤で鼻から出血してます。
看護師さん達が、その場で処置を始めましたが駄目です・・・
一旦救急処置室に運んで吸引するようですが・・・・
『止血は無理だろうな』と思うけど、止血できるならと期待半分。

救急の待合で待機している間に、死亡届書の記入も捺印を済ませる。
午後3時30分処置室から現れたご遺体の顔に、吸水シートが被せ
られているのを見て「やっぱ駄目だったですか?」と看護師さんに
確認するが『そうなんですよ』との回答・・・

ならできるだけ早く搬送し、納棺するのが最善策なのは分かるけど、
棺に入るかを心配しながら、以前185cm 体重150㎏の故人を
搬送した経験が活きる。

まずはストレッチャーへの移動ですが、看護師さん達が気を利かせ
バスタオルでなく、毛布の上にご遺体があるのを確認、ベッドより
若干低い位置にストレッチャーを設置、遺体は持ち上げるのでなく
引きずり落とす感じでの移動をしますと、主導権をとって看護師の
皆さん5名は指示通りに動いてくれ、無事ストレッチャー移動完了。

次に両腕を腹の上で交差させ、両サイドから両腕を押さえつけるよ
うにしてストレッチャーベルトで絞めてみると、『これなら何とか
6尺普通棺でも入ってくれるかも・・・』と希望が出る。
ストレッチャーに身体の固定、さらに寝台車に乗せる我々を見てた
看護師さん達も、手馴れていると感じたのが我々にも分かります。 

我々は移動する中、2人だけで棺に入れる方法を考えながら走る。
相談もあった為、家族には自分達の車で前橋まで来てもらう。
あんしん館に到着すると、考えた納棺方法を試みる正念場です。

》棺専用のストレッチャーに棺を乗せ、最下段より少し上に設定
最下段まで下げると、持ち上げるのに半端ない力が必要だからです。

》搬送してきたストレッチャーを棺の上部の少し上の高さに設定
病院で行った移動の再現をするためです

》搬送シートに包んだまま、足から下ろしながら上体を流し入れる
》上体部は僕が取っ手を持つ事で、ドスンと落とさず済むよう対処

結果・・・予想通りの流れで推測130㎏の巨漢も納まりました。

棺専用ストレッチャーを寝台車に乗せ、斎場霊安室冷蔵庫に無事に
納められ・・・ホッです。


ストレッチャーは4台所有していますが、体重の重いご遺体が重な
る場合などは便利です。 

結果・・・またひとつ良い経験をさせて貰えました。
今回の教訓、身長が171cm程度なら130㎏程度までは、6尺の
棺でも入る可能性があるって事です。

このような経験は、その度に一か八かのような状況にもなりますが、
後で似たような状況になった時、この経験則が役立ちます。

今回は、できるだけ費用を抑えて欲しい家族でしたから尚更です。
今は斎場の冷蔵庫安置ですから、後は職員が運び出し、火葬炉まで
入れてくれるから安心です。

ただちょっと気になるのは、一般火葬炉に入れると言ってたらしく、
火葬時間が長引くだろう予測はできます。

斎場によりますが、ここ数年の間に建てられた斎場なら、大型の棺
でも入る、少し大きめの火葬炉を完備しているはずです。
その火葬炉なら、火力も強くできるし、炉も余裕があるから楽です。

現在8月20日、午後11時40分の下書きです。
明日21日、3件の火葬が全て終わってからアップします。
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ここからは21日夜11時に書いています。
今回は1564話で書いた棺サイズの実践報告ですね。

棺のサイズについて、1564話で答えていますが、実践した結論
から言うと、コツさえ分かれば身長170cmちょっとで、120㎏
くらいの人までならば普通の6尺棺で収まる可能性が高いです。
可能性と書くのは、ご遺体の状態、死後経過時間にもよるからです。

死後硬直前に両腕を胸腹部で交差させるように、両側からしっかり
締められる状況なら、確率は高くなりますが、硬直後は締められず
でしょうから、上腕部が入らないとか、ふくらはぎが硬直すると足
が伸びた状態になる為、足の大きさだけ身長が伸びて納まりません。

ワイドタイプの棺は、内寸で600mm 550mm、外寸は650mmと
600mmくらいですかね。 一般的な棺は平均外寸550mm前後で、
内寸は480mm~500mmってところでしょう。

普通は所有していませんから、早ければ翌日入荷ってとこでしょう。
また料金は最低でも3万円~5万円の違いはでるし、葬儀社により
倍額なんてのも充分あり得るでしょう。

あとは、どんな葬儀をし、予算や希望を葬儀担当者に伝えれる迄が
家族にできる事です。 その後は葬儀担当者の技量や、経験量とか、
利益感覚の違いなどでも判断が分かれるところでしょう。

そうそう、本日斎場に行くと1号炉に変更となったそうです。
前橋の場合、1号炉が縦横大きな方でも火葬できる火葬炉です。
あ、ついでに前橋斎場は外寸650mm幅の棺も入りますが、斎場に
より違いますから、利用する斎場の火葬炉によっても違ってきます。

前橋斎場は通常70分の火葬時間ですが、本日の火葬時間100分、
それでも何とか無事に火葬が済んでホッとしています。


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